表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/33

第二十一話 もしかして名探偵を気取ってるのか?

最近買ったポケモンが面白くて投稿少し遅れましたすいません。


俺の事を視線だけで誘惑する色気満載の鎖で繋がれたお姉さんに、俺の理性は

もう逆らう事は出来なかった。

というか理性なんて俺の中には無かった。

そもそも最近風当たりの強い日常を耐えていたんだ、これくらいの御褒美は許され

て然るべきだと俺は思う。

「お兄さん・・・よく見たら可愛い顔をしてるわね、私のタイプだわ。さ、こっち

に早く来て」

俺はゆっくり頷きお姉さんに歩み寄る。

ここで早く返事してがっつくようなヘマはしない、俺は紳士だからだ。

相手は鎖で繋がれた犯罪者だが、そんな事は関係ない。

どんな壁でも俺は乗り越えて見せるぜ。

俺が夢にまで見た妖艶なお姉さんに手を伸ばそうとした時。

「兄ちゃん・・・ちょっと単純過ぎるというか、ちょろ過ぎひんか?」

気付かなかったがどうやらビオラさんが俺達の一部始終を見ていたらしい。

俺を蔑み、ゴミでも見るような目で見るビオラさんに、俺は驚きながらも冷静に

対応する。

「うわええい!!居たんですかビオラさん!居るなら最初から声掛けてください

よ、というかこれは冗談ですよ。あはは」

ちっ、予想通りこの人が尋問官だったのか、というかあと少しだったのに、クソ。

「声掛けるも何も、こんな極悪犯罪者と大した力も持ってない冒険者を二人きりに

する訳ないやん、ちょっと考えたら分かるやろ」

今聞き捨てならない発言が聞こえたが仰る通りです。

「それに痴女の姉ちゃんは見境無く誘惑するの止めてくれへんか、この兄ちゃんは

うちの友達の同居人やねん、もし目の前で何かあったらその友達にどんな顔をして

会ったら良いか分からへんわ」

魅惑的な表情から一変して冷めた表情に変わったお姉さんわ。

「あらそうだったの?でも三角関係になった方が面白いと思わないかしら、誰かの

物を奪い取る時の気持ちって最高じゃない。ね、お兄さん」

その言葉を聞いて先程まで自分が座っていたであろう椅子を蹴り飛ばすビオラ

さん。

「お前はアホなんか、その奪い取りまくった結果お前はこの牢獄に閉じ込められ

とるんやろが、これやから胸の大きい女は学習能力無くて嫌になるわ」

その台詞を嘲笑うかの様に胸を張りながら勝ち誇った笑みを浮かべる巨乳の

お姉さんが。

「あらごめんなさいね、胸の貧相なお子様には理解が出来なかったかしら。ていう

か、その胸でよく表を歩けるわね、羞恥心までお母さんのお腹の中に置いて来たの

かしらお嬢ちゃん?」

何かこの女同士の戦いを前にも目撃した気がする。

まあ俺はどっちの味方でもない、というか俺の目から見ればビオラさんは貧乳

という訳ではない、大きいという訳でもないが。

「こんの胸しか取柄の無い色ボケ女!お前がどんだけ男を弄んだか知らんけどな!

