閉会式
今年度の大会は一年生の死者数が22人で、かなりの数の生徒がお亡くなりになった。そして、自らの子供と部下の子供を死なせてしまったことからバルト伯爵の求心力は大きく低下した。
俺とアーサーにはしばらくの間はバルト伯爵による闇討ちを防ぐため、警護がつけられることになった。俺の家族も守ってくれることを条件に、俺は宮廷魔術師団に入ることが決定した。俺の姉が宮廷魔術師団にいるので、王国騎士団の方が良かったが、俺のファイアボールが高く評価されたことから魔術師団に入団することになった。そして、アーサーは夢である王国騎士団に所属することになった。俺たちはもう高等部には通わない。国や民を守るために働くのである。
大会後の俺の心境の変化としては、俺はアーサーの噛ませ犬になるつもりがなくなった。俺が噛ませ犬になるのは俺の子どもが成長した後のことである。まあ、俺は本気の噛ませ犬なので、簡単には超えさせない。
子どもが自分を超えるのなら良いが、アーサーに負けるのは嫌だ。俺はあいつの好敵手でいたいのだ。あいつには負けたくない。
そういえば、レオンハルトは生きている。彼はサイモンと一緒に療養している最中だ。俺がジェシカとイチャイチャしている間に敗退していたらしい。今となってはどうでも良いことだ。
クレアは憑き物が取れたかのように穏やかな表情をしている。次は俺に勝つそうだ。そんなことより、クレアの頬に殴られた跡があるのが気になる。何かあったのかもしれない。でも、今のクレアは嫁のいる俺でもドキッとするほど笑顔が魅力的だ。だから大丈夫だろう。そして、彼女も宮廷魔術師団に入るらしい。俺は浮気をしないように注意しなくてはならない。
世間は今年の一年生が例年以上に多く軍部のエリートコースにスカウトされていることから豊作の年だと噂しているらしい。死者数で言えば、凶作の年とも言えるか。
大会の閉会後は俺はジェシカの両親に挨拶にいくつもりだ。かなり緊張する。
そういえば、誰か忘れているような気がするが、たいして重要ではないだろう。
それはさておき、最近は毎日ジェシカと一緒にいる。ひたすらベタベタしている。彼女は美人であったが、しゃべるのが得意ではないこともあり、異性と付き合った経験はない。お互い手探り状態である。
弓の勇者が謝りに来たが、逆に彼女には感謝している。
そして、イチャイチャしている間に2年生と3年生の戦いが終わった。マリアさんは大会に参加しなかったので、退学となった。彼女は天才なので問題ないとアーサーは考えている。
閉会式の日が来た。壇上にアレクセイと呼ばれる王子が現れたとき、森で会った奴だと思い出した。王子の話は君たちには無限の可能性があるとかなんとかそういう話だった。
最後に、一年生の部を優勝したことを表彰された。前世と合わせても初めての表彰だったので嬉しかった。まあ、学校全体の9割は貴族なので彼らは全く嬉しそうにしていなかった。
こうして、俺の高等部での生活が終わった。




