表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創星のレクイエム  作者: 有永 ナギサ
              3章 星海学園 下

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/114

111話  創星クラブの報告


 少し曇った空の下。陣とリルはマンションを出て、登校の待ち合わせ場所である広場前へと来ていた。とはいえいつもの集合時間より早い時間。なのでほかの学生たちの人通りも少なく、辺りはわりと静かといっていい。


「――とまあ、これが創星クラブでの出来事だ」


 さっそく陣は昨日の創星クラブであったことを、奈月に報告する。


「今あそこってそんなことになったのね」


 奈月はほおに手を当て、肩をすくめた。


「マジでやばかったぞ。みんなレイチェルさま、レイチェルさまってあの心酔っぷりは異常だった」

「――レイチェル・オルコットね……」

「オレも会ったが、ただものじゃなかったな。なんていえばいいか。まるですべてを見透かされているような……、とにかくオーラみたいなのがすごかった」

「陣がそこまで畏怖いふされるなんて、一体なに者なのかしら?」

「あの子が創星術師なのは間違いないんだよ。しかもかなり純度の高い星を持っているね」


 リルが神妙な面持おももちで教えてくれる。

 彼女もまたレイチェルに、畏怖の念を抱いているみたいだ。


「――そう、やっぱり創星術師。ますますきな臭い人物のようね」

「身分を偽装しているらしいし、なにより星魔教関係者でもないのにあのグレゴリオ大司教と会っていたってのがあやしすぎる。やっぱりカーティス神父やルシアが予想してるように、レーヴェンガルト側の人間なのか」

「実はこっちもカーティス神父の依頼で、クロノスの情報網を使ってレイチェル先輩のことをいろいろ調べたの」

「どうだったんだ?」

「身分は確かに偽装されてた。そこから本当の彼女の身分を調べたんだけど、かなり難航してるわ」

「クロノスの情報網でもダメなのかよ」

「ええ、わかるのは神代側でも、レイヴァース側の人間でもないということかしら」

「ますますレーヴェンガルト側の人間の可能性が出てきたな」

「陣にはアタシからもレイチェル先輩の調査を頼むわね。カーティス神父が危惧してるように、学園内で暴れられたら困るもの。とくに今はクレハ・レイヴァースがいるし、創星クラブがなにしでかしてもおかしくないわ。レイヴァース側との戦争は上等だけど、できればタイミングの主導権はこっちがにぎっておきたいもの」


 奈月は髪を優雅に払い、大局たいきょくを見すえながらオーダーを。


「了解、オレも興味あるし、調査がてら少しちょっかいかけにいってみるよ」


 陣自身レイチェルに興味が出ていた。リルいわくかなりウデの立つ創星術師らしいので、後学のためにも彼女の星の輝きを見ておきたかったという。


「ただ気を付けなさい。創星クラブの今の状況もそうだし、例のウワサの件もある」

「ウワサだって?」

「少し前からあるウワサよ。星詠ほしよみに思いをはせていると、謎の美少女が急に目の前に現れて魔道の深淵しんえんにいざなってくれるんですって。そこで手をとったら最後、星詠みに人生を捧げることになる。だからそれがイヤならすぐに逃げろって。ちなみに今のところ逃げられた人はいないらしいわ。みんな自分から少女の手をとって、魔道に堕ちていってるみたいよ」


 奈月がなにやら雰囲気を出しかたってくれる。


「なんかちょっとした怪談話みたいになってるな」

「もちろん怪談話でもなく、実話よ。そのレイチェル先輩の手をとって、みんな今では創星クラブの一員になってるようね。調べたところかなりの数が、堕とされてるわ」

「うわー、それはやってるな。しかも全員確実にとかやばすぎだろ」

「実は里村さんからアタシも、少し魔道のことで相談を受けていたの。彼女は確かに星詠みにあこがれを抱いていたけど、ちゃんと線引きはできてるさとい子だった。そんなあの子が、レイチェル先輩と少し話しただけで考えを変えるとは思えないわ。それにあれだけ家柄いえがらに踏んぞり返っていたアルノー・グレーナーの心変わりようも、あきらかにおかしいし。本当に洗脳とかしてるのかも」


 声をかけた人間を次々魔道に堕とし、心酔させるなんて普通にできる芸当ではない。とくにアルノーの別人になったような変わりよう。レイチェルのため彼女の先兵となり命を賭けることもいとはないあの崇拝すうはいぶりは、あまりに異常すぎる。なにか裏があるのは間違いないだろう。


「ははは、向こうがなにかしでかしてくるなら、しっぽをつかむチャンスだろ。むしろ望むところだぜ」


 正直、それが一番手っ取り早いと思っているほどだ。向こうから仕掛けてくるなら、こちらも正当防衛ということでいろいろと打って出れるというもの。その過程でなにか聞き出せるかもしれない。それにレイチェルの星の輝きも見れるため、陣にとって願ってもない状況であった。


「とにかく油断しないようにね。アタシもレイチェル先輩のこと調べてみるから」


 こうしてレイチェルの調査を開始する陣たちなのであった。


すみません。110話 末緒の選択を少し修正しました。

レイチェルがグレゴリオ大司教と会っていた、という会話を追加させてもらいました。


「――それってもしかしてレーヴェンガルトか?」

「はい、実はレイチェルさん、グレゴリオ大司教となにかしらのかかわりがあるみたいで。二人で会話している姿が目撃されているんです」

「あのグレゴリオ大司教と?」

「彼はレーヴェンガルトと深くつながっていますから、レイチェルさんももしかすると」

「その可能性は確かに高そうだな。よし、こっちも調べられたら調べておくよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