消し去りたい勘違い・妻 ②
ある日、仲睦まじいかは別として、一つの家族が、ごく普通の会話をしていた。
その会話は、妻と夫が買い物の相談をしている所から始まる。
「ねえ、あなたー?野菜はもう大丈夫かしらー?」
「んー?もう大丈夫……、いや、大根を買っておいた方が良いなー。」
夫が冷蔵庫の中を確認し、妻が買うものをメモをする。
ある程度買うものが決まり、台所から居間に戻ってくる夫が、思い出したように、妻に話しかける。
「あ、そうだ。今日、コ◯コ◯も買わないと。」
「え?まだあるわよ?◯ロ◯ロなら。一袋。」
妻は、掃除用具の予備がある事を伝える。
「いや、そうじゃなくて今日買っておかなくちゃ、コ◯コ◯」
「だから、買って来なくても大丈夫よ?まだ予備があるから。」
話が噛み合わない……。
そう思った夫は、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「もしかしたら、勘違いしてるんじゃないかな?俺が言っているのは、娘が良く読んでいる漫画雑誌の事なんだけど……?」
それを聞いた瞬間、妻は頬を赤らめる。
込み上げてくるやり場の無い怒りの矛先は、夫に向けられる。
「そ、それならそうと言ってよ!!ちゃんと言わないあなたが悪いんでしょ!!漫画雑誌!漫画雑誌ね!!てんとう虫のやつでしょ!?はい!メモしたわよ!!」
妻は、紙に漫画雑誌と殴り書きをし、その紙を勢いそのままに夫に手渡す。
「はい!行ってらっしゃい!!」
メモを受け取った夫は、納得のいかない様子でこう言った。
「何で、俺怒られてるの……?」
この小説は、実話を家族会話風に再現しました。
……………駄目じゃん。