勇者キラー
ガリウスは12歳の平民の少年である。両親は商人で、お小遣いも毎月そこそこもらえる。彼は一条海斗という少年の記憶を有するが、それは黒歴史であると言える。彼はミロア王国の都市に住んでいる。ミロア王国は強大な軍事力を誇る大国で、貴族や王様がめちゃめちゃ偉い国である。その背景には魔力という超常の力が存在しており、貴族は優れた血筋を取り入れていき、常に時代の最先端の魔力量を誇る。ちなみに平民であるガリウスは平民の中ではエリートであり、実家もそこそこ金があるので学校にも通っている。
ガリウスは彼の通う初等部では一番出来の良い生徒であった。中等部に進むためには成績に加え、一定以上の魔力量が必要であるところ、ガリウスは難なく要件を満たしており、平民の3.4%のみ進学する中等部へ進学することになった。そして、ガリウスは入学式の日にスキルを鑑定することになった。
スキルとは貴族の子どもでも5人に1人の割合でしか発現せず、発現しなかった者はただ一人の例外もなく跡継ぎになることはできないという代物である。そしてスキルとは先祖代々引き継がれる技能のことをいう。例えば、ソードスキルを発現した幼女がいたとして、下半身の剣術を嗜む大きいお友達が幼女に襲いかかった場合、大きいお友達は数百年、場合によっては千年以上の長きに渡っての戦闘経験を引き継いだ幼女には勝てないのである。
人間は百年以上生きることはできず、自分が努力しても自分の子どもは生まれながらに言葉を話せたり、会話を出来るわけではない。しかし、スキルはこれら人間が後天的に経験から得る技能を次世代に継承し、これにより世代交代をする度に人を強くするのだ。スキルは15歳頃までに発現する。いかに修行で己を高めたとしてもスキルは大人になってからでは発現しない。
ガリウスは己の可能性を信じ、スキル鑑定に臨む。その結果は、「勇者キラー」であった。