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観戦者

「見事なファイアボールだ。」

「まあ、ファイアボールの評価は20点、戦闘評価は-70点、合わせて-50といったところが妥当だと思いますね。」


 王宮の一室で騎士団長と宮廷魔術師団長のツートップが試合を水晶を通じて観戦していた。


「それにしても、剣の勇者の剣術はなかなかだな。いますぐ部下にスカウトしたいところだ。」

「そうですね、あの若さで、あそこまで最小限の動きで敵を殺せる騎士は王国騎士にもいないんじゃないですかね。」


 二人はガリウスと剣の勇者に注目していた。魔王復活の予言を信じ、国に反旗を翻す宗教や、予言を理由に私設兵を増強する貴族を一網打尽にするために、強い騎士・魔術師が急務であった。目の上のタンコブであるバルト伯爵の出来損ないの子どもを抹殺したことから、二人はガリウスとアーサーに期待していた。


「確か、午後から王子も観戦するんでしたっけ。」

「さっきからいるよ。」

「ぶふぉ」


 魔術師団長はファイアボールに感嘆し、戦いに熱中していて王子がいたことに気付かなかった。


「今、来たのですか、王子。」

「さっきからずっといたよ。ほら、生徒が肉片になった辺りから。」

「それって午後1時からじゃないですか。嘘でしょ。」

「いや、王子の言うとおりだ。時折部屋から出ていったり、読書していたりと時間を潰していたが、王子が一番最初に部屋に来たのはその頃だ。」

「魔術師団長さんはにぶちんだな。どうやって戦争に毎回生き残れるのか不思議だよ。」


 確かに、魔術師団長に一対一の接近戦なら勝てる使い手は騎士団長を含め、この国に数人はいるだろう。しかし、魔術師団長は戦場においては超火力の大魔法で敵を蹂躙する王都守護の要となる人物であり、彼以上に防衛上重要な人物はいないと考えられる。注意していなかったとはいえ、全く気付かなかったのだ。王子の持つ潜伏スキルは光学迷彩スキルを越えているのではないか。


「まあ、いいや。今日はてっきりお前たちが噂している勇者同士の戦いが観戦できると思ったけど、戦わなそうだね。僕もう飽きたから部屋に戻るよ。」

「部屋まで私たちが護送しましょうか。」

「いや、いいよ。お前らもそろそろシフトで交代する時間だろ。まあ、早く帰って家族サービスでもやったら?」


 生徒たちは知らされていないが、王子や魔術師団長や騎士団長は興味のある選手以外は見ない。午後一番から見に来ていたのは最新版のドラゴンバスターの威力偵察のためであり、加えて二人の勇者とガリウスを目当てに来ていたのだ。王子は暇潰しで来ていた。


「僕は将来の嫁になると噂される金髪ドリルが出てくる時にまた見に来るよ。じゃあね。」


王子が部屋から退出した。


「そういえば、王子は勇者についてどう思ったかを言ってませんでしたね。」

「何とも思ってないだろう。」

「ですよね。王子と比べたら()()()()そこらの雑草と同じですからね。生き物としてのレベルが違いますから。」


今日は他に見るべきところはないので、彼らも団員たちと交代で退出した。


「そういえば、今年も例年通り6時で初日組は退場ですね。」

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