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マシン・ブレイカー ―Crusaders of Chaos―  作者: マシン・ブレイカー制作委員会
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二十九話 確保対象者 国崎 亮平

 魔導課のメンバーの能美と新垣が来る前に、警視庁公安部の人間達が既に、現場を引き上げようとしていた。

 能見が拠点に近づいた時に、一人の公安の刑事が、呟いた。

「魔導課の皆さん。来ても無駄ですよ」

「あの少年とメイドロボはもうすでに、いませんから……」

「報告、どうも」

 能見は軽くため息をつきながら小さい声で捨て台詞を吐いた。

「対象者の確保失敗したくせに何よ!? あいつら……」

 新垣は面倒くさそうに、たしなめながらも公安への皮肉を小声で能見だけに聞こえる様に言った。

「能見さん。仕方ないですよ、彼らも警視庁の襲撃テロが起きたあとですから、ピリピリしているのは間違いないっすからね。その上、魔導課は総監のお墨付きという印をもらってるわけですからね。よほど嫌なんですよ彼らは。それにさっき総監に怒られてたし……」

 国崎の拠点に二人が入ると、中は国崎達が急いでいたのか、物が散乱し、人が住める状態ではなくなっていた。

 能見は色々と拠点内の残状を電子警察手帳のアプリ機能である映像カメラを起動して、拠点内をくまなく映像を残す。

 新垣は神妙な面持ちで現状を見つめている。

「ひどいな……何があったんだ?」

 能見は、カメラのズーム機能で奥の部屋に一台のパソコンが見えた。電源がついている。

「新垣、これ」

「えっ?」

 新垣は、パソコンの内容に驚愕する。

そこには、とある依頼文が載っている。

 

 

 

 

【いきなりのメールを失礼する。私の名前を教えるわけにはいかないのでね。仮の名前として、レッドと呼んでくれ。

 実を言うと君に依頼したい事がある。勿論、君にこの依頼を受けてもらえる様手配した。まずは君宛てに500万の小切手を同封して送らせてもらったよ。それは無条件で受け取ってくれ。

 で、本題の依頼内容だが、警視庁を襲撃してもらいたい。

 この意味がわかるね。実を言うと、警視庁に黒島逸彦の情報があってね。君には是非その情報を掴んでもらいたい。

 掴んだ情報は君に差し上げよう。そうそう、このメールだと信憑性が薄いだろう? だからね、信憑性があるように、黒島逸彦のカルテを送らせてもらった。それで多少は信用してもらえるだろう。

 では、嬉しい報告を期待しているよ。 

                    レッド 】

                    

                    

                    

                    

