夜は寝ましょう
俺たちの後には午前1時まで2時間毎に4グループやって来るが、これと言って放置しても問題がなかったので、7時に夕食を食べることにした。就寝時間は10時だ。
「結構、疲れた。」
「しっかり休める時は休め。明日の夜は全く休めないぞ。死闘の連続だ。」
そうだ、明日の午後9時には勇者二人、午後11時にはレオンハルト、明後日の午前1時にはクレアが出陣する。そして、明後日の朝に今年の最強が決まるというわけだ。この学園の先輩たちに悪いが、今年の1年は高等部が始まって以来の精鋭揃いだ。圧倒的なまでに高いポテンシャルを誇る。まあ、マリアさんは例外であるが、彼女の本気は弟のアーサーも見たことがないという。というわけで、この一年生の部を制した奴が学園最強である。
「クレアを倒した後に俺たちの戦いが始まるのか。」
「ああ、そういうことになるな。ようやく、俺は学園最強の座を奪還できるわけだ。」
「楽しみにしているよ。」
俺たちは二人とも最後まで残る。そして、雌雄を決するのだ。
「それにしてもお前の作ったスープはうまいな。」
「そうだろ、そうだろ。俺の家は男が女子力高いからな。裁縫も料理も家事も洗濯も俺の右に出るものはいないぜ。」
「マリアさんはどうなんだ。」
「野生の獣に女子力など存在しない。」
普段であれば俺の嫁に何て無礼なのだと怒るところだが、鬼ごっこで走り回ったのと初めての殺し合いで疲れてしまった。ツッコミを入れる気力がない。本当は聞きたいことがあったのにだ。
アーサーはなぜここまで強いんだ?まるで戦いが日常であるように見えた。何の躊躇もなく剣を抜き、引き金を引き、殺していく。俺と実戦経験が天と地ほど差があるように見えた。アーサーは幼少期からして俺と違うのではないか。詳しく聞きたいが、瞼が重くなり、どうやら無理そうだ。
「見張りのシフトはどうする?」
「夜は俺が起きているから、お前は眠れ。俺は明日の午前中に眠る。安心しろ、お前は俺が守る。」
「俺が女ならお前に惚れているよ。」
「そうなの?お前はもう俺に惚れていると思ったけど。」
うとうとしてきてアーサーの言葉が聞こえてこない。まだ8時だが寝よう。10時まで起きているのは無理だ。テントはアーサーが張ってくれたので、寝る前におしっこをして、寝袋に入って俺は寝ることができた。そして、すぐに眠りに落ちた。