プロローグ
此処だけ重いです。
何時も、俺の親父は苦しそうに働いていた
家族にお腹一杯食べさせやる為に
家族を路上で生活させない様に
俺を大学まで行かせてやろうと頑張っていた。
お前は絶対に大学まで出ろ、其れが親父の口癖だった様な気がする程に言い続けていた。
何時も苦しそうに、しんどそうに、働く親父を見ていた俺はそんな言葉の前には誤魔化す様に答える事しか出来なかった。
其れは俺は勉強が嫌いだったからというのも、あるがそんな金を出して貰いたく無かった。
何時も苦しそうに見ている親父を見ていた俺は、此れ以上苦しそうに働く親父を見たく無かったのかもしれない。
7歳の時にはもうそんな事を思いながら答えていた。
一年後、更に苦しそうに、しんどそうに働く親父を見ていた。
小さな俺よりも大きな身体をしている筈だと言うのに、自分より身体の線が細く頰もやつれていて俺がもし殴られば死ぬかも知れないと思ってしまう程に弱っていた。
何時もこの時俺が何とかして親父を止めて居ればこんな事にはならなかったんだろうなと本気で後悔してしまう。
しかし、そんな後悔はもう遅い。
遅すぎた。
数ヶ月後、親父が倒れた。
身体を酷使し過ぎた為に抵抗力が落ちてしまい幾つかの病気を患っていた。
その事を知った俺は何とか親父に仕事を辞めさせようとした。
会社も自社が原因で死なれては困ると考えて少なく無い退職金を渡して無理矢理、親父を辞めさせた。
此れからは貧乏になるだろうが其れでも俺は良かった、家族がいてくれさえすれば良かっんだと思う。
出来る限り、力になろう。
そう思いながら心機一転の生活が始まった数日後には
親父は直ぐに死んでしまった。
その後の言葉のあまり覚えてないが、妹と母親は、直ぐに何処かに行ってしまう。
周りは新しい金持ちの男を見つけたのだろうと言っていた。
初めは俺も母親の新しい男の元に行く事になっていたのだが、男の方が娘しか受け入れないと言ってきたらしく、俺は置いて行かれた。
少しだけ泣いたけど、此れで良かったと思ってる。
俺の生活は苦しいだろうけど、他の家族は不自由なく生活出来るから。
俺だけ、たった一人で生活する事になったとしても良かった。
其れから、数年が経った。
俺は築60年の光熱費込みで三万五千円の超ボロアパートに一人で生活している。
無駄に広い10畳の部屋の真ん中にある、ゴミ捨て場から拾って来た、卓袱台の上で高校紙の進路希望表を書いていた。
俺は少しだけ悩んだ後、三つある欄に進路の希望と一番下にもう一つだけ書き殴った後で呟いた。
『寝るか。』
明日も朝早くから新聞配達があるのでさっさと寝る事にした。
俺の書いた進路希望表にはあまり見ない様な進路が書かれている為に明日学校で怒られてしまうのだが、そんな事は知らずに硬い畳の上で小さく丸まり睡眠を取った。
第一希望 専業主婦
第二希望 お嫁さん
第三希望 冒険者
だいよんきぼう 大学
重いのは此処だけです。
22時頃、出すんでよろしく!