14話 決意
出すの忘れてましたすいません。
初めて、イケメンに物申した俺は何とも言えない解放感を味わいながら道を歩いた。
最初の頃は5分ぐらい捕まって解放されてたと言うのに、此処2日ぐらいからヤケに長い時間捕まっていたので流石にイラついてやってやったぜ!!
始めはそう考えていたが、直ぐにそんな思いは虚空に消えてしまっていた。
早足で歩いていた足を止め、ふと薄暗くなった空を見上げる。
九割型日が沈んだ空は濁った黒色の曇と交わって、灰色に濁っている。
そんな景色を前にして影響受けたのかも知れない。
俺の内面も同じ様に不安で灰色に濁っていた。
『……明日、あそこら辺のイケイケ集団に捕まってボコボコにされるみたいな事は...起こんないよ、ね?』
思わず零してしまった此の言葉の所為で更に不安になってしまう。
無いとは思いたいのだけど、何故か絶対に無いとは言い切れない自分がいるが其れも仕方のない事だった。
….クラスで目立つ様な連中と言うものは、文字通り群れ合う様になっている。
俺は此れを【最近のジャ○ニーズによる法則】または【アイドルの法則】呼んでいる。
此の法則を詳しく話せば、俺は国やら世界等とは
違うもっと大きな何かに殺されかねないので簡単に概要を説明させて貰おう。
皆さんは男のアイドルグループというものを知っているだろうか
アレは簡単に言えばメディアで売り飛ばせば先ず売れないであろう多くの雰囲気イケメンを本物のイケメンをセンターに置く事で、なんか其れっぽく見せて売り飛ばす商売だ。
確かに数十年前迄は、実力があり人を惹きつける何かを持った人間達を集める事でお互いの長所を其々が持つ短所を補う事で偶像化させていたのかもしれない。
しかし今は違うとはっきり言えた。
言葉が悪いのかもしれないが、最近のアイドルグループは真ん中のイケメンさえも良く分からない面構えの男を置いて売ろうとしている。
ホントに何処が偶像なのだろうと考えてしまう自分がいた。
さて此処までの説明を理解した上でクラスと置き換えさせて貰おう。
例えば一人では少し目立つ様な男子生徒がいるとしよう。
世間からも、第三者視点から見た時に何の特技も特徴もないただの一般人でしか無い。
しかし、そんな一般人達も集まり群れ合う事でコミュニティを作るとアイドルと同じ様に先生や女子生徒達からチヤホヤされる不思議現象が全国各地で検証されている。
此れが【最近のジャOニーズによる法則】だ。
その為、彼等は調子に乗り易く。
俺達、目立たないグループを下に見て馬鹿にしてくる人間が多い。
しかも今回俺が恐れを抱いたイケイケ集団は世間的に見て能の無い男だけがいる訳ではなく、センターに立つ森宮は客観的に見て能がある人間に部類されている。
だから森宮がいるイケイケ集団は、その辺に転がっている様な最近出来た御当地アイドルグループなんかより力を持っていると錯覚しているから怖かった。
力を持っている侍が自分より圧倒的に劣っている農民に腕を噛まれでもすれば、全力で殺しに掛かってくるのと同じ様な事が今現在、世界中で起こっている事を理解して欲しい。
今見たいな話は現実では存在しない、あり得ない
なんて事を言える人間は何か勘違いしている馬鹿か産まれながらにして絶対的な力を持っている人間ぐらいだろうが...
多くの人間はそうじゃ無い。
「あいつ、俺に逆らったからボコろうぜ」みたいな事が起きるのは全然ありえてしまうのだ。
『はぁ..何であんな事言ったんだろうな。』
そう言いながら改めて後悔するがもう遅い。
頭で考えて理解出来る迄にどれ位の時間が経ったのかは分からない。
気づけば薄暗かった景色は完全に闇と同化して夜空になっている。
今日はあまり..柳さんと一緒に入れないなぁ
無意識にそんな想いが頭に浮かび、気づかないうちに俺の足は動き出す。
そして数メートル進んだ所で走り出していた。
気がつけば、足は川柳の入り口の前で止まっていた。
別に何時に来いみたいな事は言われてない。
しかし誰がどう見ても今日は来る時間が遅く、既に7時を超えていた。
怒られるかもな...
俺は、少しだけ不安に駆られながら扉を開けた。
『おはようございます!すいませんっ、遅くなりましたっ!!』
取り逢えず、自分が出せる精一杯の空元気を見せて中へ入る。
帰って来る言葉が罵倒や遅刻を責める言葉であったとしても、勢いで誤魔化そうと俺は考えていた。
だけど、帰って来る言葉はそんな冷たい言葉では無かった。
『大分、遅くなってましたけど...何かあったんですか?』
『大丈夫だったかい? 遥は5時には帰って来てたからホントに事故でもあったのかと思ってたよ。』
柳さんと店長は俺の方を向いて、そう話しかけて来る。
二人の言葉は、俺の予想していたモノと正反対のとても暖かい物だった。
『……………あ。』
駄目だ、何かが胸に込み上げて来る。
その何かは抑えようと思っても抑える事が出来ず、目が霞み始めた。
初めは霞んでいただけだった。
だけど時間が経つ毎にその霞みは増え、最後には....
崩壊してしまっていた。
『どうしたんですかっ高榊君っ!?急に涙がっ..』
『えっ?』
驚く柳さんの声が聞こえた俺は、瞼の下に掌を当てる。
何となく分かっていたが、当てていた掌を離すと水分が付着していた。
『………』
何かを言葉にする事もなく自身の涙で濡れた手を見つめながら俺は考えていた。
何故急に涙を流していたのかと。
どうして、二人の会話を聞いた時に想いが込み上げてしまったのかと。
その答えは簡単だった。
俺は店長と柳さんがいる此の川柳に、失った筈の【家族愛】の様な物を勝手に感じてしまっていたんだ。
川柳に遅れて着くと心配され、朝ここに来てから学校へ向かうと手作りの弁当を渡して貰える。
こんな幸せな事は、家族がバラけてから今迄一度たりとも無かった。
見る人からすれば、今の俺は何を言ってるんだと思うかもしれない。
心配は人手が足りないからと店長達が危惧してるだけで、手作りの弁当も朝来てくれたから謝礼として渡しているだけだと冷静な人は考えるのかもしれない。
だけど俺はそう取る事ができず、二人は善意だけでしてくれているのだとしか思えなかったんだ。
心配する二人を俺はボヤけた視線で見つめようとするがハッキリ見えない。
しかし、そんな中でも見えて来るものは確かにあった
次の瞬間、流れ続ける涙を擦りながら改めて決心する。
俺にとって大切な場所に成り掛けている此の場所を全力で守ろうと。
ありがとうございました!!
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