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7話 望んだ光。

お願いします!

暗い世界の中に確かな光があった。



俺にはその暗闇が、タダ一人で生きてきた自分自身の世界に見えた。


...そして闇が渦巻く世界を対照的に存在した光は、俺にとっての希望を感じた。



自分でも何故そう思っているのかは分からない。


でも、そんな一人寂しい暗闇の世界よりも光がある世界を求めるのは当然の事だった。



だから俺は其の光を目指して歩いた。


どれくらい経ったのかは、分からない。


俺は歩き続けている間、呆然と真っ直ぐ足を進めて行った。


……感覚的には、一瞬でついた様な気がする。



直ぐに闇と光の世界を繋が小さな橋を見つけた。


俺は暗闇で生きたいだなんて思えない。



一人は嫌だ、其の想いだけはずっと持っていた。


だけど現実の世界では、其の想いを叶える事は無理に近いんだよなぁと、人ごとの様に考えている節があった。


俺はイケメンでも無いから勝手に女の子が寄ってくる訳じゃないし、青春謳歌している様な人間でもないから先ず人間がそんなに寄って来なかった。



だからもしそう言う人か寄って来たら信用が出来なかった。


でも此処は違うタダ橋を通って光があると思っている世界へ行くだけで想いが叶う。


なんて簡単な世界なんだ。


そう思い俺は止めていた足をもう一度進め橋を渡ろうとするが先客が立っていて渡る事は出来なかった。


目の前の橋は、丁度一人しか渡れない。


だから俺は早く渡ってくれと言う為に声を掛けた。



『……あの、すいません。早く渡って貰えませんかね?其れか先に行かせて貰っていいですか?』


俺の声が聞こえた目の前の男は振り向かぬ侭、話し掛けてきた。



『...お前は、未だコッチじゃないだろう?...裕也。』


『え?』


俺は何処かで聞いた事がある声に耳を疑った。


...聞き覚えのあるじゃない、忘れられない声だった。


俺は声を震わせながらも返事を返した。



『….親父、











最近良く夢で見過ぎじゃないですかね?』



ズルッ!


背中だけを見せていた親父は何も無い所で、滑りこけていた。



『...そうじゃないだろう。』


親父は直ぐに立ち直して俺に顔を見せる事はなく再び話し掛けてくる。



『…そうじゃないって、何が言いたいんだよ。』


『お前は未だこっちに来るな。』


『来るなって...なんでだよ。何時も一人なんだから...夢の中ぐらい明るい世界に行かせてくれよ。』



未だ...俺は未だ頑張れる。


そう思って生きている、実際に未だ頑張れると思っていた。


人前には絶対に吐かない、弱音を夢だから良いかと思って口にした。



だけど、親父は其れを許してはくれなかった。


『駄目だよ。』


『何でだよ!コッチの世界に良い事なんか無いんだよ...何処に、光がっ、光が.....在るんだよ。』


俺は親父の前だからか夢の中だからか分からないがそう叫んでしまっていた。


『………そっちにもあるさ。』


親父はそう言うと俺の後ろを指した。


『ないよ。在る訳が無い...』


『ある。』


『な


『いいから、見てみろ。』


『……分かったよ。』



俺はそんな訳がないと思いながらも渋々、後ろを振り向いて前を見た。


当たり前だが、後ろは真っ暗だ。


当然、何も無い。


そう思い俺は親父に話し掛けようとする。


『やっぱり、無いじゃ..


『ある。お前は怖がって見てないんだよ...もっと、じっくり見てみろ。』


『………』



俺は薄目でじいっと、見つめた。


すると、初めは見えてなかった筈だというのに薄っすらとだが確かな光が見えた。



『っ!...』



思わず、目を見開く。


そんな俺を分かっていたのか、親父は嬉しそうな声音で口を開いた。



『ほらっ、あっただろう?難しいかもしれないが...そっちにも在るんだよ。だから頑張れ...お前は理由をつけて其れを欲しがる癖に何時も掴もうとしていないだろう?』


『……親父。』


『今だって、難しいかもしれないが其の光を掴めるかもしれない所にいるじゃないか。お前が欲しがっているものは元からそんな物なんだよ。大丈夫だから、な?...行って来なさい。』



親父は最後に何時聞いたのかも分からない優しい声音でそう言った。


今の親父の言葉の意味を何と無く理解しながら、答えた。


『………うん。』


親父の言葉を聞いた俺は何故かそうしようと思えて、ゆっくりと歩き出していた。


俺は親父に背を向けて歩き出す。


当たり前の事なんだが、親父と俺の進むべき道は違うからなんだろう。


そう思うと何故か心が冷たくて痛かった。


其れでも振り向くことはせず歩き続けていると最後に声が聞こえた。



『裕也ー!飯ぐらいはしっかり食べろよー!』



またそれか。そう思いながら手だけを振り意思の疎通が出来たのかも分からないまま、俺歩き続けていった。



光を掴む事が出来るかもしれない所に来ていると親父は言っていた。



勿論夢だとは分かっているが、俺もそう思っていた。


多分柳さんの事だ。


柳さんを手伝ってやるから俺を養ってくれとは言うつもりは全く無い。


それは違う。


ただ俺は柳さんの手伝いを1回目として、光を掴もうとする努力を始めようと考えを改めていた。



掴もうとしなければ、手に入らない。


そんな当たり前な事さえも、全てを失くした俺は無意識で怖がっていたんだと思う。

















『なんて言う、夢だよ。』


俺はよく入る生徒指導室のなんか良く分からないがちょっと高そうに見える、黒塗りのソファーの上で目を覚ました。


壁に掛けられた時計を見ると、驚く事に午後3時を指している。


どうやら、朝方に殴られてからずっと眠っていたみたいだった。


『…あの、先生。何れ教育委員会になんらかの罰でも喰らわされるんじゃないだろうか。』



そう呟きながら俺は立ち上がり教室を出た。


そろそろ、放課後の時間だ。


何時もの俺ならもう帰っていたのだろうが、今日は違った。



俺に何が出来るのかは分からない。


しかし、柳さんは俺の中にある何かを感じて頼やってきたのだから、出来るだけやってみよう。


そう思いながら、俺は栗林先生が使っている研究室を目指した。

何方か、評価ありがとうございますっ!!


此れで、もう少し頑張れますっ!!



見てくださってありがとうございました。



明日も0時に投稿します。

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