うちの方がまともで大人な恋愛しとるからお前より経験は上や、どうやボケコラ」

この尋問官はどこで勝ち誇ろうとしてるんだか。

「貴方が大人な恋愛?笑わせてくれるじゃない、お子ちゃまの恋愛ごっこを本物

の恋愛と勘違いしてるのかしら?だとしたら話のネタに教えて欲しいものね」

睨み合いというかもはや額を押し付け合う形になっている二人の間に割って入る。

口喧嘩に圧倒されていて忘れていたが、まだ俺はここに呼ばれた理由を知らない。

「二人とも落ち着いてください、別に良いじゃないですか胸があろうが無かろうが

お互い素敵な女性という事で仲直りをしましょうよ」

「いい歳して彼女も出来た事無い能無し冒険者は黙っとれ!!」

「そうよ、さっきから僕は両方の見方ですよみたいな顔で突っ立てるけど、貴方

みたいな男を優柔不断って言うのよ、分かったら端っこで大人しくしてなさい」

そんなに言わなくたっていいじゃないか!!とは言えず、俺は目から溢れそうな

涙を堪えながら転がっていた椅子を元の場所に戻し腰を掛ける。

服の袖で目を擦りながら自分のダメな部分について考えているとドアが開けられ、

先程の受付の女性がこちらを手招きしている。

「その・・・何て言うか元気出してください啓太様、お二人共ここの来てから

ずっとこの調子なのでイライラして啓太様に当たってしまったのだと思います」

「俺への貴重なフォローありがとうございます。一つ聞きたいんですけどあの

二人って前から知り合いとかなんですか?とても犯罪者と尋問官の口喧嘩とは

思えないんですけど」

あの二人を見ているともちろん仲が良いようには見えないが初対面とも思えない。

「啓太様の言う通りあのお二人は以前から因縁があったようです、とは言えここで

立ち話というのもなんですから横の休憩スペースでお茶でも飲みながらお話しま

しょう」

休憩スペースってここほんとに留置場なのか。


俺は案内されるがまま休憩スペースというか小部屋に入ると何故かこの世界では

見た事のない、でも俺と舞は慣れ親しんだ和室だった。

「どうぞご自分の部屋だと思ってごゆっくりなさってください、この部屋が見た事

ない造りで驚いている事だと思いますが、どこか落ち着くとは思いませんか?」

そう言いながら俺に暖かいお茶を出してくれる受付のお姉さん。

そりゃ落ち着きますよ、俺が日本に居た頃の自室は和室だったし。

「色々聞きたい事もあるとは思いますがまずはお二人の関係を聞いてください、あ

の二人が出会ったのはビオラ様にまだ恋人が居た頃です。明るいビオラ様を心底

好いていた恋人はビオラ様の誕生日に何かプレゼントしたいと、自信が経営するお

店の常連である女性に相談なさったそうです、その女性は最初は新味に考えてくれ

ていたそうですが次第にその恋人に『貴方の彼女はプレゼントを贈るに相応しい女

なの?スレンダーと言われてるけどそれって胸が貧相なのを誤魔化してるだけじゃ

ないかしら、私なら良い思いをさせてあげれると思うのだけれど』などと甘い

言葉で誘惑し、そして恋人は帰らぬ人となってしまったのです」

なんていう悲しい話だ目も当てられない。

だからビオラさんは胸をいじられてあんなに激怒していたのか、今考えれば普段

明るく温厚なビオラさんから考えられないくらい怒っていたもんな。

「二人の関係性は分かりましたけど何で俺が呼ばれたんですか?喧嘩の仲裁という

訳でもなさそうですし」

俺がお茶を飲み干した事にいち早く気付きおかわりを注いでくれる気の利いた

お姉さんは一息置いて。

「啓太様をお呼びさして頂いたのは私です、実は共犯者の捜索に協力してほしいの

です」

「え、じゃあ何で俺を牢屋に案内したんですか?」

「それは、まあ、何となくです」

お茶を啜る俺に期待と尊敬にも似た目でお願いするお姉さん。

「ええと、お姉さんお名前何て言いましたっけ?」

「申し遅れました、私ビスマス留置場受付のマリと言います」

「どうして俺なのか聞いても良いですか?聞くところによると俺は無能な冒険者

らしいじゃないですか、そんな無能な俺にお願いするより警備兵とかにお願いする

方が早く捕まると思いますけど、彼らは有能ですしね」

別にさっきの発言を聞いて拗ねたり気にしたりしてる訳では無い。

この街の警備兵は有能で各々が独自の情報を有しており、どんな犯罪も三日と

掛からず解決してしまう。

俺や舞よりよっぽど有能で頼りになる存在だと思う。

「警備兵はダメなんです、啓太様にお願いしたいのです!」

そう言いながら俺の手を取り、両手で強く握りしめるマリさん。

あれ、なんだろうこのドキドキ。

「そそそ、その共犯者の手掛かりとかあったりするのですか?」

思わず声が裏返ってしまった、だが動揺している訳ではない。

「決定的な証拠は無いのですが、共犯者は料理に使われる調味料を仕入れていた

らしいのです。残念ながらこれしか情報はありません」

調味料か・・・うん、全く分からん。

それに引き受けようにもミケさんの店を再建するという仕事もあるしな。

仕方ない、ここは断るか。

「あの、やっぱりお断りしま」

俺の断ろうとする言葉を遮るようにマリさんがまた俺の手を握りながら。

「引き受けてくれたら後日私で良ければ・・・その、デートさしていただきます

。私じゃ魅力に欠けますか?」

