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遭遇

「マサシ様、気を付けてください。気づかれました。」


「誰かに何か気づかれたのか?」


「はい。気づかれました。でも、まだ大丈夫です。すぐには来ません。」


 俺たちが王都を追われて一週間が経過していた。


 俺たちは王都を抜けた後に北西に向かい、出発した。北西には大きい湖があるらしく、王都から追い出されたカッパがそこにいるかもしれないとのことであった。


「エレナ、お前は王都の周辺の地理を知っているのか?」


「はい、私はこの世界に来るときに最低限の知識を与えられました。だから、カッパも北西に向かうと判断しました。」


 俺は何も与えられていない。巻き込まれた異世界人ということだろうか?こればかりは考えても仕方のないことだ。もしかすると、俺にもチートスキルがあるかもしれない。そしたら、ちょっと嬉しい。


「カッパを探しに行くのはなぜだ?」


「カッパは大事です。彼がいなくてはこの世界の危機を救うことはできません。彼以外にも、あと二人を探さなければならないのです。」


 この世界の危機と言われても、この世界を救いたいと思えるほど長くいないし、正直言えばどうでもいい。


「エレナさん、魔法はこのように使えばいいのでしょうか。」


「ええ、その調子です。ノービス君は魔力の使い方の効率がいいですね。もっと上手に扱えるようになったら、ファイアボールを撃てるようになるでしょう。」


 ノービスは魔法の手解きをエレナから受けている。なかなか筋がいいらしい。


 ちなみに俺は魔法の練習よりも言語の習得をするために、エレナから脳内に文法と単語を流し込んでもらっている。脳がパンクしそうになるが、言葉が通じないと困ることになる。


 もし、言葉が通じていたら、召還された翌日に追放されることはなかっただろう。


「ふぅん」


 ボブさんは魔力で肉体の強化をすることに成功した。その結果、彼の筋肉が鋼鉄レベルとなった。この世界の戦士の大半よりも強くなったらしい。


 エレナの指導は流石である。俺たちは程度の差はあるが、確実に強くなっている。俺はこの世界の言葉がもう話せて、ノービスは魔法が使えるようになり、ボブさんは強靭な肉体をさらに強くした。もはや、彼女にはかなりの恩がある。


「エレナ、俺にできることがあれば言ってくれ。」


 彼女に恩返しがしたい。俺は彼女のお陰で今は充実している。


「私を信じてください。私は何があっても貴方の味方です。」


 この言葉が俺に刺さった。まだ俺は彼女との関係を損得で考えている。信じたいのは山々だが、なんで彼女が俺やノービスを助けたのかはわからない。今の俺は弱いし、足手まといだ。信じていることを言い訳に思考停止することもあり得る。そうなれば、彼女の足を引っ張ることになる。


「ありがとうございます。でも、俺は俺の力を信じたいと思います。」


「まだ、信じてくれないのですか?」


「俺は貴女と対等になりたい。慈悲をかけられるのではなく、パートナーとして共に在りたいんだ。だから、俺は強くなります。見ていてください。」


 さらっとパートナーという言葉を入れる俺、流石である。


「そいつの言葉を真に受けるなよ、お嬢ちゃん。」


 俺が台詞を言い終わるとどこからか声が聞こえる。ふと、空を見ると前方から雨雲がやって来て、雨が降り始めた。そして、目の前の雨の中からカッパが現れた。


「そこのクズ野郎は性欲しか感じない。お前を孕ますだけを考えている。人間なんて信じるなよ。」


 カッパと俺たちが遭遇した。ところで、エレナの顔が真っ赤である。俺の下心を知って怒っているのだろうか。


 俺は恩を帳消しにした後に、上手いこといい関係になりたいと思っていた。まさか、看破されていたとは思わなかった。


 こいつ、できる……

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