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第5話 迷宮LV2

誤字を訂正しました。


 005


「先輩、はい、あーん」

「……」


 ドロップアイテムのリンゴをドロップアイテムのナイフで見事に加工したウサギリンゴを西川が赤い顔で差し出してくる。

 ただし、ナイフで突き刺した状態でだ。

 巷の噂ではバカップルが愛情表現の一環として行う行為だと聞き及んでいたが、そこに甘酸っぱい雰囲気など皆無で、ナイフを突き出され、脅迫されている気分だった。


「長閑ですねぇ」


 西川が伸びをしながらほんわかと笑う。普段通りの落ち着きぶりだ。

 この機会に聞いておくのもいいか。


「西川、お前ずいぶん落ち着いているが不安はないのか?」


 こんなわけの分からない事態に陥って。


「いえ、先輩。充分驚いていますよ。心臓とかバクバクしていますし。こんな短期間で先輩との距離が縮められるなんて夢のようです」


 うっとりと目を閉じている。

 聞きたいこととは微妙にずれているが、変に怯えられるよりはマシか。


 2時間休憩をして迷宮の復活を待ち再突入する。

 空き時間に無駄に女子力を発揮した西川も気合充分だ。


「一条様の勤勉さにこの菊千代感服いたします」


 気になる台詞だ。そう言われて思い返せば俺が初めてではないんだったな迷宮を育てるのは。


「他のやつらは違うのか?」

「それはもう……大体三日は不貞腐れています。酷いものです」


 やれやれと菊千代は首を振った。

 だが不貞腐れたい気持ちは分る。

 いきなり拉致されて強制労働だ、リタイアしたくもなるだろう。


 薄暗い洞窟内は変化がない。

 さっきの場所までに現れたモンスターの種類と強さと数は変化無しだ。

 西川と交代しながらぶよぶよ倒して進む。

 手に入れたグラディウスのおかげで無双ができる。ステータス上昇の恩恵もあるんだろう。


 → 一条光輝は格闘(短剣)スキルを獲得した。


 さくっと格闘(短剣)スキルも手に入れた。

 ポンポン出現するアイテムを機械的に拾っていく。


「その日の内に迷宮から離れてアシストを失くしてしまう方もおられますね」


 チャレンジャーだな。


「大抵は戻られて泣き叫んでいるそうです」


 哀れすぎる。

 せめて面接だけでもすれば良いんじゃないか? いるんだろ、こういうのが好きな奴は。


「ダメですね。面接案は実際あったのですが、有能な方ほど拒否されますし、妙に乗り気の方は何か勘違いされていまして「オレツエー」じゃないとか「ハーレム」じゃないとかまあ意味不明な事を言い出して不貞腐れてしまいます」


 やはりいるのかテンプレート希望者が……。

 菊千代と雑談している間も襲い掛かってくるぶよぶよを叩き潰して進んだ。

 迷宮はつきあたりがT字路になり分かれ道になっていた。


「先輩、道が増えてます」


 確かに、成長している。呆れる程度の成長だ。

 左から攻めるか。


 通路を進んですぐに、子犬サイズくらいの猪みたいなモンスターが俺に気付いて突進してきた。

 ウリボー?

 直線的な突進だったので難なくかわせたけど少し反省だ。これが手に負えない強敵だったら俺は死んでいた。命大事にが聞いて呆れる。


 あと、西川、何故ウリボーに近付こうとしている? そいつは敵だ。抱き上げたりするんじゃないぞ。可愛らしいというのは理解するが。


 → 一条光輝は回避スキルを獲得した。


 回避スキルか。まだ上げなくても大丈夫そうだな。

 集中して敵の気配を感じ取らないと。


 Uターンしてきたウリボーをグラディウスで仕留める。

 倒しても血が飛び出したりしない仕様で良かったよ。

 ドロップアイテムが現れたがとりあえず後回しにして周囲を警戒する。


 → 一条光輝は危機察知スキルを獲得した。

 → 一条光輝は周囲索敵スキルを獲得した。

 → 一条光輝の格闘(短剣)スキルが上昇しました。Lv.0→Lv.1


 おや熟練度が上がって格闘スキルを自力ゲットだ。

 危機察知と索敵はポイントが20あるので上げていいスキルかもしれない。


「菊千代、危機察知と索敵を上げてくれ」

「どこまで上げますか?」


 そうか、そうだな……。

 菊千代に尋ねると最大レベルの半分くらいで一人前の能力らしい。

 危機察知と周囲探索は5が最大レベルらしいので3にしよう。


「承りました。完了しました」


 特になにも変化はなかった。残り迷宮ポイントは14だ。

 3程度じゃ使用に耐えないのか?


「索敵スキルを使用したいんだけど?」


 菊千代談ではスキルには常時発動型と任意発動型があるらしい。

 この場合は、危機察知が常時発動型で、周囲索敵は任意発動型というわけだな。


「スキル使用はコマンドワードの詠唱で可能です。SP残量にお気をつけくださいね」

「なんだSPって?」


「スキルを使用する際に使用するエネルギーみたいなものです」


 ゲームのMPみたいなものか?


