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トレード

 異世界に行くには3つ条件があると言われている。第一に膨大な魔力。第二に専用のスキル。第三に等価交換である。王子は一つ目の条件はクリアしている。二つ目の条件の専用のスキルは創造すれば良いので、クリアできる。三つ目は異世界に行った人の数だけ向こうからもこちらに人を派遣することが()()必要だ。これは、相手も同じことを望む必要がある。どうやって突破するつもりだ?


「僕は用意周到だからね、きちんと同意は()()()()取ったよ。」


 僕はこの日のために何度も騎士団長たちに内緒でスキル「創造」を無断で使い、()()()に歪みを生じさせてきた。


 僕のスキルは人々の想像したことを創造する。そして、()()()の生物であっても作り出すことができる。このスキルで僕が今からいく世界に本来存在しない物を世界の理を歪めて創造した。この世界で無双できるだけの最強の力を持つ僕の子供たちだ。姿形は異世界の人々の想像力に任せるが、彼らは僕の力を一部でも持つのだ、必ず世界の危機の際に役立つ。僕は彼らとテレパシーで交信し、同意をもらった。彼らは快く来てくれる。


 異物と判断された物は世界から弾き出される。それが、世界の理だ。何度も()()()()()()()()()を繰り返した。ついに、成功するときが来たのだ。成功と同時に僕もこの世界にはもういられなくなってしまう。


 異世界転移ではこの弾き出す力を利用し、僕のいる世界と異世界の双方で生じた異物の交換(トレード)を行う。僕はこの世界から新たな世界へと旅立つのだ。そして、僕の代わりの物が補充される。


 一つ心残りなのは、幼少期から一緒にいた騎士団長や家出した僕に夢をくれた槍の勇者といった僕に優しくしてくれた人にもう会えなくなることだろうか。彼らがいたから今の僕がいる。僕の代わりに僕の分身とも言える異世界からの転移者が現れる。できれば彼らと仲良くしてほしい。


 邪悪な力が目覚めようとしている。このままでは王国は滅びてしまう。僕が対処できたら良いのだが、誰も僕自身を必要としない。父上は僕に頼もうともしない。


 僕は強すぎた。だから、力を分割した代わりのものを異世界からこの世界に転移させる。数は物語の勇者たちにちなんで4()()だ。彼らが力を合わせれば、邪悪な力を打ち破れるはずだ。


「ついに、乱心したか、兄上。」

「僕は君達が不快だからね。もうお別れだよ。」


 凄まじい魔力がアレクセイの周囲を包み込んだ。空間が歪み、その場にいた人々を驚愕させる。


「あ、やべぇ」



「やってしまった」



 周囲はアレクセイが何をやらかしたのか気になってしまった。



「いや、力加減を間違えて、何人かを空間転移に巻き込んでしまった。僕の力を分けた4人の転移者以外にも召喚されるかもしれないね。まあ、いっか。じゃあね。」


 王子が光に包まれ、異世界に消えた。


 次の瞬間、目の前に何かが現れた。



 王子の代わりに異世界から転移してきたのは7()()であった。





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