潤んだ瞳が俺を真っすぐに見つめる。

そんな瞳を俺も真剣に真っすぐ見つめながら。

「僕に任せてマリさんは大船に乗った気持ちで待っててください」

俺はそう宣言しながら休憩スペースを後にした。

結局口喧嘩が止まらず疲れ果てて話にならないので、色気満載の大罪人とスレン

ダーボディの尋問官を残し、俺達は家に帰宅する事にした。


「ちょっとどうすんのよ啓太、あんな私の事をお付きの者呼ばわりする女の依頼

なんか受けて大丈夫なの?もしかしてまた色仕掛けに落ちたんじゃないでしょう

ね。どうしてこう啓太はちょろいのかしら」

朝起きて間もなく俺は舞から小言を言われていた。

どうやらコイツはマリさんの事が気に食わないらしく、仕事を引き受けた事を

怒っているらしい。

「お前さ、俺の事ちょろいって認識をそろそろ改めろよな、あとマリさんはお前が

思ってる程悪い人じゃないし、共犯者がこの街にいると聞いた以上無視は出来ない

だろう。民間人が安心して生活出来るようにするのも冒険者の務めだ」

「そんな事言ってどうせ、引き受けてくれたら私がデートしてあげますとか言われ

て鼻の下を長くしながら引き受けたんでしょ?」

コイツのこの野性的ともとれる勘の良さはどこから来てるんだ。

まあ、鼻の下なんか長くしてないけどな。

「俺が引き受けた理由はさて置き、お前もどこに共犯者がいるかとか考えろよ」

俺が食パンを食べながらそんな事を言うと。

「考えてあげても良いけど、私にも何かご褒美が無いと嫌よ」

ご褒美・・・?何言ってんだコイツ。

「報酬が出たら半分こって事で良いか?」

そんな言葉を聞いて何故か俺の頭を一発叩き声を荒げる舞。

「そんなの当たり前よ!報酬とは別に啓太が私に何かご褒美を渡すのよ、知っての通り私だって立派な女の子なんだからゴミみたいな内容のご褒美だったら覚悟しな

さいよね」

分かったなんて一言も言ってないのに何故か渡す羽目になってしまった。

まあ、ミケさんの魔道具店で適当に面白そうな物を買って渡せばいいか。

何より今は人手が欲しいし、日本に居た頃は料理をしていた舞が手伝ってくれる

のは正直有り難い。

「じゃあ手伝ってくれるという事で、何か共犯者について気付いた事とかあるか?

俺は今の所さっぱりなんだが」

舞はソファでティーカップを揺らしながら膝を組み。

「啓太は何も知らないのね、こんな時の為の名言があるのよ」

「なんだよ名言って、というか無駄にティーカップを揺らすのはもしかして名探偵

を気取ってるか?だとしたら腹立つから止めてくれ」

俺のそんな言葉を無視して舞は膝を組み替えながら話を続ける。

無視をするとこを見ると名探偵の真似をしてるのが図星らしい。

「馬鹿で無知な啓太に教えてあげるわ!その名言を!それはね!」

「なんだよ、もったいぶってないで早く言えよ」

「現場百回よ!!」


現場百回、最初は何言ってんだコイツとか思ったが、情報が無い俺達にとっては

被害者に話を聞いて回るしかなかった。

被害者の方々は主に恋人や家族を奪われた人達ばかりだった。

その同情しか出来ない人達の話を聞くと。

「もうあの事件の話はしたくないのよ・・・帰ってちょうだい」

「あの女にはもう関わりたくない!もし関わったらまた彼氏を奪われるわ!」

「そんな事より貴方は神を信じますか?今入信するとこの石を・・・」

主だった被害者に話を聞き終えた俺達は酒場で昼ご飯を食べに来ていた。

「こうも被害者が軒並み荒んでいるとこっちの気も滅入るわね、私少し人間が

信じられなくなってきたもの」

「そんなこと言うなよ俺だって辛いんだから、それより話を聞いて何か気づいた

か?」

舞はバーニングチキンのソテーを食べながら。

「一つ分かったわよ、話を聞くにあの女が被害者に出してた料理は焼き魚ばっかり

らしいじゃない?この世界には醤油がない、つまりは私塩が怪しいんじゃない

かと思うのよね」

なるほど塩か、醤油を使わない魚料理と言えば焼き魚が一般的だ。

調味料のさしすせそにも入ってるし。

「そこで啓太君」

「だからお前名探偵気取って俺の事ワトソン君みたいなノリで呼ぶの止めろ」

俺は卵かけご飯を食べながら舞にツッコミを入れる。

「塩と聞いて啓太は何か引っかかる事は無いかしら。私達最近美味しい塩を食べた

と思うのだけど、どうかしら」

俺はそこまで聞いた段階でピンと来た。

「でも事件にあれが関係してるとして、食べた俺達が何ともないっていうのは

どうなんだ?それにあれはフルオライトの料理店でも一般的に使われてるん

だろ?」

舞は背中に背負っていた鞄から何か書かれた紙を取り出した。

一枚目に昨日牢屋で見たお姉さんの似顔絵が見えたが。

「これは事件の調書なんだけど、どうやらあの女は特殊な薬を調味料に混ぜて

使ってたらしいのよ」

なるほど、だとしたら俺達やフルオライトで出された料理を食べた人が

何も起こらなくても当然だ。

「という事はあの塩を売ってる店に取り敢えず行ってみるか。あ、お前その調書を

どこから盗んだか後で聞くからな」

「何を言ってるのか私には分からないわね、早く行くわよワトソン」

「今はっきりとワトソンって言っただろ、おい」

数年ぶりのポケモン面白いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