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創星のレクイエム  作者: 有永 ナギサ
1章 第3部 運命の出会い 

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42話 追跡


 陣たちはリルを先導に走っていた。

 そしてたどり着いたのは今日リルと出会った、工場地帯が近くにある海沿いの道。ここら辺りは特に店もなく、人がなかなか寄り付かない場所。さらに陽が沈む暗くなっている今だとなおさらであり、人の気配はほとんどなかったといっていい。

 すでに辺りは薄暗くなっており、設置された街灯がつきだしたころ合い。そんなどこか不気味な海沿いの道を、三人で駆け抜ける。


「――はぁ、はぁ……、ねえ、リルー、この先に本当にいるの?」


 灯里が息を切らせながらたずねてきた。


「どうやらそのようだ。この空気が凍りつくような圧迫感。間違いない。この先で殺気を出して、待ちかまえてるぞ」


 ここまで来ると陣でもわかる。なんとここら一帯に、強力な星詠(ほしよ)みの余波を感じるのだ。おそらく相手はわざと自身の星の輝きを漏らし、誘っているのだろう。目的は不明だが、闘争心に満ちているのだけはわかった。


「ジンくんも感じるんだね。うん、この星の余波。間違いなくサイファス・フォルトナーと同じなんだよ」

「これが例の星の輝きか……。ははは、この禍々しさ、なるほど。ぞくぞくするぜ」

「陣くん、リル! あそこに人影が!? あれ? でもあそこにいるのって……」


 あまりの星の輝きに感動していると、灯里がふと気づき指をさした。

 彼女の指さした先を見ると、確かに人影が。しかしどういうことか、その人物は陣にとって見覚えのある人物であった。


「クレハ? どうしてここにいるんだ?」


 そう、そこにいたのは陣の幼馴染、クレハ・レイヴァース。彼女は戦意をたぎらせ、すでに臨戦態勢をとっていた。


「それはこっちのセリフよ。あんたたちなにしにきたの? ここは危ないから今すぐ……、ッ!?」


 クレハは陣たちに気付き、あわてて避難をうながそうと。だが次の瞬間、彼女は異変を察知する。


「やつめ、逃げやがった!? チッ、追いかけるぞ!」


 この異変は陣も気づいた。

 さらに奥の方で、誰かが(きびす)を返すのが見えたのだ。その人物こそ、星の余波を()らすターゲットに違いない。おそらく陣たちという予定外の乱入者を察知し、この場から立ち去ることにしたみたいだ。

 追いかけようとする陣だが、クレハに腕をつかまれてしまう。


「陣、待ちなさい! あの星の余波はそこらの創星術師と違う。星詠みを使えないあんたに、手に()える相手じゃない。ここはワタシに任せて引き返しなさい」

「ははは、聞けない相談だな。あいつはオレの得物だ。むざむざ引くわけには」

「ダメ! あいつだけはやめときなさい! あの星の輝き、すごく嫌な予感がするの!」

「クレハ?」


 クレハは陣の腕をつかむ手にぎゅっと力を入れ、必死に危険をうったえてくる。

 その彼女の青ざめた表情から見るに、相当ヤバイ相手みたいだ。


「――はぁ、はぁ……、陣くん、リルー。わたしもう走れないよー……」

「ジンくん、残念だけど、もう相手は離脱したみたいなんだよ」


 リルは息切れする灯里を見て少し思考したあと、告げてきた。


「なに? 魔法を使って一気に距離を取ったのか。――クソッ」


 どうやらこの場でとどまっている間に、敵はもう離脱しきったらしい。さっきまで感じていた星の余波は、ほとんど感じられなくなっていた。これでは今から追いかけても、捕まえることはかなわないだろう。


「――クッ、ここまで来て見逃すなんて……。次は絶対つかまえてやるからな」


 陣は敵が去ったであろう方角を悔しそうに見つめ、決心をあらたにするのであった。






1章 第3部 運命の出会い  完

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