表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マシン・ブレイカー ―Crusaders of Chaos―  作者: マシン・ブレイカー制作委員会
44/54

四十四話 地下に潜む陰謀とヤミ

 動き出したのは、井伊が新垣に話していた、例の地下道のうちの一つ。

 政治家の家の地下であった。

「まさか、こっちが動き出すとはな……」

 A-Sこと、アスナは思わず、呟く。

 ライトがなくともそのゴーグルで、周囲を見渡せることができるのだが、万が一に備えて、地下道に張り巡らされたライトの電源を復旧させた。

 少し時間がかかったが、これでゴーグルが壊れても何とかなる。そう、アスナは思っていた。

『A-S、そっちはどうだ?』

 通信機から新垣の声が聞こえた。

「ああ、何者かが中に潜んでいる形跡を見つけた。恐らくこれは……」

 周囲を警戒しながら、駆けてゆくアスナの前にあったのは。


 機械と機械が仲間割れしている姿だった。

 けたたましい音を響かせながら、その2機は戦闘を続けていた。


 機体に記されているロゴは、ヨシオカ・インダストリーズのもの。

 つまり、このマシン達は黒島の息のかかったマシンともいえる。

「しかし、なんで仲間割れなんて?」

 いや、それよりも、こいつらを始末する方が先だ。

 この近くには、一般市民の住む家々が並んでいるのだから。

「新垣、ヨシオカのマシンを2機確認。これから殲滅に向かう」

『本当にいたのか?』

 驚く新垣の言葉をそのままに、アスナは《身体強化フィジカルブースト》を発動させ、2機のうちの1機に狙いを絞る。

「お前に恨みはないが」

 閃光。

 光を帯びた剣でマシンのコアを一撃で粉砕。

「消えてもらう!!」

 そのまま蹴り上げて、距離を取る。

 攻撃する目標がなくなったためか、マシンの狙いがアスナへと切り替わった。

 ふわりとアスナの長い髪が揺れた。

「今度はお前だな」

『ガガ、ギギギギ……』

 壊れたような音を出しながら、マシンが突進してきた。

 《身体強化フィジカルブースト》の力を右手に集中させて。

「お前も消えろ! 機械に用はない!!」

 ガリガリと音を立てながら、相手の装甲を引っぺがす。むき出しになったコアへと、アスナは剣を突き立てた。

「これで……終わりだっ!!」

 アスナが離れた途端、機械は爆発し、炎上した。

 すぐさま消化機能が作動し、周囲のスプリンクラーが火を消していく。

 だが、機械の音はまだ止まる気配がない。

「これは……まだいるのか?」

 どうやら、遠くの方にいるようだ。

「新垣、スタンバイしててくれ」

『はいはい。準備しておきますよ、お姫様』

 そのお道化たような新垣の声にアスナは、いつもより低い声で。

「姫は余計だ」

 そう怒ったのであった。



 数時間後、大量の機械を引き連れて、アスナは出口を飛び出してきた。

 恐らく、百は超えているだろう。

「おやまあ、そんなに飲み込んでたのか、この秘密の通路は」

 代わりに立ちはだかるのは、新垣。

 その体の周りには、湯気のようなものが立ち上がっていた。

「けれど、ここに出てきたのが運のツキだ」

 にっと笑みを浮かべ、ぱちんと狙いを済ませたかのような、指を鳴らす音が響いた。

 とたんに、目の前にいた機械達が、次々と動きを止めて壊れていく。

「はい、一丁上がりっと」

「流石だな……」

 その横で地面に座り込んでいるアスナが声をかける。

「僕もお前のような力があれば……」

「ん? なんか言ったか?」

「いや、何も……ところで」

 そういって、息を整えたアスナが立ち上がり、体に付いたほこりを落とす。

「こいつら、盛大に仲間割れしてたけど、どうなってると思う?」

「中で言ってたアレか……黒島が仕掛けるにしては、お粗末な話だが……」

 新垣の言葉に、アスナは頷く。

「ああ。それに我々を罠にかけるというのなら、もっと別の方法もあったはずだ。しかし……」

「それがないってことか。まあ、奴さんもある意味、必死なんでないのか?」

「そうだといいんだが……」

 何かが違うと、アスナの勘が告げているような気がした。


 ――早苗、お前が生きていれば、何か分かったのかもしれないな……。


 そう心の中で呟いて。

 こうして、魔導課は更なる戦果を得て、一路、本庁へと帰還するのであった。




 一方、その頃。

「これは……どういう事ですか!?」

 赤羽が珍しく、黒島に詰め寄っていた。

 予期せぬ展開。そう、この事件は赤羽が仕掛けたものではなかった。

 それは、黒島とて同じ。

「おやおや、なんであの子達、動いてしまったんだろうね?」

 ノートパソコンのディスプレイに映る様子を見ながら、黒島は首を傾げた。

「そうではないでしょう!? あなたじゃないというのなら、誰が……」

 怒る赤羽に黒島は、笑みを浮かべる。その瞳は、遠くにいる誰かを見据えるかのように冷え切っていたが。

「いるじゃないか、一人……早苗だよ。これは面白くなってきたな……クックックッ」

 その剣幕に赤羽も思わず息を潜めるのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