各個撃破
午後1時、テントを引き払い、槍の勇者たちを討伐しに出かける。無論、道中で見つけた他の生徒はついでに排除する。槍の勇者たちの居場所は簡単には探れないので、あえて俺たちは別行動をとって奴らをあぶり出す。何かあればドラゴンバスターを上空に発砲し、それを合図に合流することになった。
この無謀とも思える作戦にも勝算はある。たしかに、俺は3日目の午後の組の生徒の誰よりも魔力量が乏しいので、タイマンなら普通に負けてしまうが、ドラゴンバスターがあれば遅れはとらない。そして、槍の勇者とデイヴの二人がかりで攻めてきたとしても勇者キラーにより3倍増しされた俺の魔力という高い壁を彼らが突破することは不可能である。
俺がアーサーと離れて30分が経過した頃、目の前に午前11時入場の二人組が現れた。グレイとアレンとか言う名前だったか?あまり印象に残っていない。とりあえず、ドラゴンバスターを上空に向けて発砲した。5分も 経てば来るはずであった。
「覚悟しろ、この人殺しめ。クラスメートの仇だ。」
「成敗してくれる。卑怯者」
どうやら、昨日のことが外に漏れていたらしい。誰かが情報を流したのだろう。彼らの言っていることは否定しない。ただ、訂正するなら戦いに卑怯も糞もない。勝てば良いのだ。不意討ちをしない彼らは愚かだ。
俺はドラゴンバスターを発砲し、彼らに先制攻撃を仕掛けた。しかし、ドラゴンバスターが彼らに直撃しても、彼らは肉片にならず、代わりに上着の下から丈夫そうな服がむき出しになった。
「情報は本当のようだな。殺人狂め。レオンハルトの言う通りだった。」
「全くだ。耐衝撃と耐熱性を両立した竜殺胴がなければ死んでいるところであった。」
彼らは耐えきったが、魔力がかなり減っている。スキル「魔眼」を持たない俺でも分かる。昨日の奴らは魔力量が足りなかったのでベストを装着しなかったのだろう。
俺はドラゴンバスターを再度発砲した。今度はドラゴンベストが完全に消し飛び、グレイとアレンの二人を虫の息にした。
「降参だ。」
「降参だ。命だけは取らないでくれ。」
やはり、ドラゴンバスターは強すぎだわ。これが一般に出回ったらクーデターが確実に起きるだろう。とても優秀な武器だ。もっとも、誰が使っても同じ消費魔力でかつ同じ破壊力である点や、奪われた時のリスクが大きいこともあり、改良の余地はあるだろう。
強力な武器のおかげで俺でも各個撃破に成功することができた。少し、自信がついた。
ただ、しばらく待ってもアーサーがやって来ないことに俺は一抹の不安を覚えた。




