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勇者アーサー

 俺はアーサー。巷では剣の勇者の異名を持っている。俺の代は貴族でもない平民の出で強力な魔力を誇る奴が他に3人、いや4人いる。中でも俺はガリウスと特に仲良くしていると思う。あいつはスゲェ。まあ、その前に入学後の俺の活躍を話しましょう。

 俺は入学してすぐの野外訓練で貴族から歯こぼれした剣にすり替えられるという嫌がらせをされたが、難なく魔物を勇者同士で連携して討伐できた。俺は当時有頂天になっており、模擬戦では中等部生の中で最強と謳われた公爵令嬢クレアを撃破。他の勇者たちもそれぞれ弓、槍、拳の分野では強いけど戦った結果、総合的には俺が一番だった。というか、俺はいままで決闘で負けたことがない。ソードスキルだって所詮はひとつの流派の剣術を極めたに過ぎない訳であるし、一度剣を交えれば、技は簡単に盗める。というか、貴族のボンボンは動きがとろすぎて止まって見える。盗む価値がない。それはさておき、クレアに続いて他の勇者を撃破した俺は学園最強を自負していた。俺の通っていた中等部では模擬戦の授業では誰も俺と組まなかった。そして、高等部には期待していたが、俺を倒せる奴がいないと知り、がっかりした。

 俺は一応顔が良いので、クラスの女子に話しかけると顔を赤くする。まあ、クレアちゃんはキレているように見えるけど、怒った顔も可愛いぜ。俺は女の子と遊んで適当に高等部を卒業して、将来は安定した職業の騎士になろうと思っていた。最近は暇潰しにセシリアちゃんに話しかけている。彼女はすぐ赤くなるので、反応が面白い。もっとも俺は肉付きが良い女の子が好きなので、彼女は射程外である。俺も自覚しているが、この頃は少し調子に乗っていた。

  ある日、模擬戦でフツメンが俺に勝負を申し込んできた。名前は覚えていないので、尋ねたらガリウスという名前らしい。中肉中背、黒髪黒目の可もなく不可もない容姿。戦う前から鼻で笑ってしまったよ。彼は思っていることが顔にすぐ出て、テンプレの噛ませ犬に見えた。

 クレアや他の勇者との戦いとは違い、今回は誰も注目していなかったし、まさか俺が負けるとは思っていなかった。いざ、試合を始めると、彼が「スキル発動」と呟き、魔力がはち切れんばかりに爆発した。通常、魔力量が1.5倍以上の相手にはいかなる技量をもってしても対抗できない絶対的な差があると言われている。俺の目の前の相手は体感で俺の数十倍の魔力が感じられた。井の中の蛙大海を知らず。俺は驚愕と同時に歓喜した。強い相手と戦うのは楽しい。最後には俺が勝つからだ。

 持てる全ての力を尽くしたが、まるで歯が立たず、俺は敗北した。脳ある鷹は爪を隠す。自分の傲慢さを反省し、俺は基本にたち返って自主訓練をする。物語の勇者は人間の魔力量の数百倍を誇るドラゴンを単騎で下したという。数十倍程度の魔力量を覆す決意をした。そして、学園最強を奪還した後にクレアに告白しようと思った。やはり、褒美がないとね。

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