「なくなるとどうなるんだ?」

「自動回復しますけど、時間経過で一定量です」


 自動回復は嬉しいな。ご利用は計画的にだ。というかさ。


「どうせなら攻略の効率をあげるために無限使用とかにしろよ?」


 はあと菊千代はため息をついた。


「一条様、スキルに頼っていてはプレイヤーレベルが上がりません。この先、スキル頼みだと必ずどこかで躓きますよ?」


 あまりにもっともなご意見でした。

 どっちが育てられてるんだかな。

 チートで無双したい派からしてみれば勘違いも甚だしい世界だ。

 SP管理とかポイント管理とか煩わしいからな。適当にやっているとどこかで詰みそうだ。


「周囲索敵」


 SPのバーが少しだけ減った。

 ソナーが発せられたような感覚の後、2つの敵影を感知した。1つはさっきのウリボーだ。もう一つは不明。状況的に一度会敵したモノしか詳細は不明なのか。


 ドロップアイテムを確保する。

 猪肉(並)と毛皮をゲット。並って。上も用意されているんだろうな。

 ウリボーを倒して微妙な顔だった西川が肉の存在に目を輝かせる。正直なところに少しだけ好感が持てるな。


 さてウリボーを迎撃しますか。

 次は不用意に近付かず、後ろを向いているところを不意打ちする。


 → 一条光輝は不意打ちスキルを獲得した。

 → 一条光輝は急所突きスキルを獲得した。


 どうも弱点を探しながら突き刺したから新たなスキルを手に入れたらしい。

 そのまま畳み込んで撃退。


 → 一条光輝はレベルアップ Lv.3→Lv.4

 → 一条光輝は迷宮ポイント20を獲得した。

 → 一条光輝の獲得した迷宮ポイントは自動的に割り振られました。以後は自動割り振りを解除するまでログに表示されません。



 よしよし菊千代はしっかり仕事をしているようだ。

 半分は自動でステータスを上昇に使用して、残りはスキル用に温存

 迷宮ポイントの残りは24に増えた。


 ドロップアイテムはさっきと同じ。肉ばっかりなので、野菜が欲しいな。野菜をドロップするモンスターとか想像したくないけど。


 さて、残り一つということはボスだな。

 あまり時間をかけるとモンスターがリポップすると菊千代情報なのですぐに向かう。


 さすがにボスは隙無くこちらを待ち構えていた。

 体長一メートルくらいの猪だ。デカイコワイ。

 猪は俺を見つけるとぐるると唸って突進してきた。すごく速い。ギリギリでかわす。回避を上げておけばよかったか?


「おいおい、レベル2の迷宮にしては敵が強すぎないか?」

「……」


 はいはい、ひ弱で悪かったね。

 猪らしく口の横には牙が生えている。あれで突かれたら洒落にならない。


 念のため西川を後ろに下がらせておくか。

 スピードはともかく攻撃は単調だ。真っ直ぐ突進してくるだけ。でも怖い。道幅が狭いというのもあるけどかわすだけで精一杯だよ。


 どうする?

 急所突きのスキルレベルを上げるか?

 いや駄目だ。それこそ菊千代の言うスキル頼りの戦いになる。

 まずは良く見よう。


 → 一条光輝はアナライズスキルを獲得した。


 これは上げてもいいスキルだよな。


「菊千代! アナライズを1上げてくれ!」

「承りました。完了しました」


 猪の頭上にバーが現れた。HPを示すバーのようだ。それ以上の情報はない。スキルレベル1だとこんなもんだろう。でも無いより遥かにいい。終わりがわかるだけでもモチベーションが上がる。

 突進をかわし試しに一撃入れる。肉というより豆腐に突き刺したように手応えがない。


 猪のHPバーが減少したから利いているんだろう。

 あと、良く観察するとパターンがあることに気づいた。

 突進の前に足で地面を二回掻く。


 なるほどなるほど。

 タイミングを併せて突進してきた猪の背中にグラディウスを突き立ててそのまま切り裂く。

 HPバーがぐぐっと減った。

 動きも鈍くなったのでこちらから仕掛ける。突然の俺の動きに猪は対応できなかったらしい。頭に渾身の一突き!


 → 一条光輝の急所突きスキルレベルが上がった。Lv.0→Lv.1


 おや? 頭が弱点ですか? 頭蓋骨とかないのか?

 またまた自力ゲットした。

 猪は痙攣して弾け飛ぶ。


 → 一条光輝はレベルアップ Lv.4→Lv.5


 スキルポイント33に増加だ。

 ドロップアイテムを拾っておく。というか今更だけど拾ったものはすぐに消えてしまうんだけど、拾ってるよね?


「はい。インベントリで管理していますのでご安心ください。迷宮クリアおめでとうございます」

「インベントリ?」


「たくさん入るアイテムボックスとでもいいますか……」


 相変わらずゲームっぽいな。便利だからいいんだけど。


「容量に制限はないのか?」

「ありますが今は心配するほどでもありません。アイテムで拡張することも可能です」


 ぽんっと宝箱が現れる。迷宮からの御褒美だ。もう慣れた。

 子供のようにはしゃぐ西川が大変微笑ましい。親戚の子供を眺めている心境だ。


 → 一条光輝は木の弓を獲得した。

 → 一条光輝は無限矢筒を獲得した。


 弓ね。

 あと、無限矢筒ってなんだ? あ、あれか矢が常に補充されるチートっぽい感じのやつ。

 ドロップアイテムはなんだったんだろう? 適当にぽいぽい拾ったので確認していない。

 後で確認しないとな。


 3分ほど経って例の絵の具マーブルな景色が現れて、迷宮から排出された。

 

読んでいただきましてありがとうございます。

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