 能見は新垣の顔を伺いながら呟いた。

「これで、証拠は上がったわね。新垣……」

 新垣はずっと黙ったまま、パソコンを見つめている。

 能見は何も言うまいと思い、その場から離れ、井伊達に連絡をする為に拠点の外へと出ていった。

 一人だけになった部屋の中、ずっと新垣はパソコンを見つめて軽く不敵な笑みをこぼした。

 能見はマイクロフォンを取り出し、耳にはめて電話をする。

「もしもし、能見です。国崎君はどうやら黒に近いです。今そのメールを送ります」

『ああ頼むよ』

 井伊は、能見からメールが送られてくるまでパソコン画面の前で待っている。数分してからメールが来て、内容を読んでみた。

『これは、本当か?』

「パソコンで送られている為、確実だと思われます」

『そうか。能見、急いで新垣と共に国崎及びフィグネリアを捜索し、緊急確保を! 確保の為のアギト使用は、要危険人物対象対策法2条3項の特別事項により許可する』

「えっ? 国崎君を危険人物として判断なさるつもりですか?」

『止むを得ないことだよ。能見警視。我々は一般市民を守る為に我々がいる。いいね?』

 能見は国崎を危険人物として扱う井伊に少々、納得できなかったが、上官の命令は絶対である事を感じ、行動に移す。

「りょ……了解」

『今、AーS、ジョナサンと槇原に緊急出動させて、メガロポリスに規制線を張る。検問命令を既に出しているので、すぐさま捜索してくれ』

「分かりました」

『では、頼むぞ』

 井伊は、電話を切り、耳につけたマイクロフォンを机に置き、頭を掻いた。

「国崎君……君は何をしようとしている……」


―― メガロポリス 東京  ルート133新宿方面 ――


 槙原とジョナサンは、対戦車ライフル装備されている魔導課専用4WDの装甲車両に乗って移動している。

 ジョナサンは後部でタバコを吸いながら、マイクロマップで現在地を照らし、国崎の行方を追う。槙原は運転しながら、ルートを確認する。

「どうやら、総監相当ご立腹みたいだな。検問や規制線を張ってる」

「ああ、明仁が取り乱しているのが久しぶりに感じ取れたぐらいだ。だいぶ面倒な事をしてくれてるみたいだな。あのメイドロボとご主人さん」

『くだくだ言わず早く探してくれ』とジョナサンの耳につけているマイクロフォンからAーSの声が聞こえた。

「へぇへぇ、すいませんね」とジョナサンは、タバコの煙をふかした。

 槙原は運転しながら、AーSに訊いた。

「AーSは今、何処に向かっているんだ?」

 少ししてから、返答が来る。

『今、ルート15からメガロポリスの港区に向かっている』

 AーSはバイクをエンジンを飛ばしながら、話した。

「そうか……いずれにせよ。国崎君を捕まえて事情を聞かないと……」

『ああ、それに襲撃は偽者の可能性があるからな。いずれにせよ予断を許さない状況だ』

 槙原とAーSとの会話で、ジョナサンは一つの意見を提起した。

「なぁ、ちょっとおかしくないか?」

「えっ?」

『?』

「考えてみてくれ。あの襲撃の後、ハウリング・フェンリルを実行する予定だったが、国崎とメイドロボのそっくりさんが襲撃事件を起こして逃走した。こんなにタイミングが重なるものなのか?」

「どういうことだ?」

 ジョナサンは、タバコを携帯灰皿に入れて、言った。

「もしかしたら国崎は何者かにハメられて、容疑者となった可能性が高い」

『それだったらあのフィグネリアの言語設定のつじつまが合うかもしれないな』

「確かに、どうしてこんなタイミングに……」と槙原はハンドルを切った。ジョナサンは答える。

「一つ考えられるとしたら、警察内部に不穏な動きをしている者がいる可能性が高いと言えると思う」

 槇原は、ジョナサンが言った事に驚きを隠せなかった。

「まさか!? そんな……てことは以前の高月みたいに謀反を起こそうとしている人間が警察内部に……」

『高月って、確か前に国崎とフィグネリアに新垣と能見が捜査に向かった事件の犯人だったよな?』

 槙原は首を縦に振った。

 ジョナサンはマイクロフォンのスピーカーから話を聞いている二人に推測を告げた。

「おそらくだが、高月の謀反と並行して情報を漏洩している人間が存在していた、いや、多分、今も垂れ流している人間がいるだろうよ」

「えっ?」

『……』

「もしかすると俺達の中にいるかもしれない」

 ジョナサンはそう答えた。するとAーSの無線が途切れ途切れになった。

『一番考えたくない状況だな……の……に……いる、か、……ザー、ザー』

「おい、聞こえないぞ! AーS! 応答を……」

『ザー、ザー、ブツッ、ツーツーツー』

 電話は途切れ、通話が終了した。

「まさか!?」

 ジョナサンは槇原に告げた。

「急いで港区方面へ向かうぞ!」

 槙原はハンドルを切り、大きく道路をUターンして、港区に向かってアクセルを踏んだ。



 ―― メガロポリス ルート15 ――


 AーSはバイクで移動中、通信ができなくなり、状況を確かめてリダイヤルをするがつながらない。

「どうしたんだ? なんでつながらない?」

 バイクを走らせ、正面数百メートルの所に差し掛かった道路の真ん中で、人影が一人立っているのが見えた。

 AーSは不思議に思いながら、バイクを走らせた。

 人影は、フードをかぶっており、顔がわからないようになっているのがAーSの目で分かった。

 体格から見て、男であることをAーSは理解した。ある程度近づいてバイクを停め、降りた。 

 距離は約40メートル。

「貴様は?」

 するとフードの男は走り出し、AーSに近づいてくる。

 AーSは、接近してくるフード男を睨みつけながら、身構えるのであった。




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