シンデレラの弟
僕にはシンデレラという名前のお姉ちゃんがいます。
僕とシンデレラお姉ちゃんは姉弟だけど、お母さんが違います。シンデレラお姉ちゃんのお母さんは、病気で死んでしまいました。
そして、お父さんは僕のお母さんと結婚することになりました。シンデレラお姉ちゃんにはお兄さんとお姉さんができました。この二人は、僕にとってもお兄ちゃんとお姉ちゃんです。
僕の名前はスコット。僕が生まれた時、シンデレラお姉ちゃんは12歳でした。
でも、僕のお母さんはシンデレラお姉ちゃんには意地悪でした。シンデレラお姉ちゃんには掃除や洗濯などの家事だけでなく、小さい僕のお世話もさせました。
シンデレラお姉ちゃんは僕のために、たくさんのぬいぐるみを作ってくれました。一番のお気に入りは猫のぬいぐるみです。
お昼寝の時、シンデレラお姉ちゃんが僕に絵本を読み聞かせてくれたことを覚えています。
僕が5歳の時に、お城で舞踏会が開かれました。
王子様のお嫁さんを決めるのです。
「スコット、お城では走り回ったりしちゃダメよ。お行儀よくするのよ」
「はーい!」
僕は元気よく返事をしました。
「舞踏会か…面倒だな」
お兄ちゃんはぶつぶつと文句を言っています。
もう一人のお姉ちゃんはそんなお兄ちゃんを尻目に、大はしゃぎです。
「舞踏会でイケメンに出会ったらどうしようかしらー!」
おめかしをして、僕はお気に入りの猫のぬいぐるみを持って、舞踏会に行きました。
シンデレラお姉ちゃんは連れて行ってもらえませんでした。
舞踏会にはたくさんの大人たちがいました。
お兄ちゃんは、お母さんに僕から目を離すなと言われていました。
僕は辺りを見渡しました。僕と同じ年ごろの子供は一人もいません。
舞踏会は夜遅くまで続きました。
僕は眠くなってきたので、お兄ちゃんが僕を連れて帰りました。
僕は自分の部屋で、魔法使いのおばあさんの夢を見ていました。
次の日、僕が起きたらおじさんたちが家に来ていました。
おじさんたちはお城の人で、お城の階段に落ちていたガラスの靴がぴったり合う人を探していました。
もう一人のお姉ちゃんが履いたら小さくて入りませんでした。
おじさんは僕を見るとニコニコ顔で「履いてみるかい?」と聞きました。
僕はうなずいて、そのガラスの靴を履きました。でも、そのガラスの靴は僕には大きすぎたのです。
そこにシンデレラお姉ちゃんが現れました。
シンデレラお姉ちゃんがガラスの靴を履くとぴったり合ったのです。
僕は途端に不安になりました。
シンデレラお姉ちゃんが結婚したら、この家はどうなるのって。
僕は、シンデレラお姉ちゃんが大好きでした。
その時、シンデレラお姉ちゃんは頭を下げました。お姉ちゃんはおじさんと僕の話を聞いていたのです。
「ごめんなさい、王子様のお妃様になれません。そして、弟に履けるはずがないとわかっていながら、ガラスの靴を履かせていただきありがとうございます。私は、弟の成長を見届けたいのです」
シンデレラお姉ちゃんは結婚して自分が幸せになるより、僕の幸せを選んだのです。
シンデレラお姉ちゃんは今、お洋服を作る勉強をしています。
シンデレラお姉ちゃんはぬいぐるみの採寸をして、ミシンでお洋服を作っています。
この前は、僕にセーターを編んでくれました。