ガリウス男爵
スキルの詳細は不明であるが、とりあえずスキルを獲得したガリウスは爵位を授与され、男爵となった。中等部に進学した平民は通常はスキルを有さず、貴族の子女の当て馬、あるいは噛ませ犬となる運命にある。彼ら平民がパシりになる中で、ガリウスは休み時間は図書室に籠り、授業が終われば自宅に直帰していたので、クラスメートから存在を忘れられていた。ガリウス自身もクラスメートとさほど関わりはなく、唯一興味を抱いたのは同じクラスのセシリア・バルミルトン子爵令嬢であった。滑らかな肩までかかる銀髪に青くてくりっとした目、桜色の唇に小柄なロリ体型、まさにガリウスの理想であった。同じクラスには肉付きの良いクレア・ランティス公爵令嬢もいたが、最近マイブームの自家発電のネタに彼女を使った程度でそれまでである。無論、自らの理想だけは汚してはならず、遠目から眺めるのが関の山であった。初等部ではさすがに前世の記憶から自重したが、中等部では日本人よりも発育の良い女の子を鑑賞し愛でるのにどんな問題があろうか。
ちなみに学業の方は1学年の生徒数200人の中で30番台程度を推移しており、剣術は前世と異なり運動音痴ではないので平均よりちょい上で、魔法に関しては学年で10番くらいであった。これは実力を隠している訳ではなく、テスト前に頑張った結果であり、その時のベストを尽くしたのだ。ちなみに平民か貴族かで色分けされて順位は貼り出されるが、俺は一応貴族なので、平民の皆さんと違って目をつけられないだろう。まあ、社交界に出たことはないので知らなかったが、同年代では俺のことをファントムと呼んでいるらしい。どうやら、俺の顔と名前が一致せず、幻の10番目となっているようだ。
さておき、噛ませ犬になることなく中等部の3年間を修了した俺は、スキルを保有していることを考慮され、高等部へ進学することになった。