最強のカッパ
「カッパさん、世界を救うための協力をして欲しいです。」
エレナがお辞儀してる。可愛いぜ、俺なら協力しちゃうね。
「断る。俺はこの国が滅びようが、どうでもいい。」
ばっさりと切り捨てやがった。何て奴だ。
「ですけど、貴方はこの世界を救うために来たはずです。カッパさんの力がなければ邪悪な力に打ち勝つことはできません。」
「ところで、邪悪な力とは何ですか、エレナさん。」
俺も気になっていた。何なのであろうか?
「邪悪な力とはこの世界を破壊する怪獣のことです。魔王が最近復活しましたが、所詮は宇宙怪獣の前座に過ぎません。」
ん?今、宇宙怪獣って聞こえた気がする。ウルトラ○ンの出番じゃないか。
「ところで宇宙怪獣とは何ですか?」
「宇宙から来た怪獣のことです。」
そのまんまやな。
「どれくらい大きいんだ?」
「体長50メートル前後でしょうか。」
勝てないだろ、それ。
「どうやって倒すんだ?」
「勇者4人の力を合わせて打ち倒すのです。」
「魔王の討伐を先にしておかないと邪魔される可能性があるからな。リスク回避ということだ。まあ、でも俺は人間なんて嫌いだから、何もするつもりがない。勝手にやっていてくれ。」
「ですが、4人のー」
「黙れ。最弱の貴様が俺様に指図をするな。」
カッパが少しだけ不機嫌になった。どうやら、怒っているようだ。天候が急激に悪くなり、すごい風が吹き付けていた。
「もう、いいよエレナ。こいつはほっといて欲しいのだし、帰ろう。」
素人目でも分かるが、このカッパは相当強い。はっきり言えば、エレナでも勝てないだろう。この世界に来てから、一ヶ月も経っていないが、カッパの魔力が桁違いだ。
「取り消せ、私が最強だ。」
エレナが非常に怒っている。魔力では完全に負けているが、彼女が勝ち目もなく戦いに臨むとは思えない。
「スキル 暗黒郷の太刀」
「スキル河童の川流れ」
二つの力がぶつかり合った……
立っていたのはカッパであった。エレナは大きく魔力を削がれ、倒れていた。魔力が彼女に逆流しているのが分かった。要は自爆したのである。
だが、不思議だ「スキル昇華」をなぜエレナは使わなかったのだ?あれを使えば勝ち目があったかもしれない。
「エレナ、お前以外の3人は皆、唯一のスキルを持っている。お前程度の力では俺のスキルの猿真似をすることはできぬわ。」
どうやら、スキルの中にもランクのようなものがあり、エレナのスキルでカッパのスキルは再現できないらしい。
「兄として貴様に言っておく、自分のために生きろ。」
カッパはそう言い残すと、目の前からいなくなった。




