大武道演舞
4月から始まった俺のハイスクールライフはグレーであった。私物を隠されたり、マリアさんがいなくなったり、金髪ドリルにガン飛ばされたり、マリアさんがいなくなったり、ボッチサマーを体験したり、マリアさんがいなくなったり、周囲が腕を上げていたり、マリアさんがいなくなったり、ボッチクリスマス(クリスマスに似た行事はある)を体験したりと散々であった。
高等部は出席は必須ではなく、テストが出来れば進級できる。2学期からは金髪ドリルも月に数回しか学校に来ていない。そして、マリアさんも冒険に出ていき、学校は寂しい場所になった。国立で学費はタダなので俺は毎日出席しているが、義弟のアーサーは週に1,2回は休み、ボッチになることがある。でも、セシリア様はそんな俺にも話しかけてくれるのでありがたい。内容は義弟は何が好きかといった恋愛相談なのでメンタルはガリガリと削られる。まあ、将来の義妹になる可能性もなくはないので、しっかりと俺自身は末っ子だけど兄として相談に真摯に対応するのだ。
気付いたら学期末になっており、校内も殺伐としてきていた。皆、目が怖い。確か進級前に大武道演舞があったはずだ。この行事は学年毎に別れた森林地帯や山岳地帯を舞台にしたバトルロイヤルである。2人1組までならチームを作ってよく、昔は勝敗が賭けられていたが最近は規制が厳しくなり、親族しか閲覧することができなくなった。また、戦いの様子は魔道具の水晶で閲覧できる。水晶はカメラのようなもので反則がみられた場合には即座に失格となる。
全員参加であり、参加しない場合は退学処分となる。また、相手を殺害・降参・失神させることが勝利条件であり、下級貴族の子どもが上級貴族の子どもに反旗を翻す絶好の機会である。なぜなら、上位貴族は下級貴族に降参してはならず、またそのようなことをした場合は廃嫡されることが確定するからである。まあ、仮に下級貴族が子どもに勝っても親の上位貴族には軍事力と政治力で勝てないため、滅多にこうしたことは起こらない、いや、起こせない。かつては戦う前から買収が横行していたが、現在では発覚した場合には死罪となるため、公正になったと言えるだろう。
この大会は騎士団長や宮廷魔術師団長といった国の防衛に携わる人材に加えて、この国の王子も観戦にいらっしゃるため、国の中枢で生きていきたいのならば自分をアピールする絶好の場であった。
「義弟よ。兄と一緒にチームを組んではくれないだろうか。」
「わかった。組もう。」
「え」
「え」