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アルビオンパンツアー  作者: 桜崎あかり
エピソード1
5/12

第4話:動きだした黒幕


 7月9日、アナザーオブアルビオンの圧勝がネット上で拡散している頃、草加市内で動きがあった。


 超有名アイドルファンと思われる一団が動き出したのである。


 遊戯都市奏歌で似た事をすると、即刻逮捕まではいかないが――拘束されるという事もあり、向こうも安全策を取っているのだろう。


「超有名アイドルに味方する者は、全て排除する」


 龍鳳沙耶りゅうほう・さやは何かに取りつかれたように、アナザーオブアルビオンで超有名アイドルファンのアルビオンパンツアーを次々と機能停止に追い込む。


 彼女が超有名アイドルファンを魔女狩りの如く狩り始めた理由は、残念ながら不明である。


 ネット上でも彼女の行動は超有名アイドル勢に有利だとする声も存在する位だ。


『あれが、アナザーオブアルビオンだと?』


『レベルが違いすぎる。本当に、アルビオン事件の機体と同じなのか?』


 次々と増援部隊が倒されていく状況下、超有名アイドルファンは逃亡するしか選択肢がなかった。


 実は、彼らの方が別プレイヤーのフィールドに乱入した事が始まりだった。そして、それを目撃した龍鳳が更に介入して魔女狩りを始めたと言うのが今回の構図である。


「投資家ファンによる行動を人気と勘違いする超有名アイドルファンには――!」


 両肩の大型キャノン砲の直撃を受けた相手のアルビオンパンツアーは一発で行動不能に。


 復活の際には別エリアへリスポーンするのだが、リスポーンと同時にログアウトする為、事実上の試合放棄や降伏に近い。


 ここまで戦力差が分かっていたはずなのに、超有名アイドル勢は何故抵抗を続けるのか?


 わずか2分の間に100近くの乱入してきたプレイヤーを撃破した龍鳳、他の無関係であろうプレイヤーも超有名アイドルファンが行った事に関しては許せない物があった。


 彼ら自身が撃破したケースもあるのだが、それを差し引いたとしても龍鳳の無双展開は衝撃を与えるには十分な物だった。


 無双展開は、コンテンツ業界でも有名な部類であり――単純な一強で説明できればよいのだが、超有名アイドルが行っている無双は超有名アイドルによるディストピア――そう思われても不思議ではない。


「世の中は全て金だという誤認識が、このような悲劇を繰り返すのか。これでは『政治と金』が『超有名アイドルと金』に変わっただけじゃないのか」


 龍鳳の思いは伝わらないのか? それとも、他の人間は超有名アイドルの支配下になった後なのだろうか。


 今回の介入は、後にアルビオンパンツアー運営を動かす重要なターニングポイントとなる。



 彼女が、このような行動を取るようになったのには理由があった。


 それは、ネット上にアップされていた動画サイトのある動画を発見した事が発端である。動画自体はネット上でも有名な部類であり、マイナーなものではないと言える。


 その内容はアイドル評論家と超有名アイドルによる討論番組――超有名アイドルに有利な番組では決してないのだが、今のテレビ業界はアニメ専門チャンネル以外では超有名アイドル依存が想像を絶していた。


 そう言った事もあってか、この番組に関してもネット上では超有名アイドルの宣伝番組、あるいは茶番だという事が言及されていた。


『最近は超有名アイドルが正義、超有名アイドルは何をやっても無罪のような風潮に見えますが……実は違います』


 何時ものアイドル評論家が別の番組収録の関係で出演できない為、虎の覆面に背広と言う男性がアイドル研究の有名人と言う事で呼ばれていた。


 そして、彼の切り出し方は誰もが目を疑った。覆面をしているので強気な発言をしている訳でもないらしいが。


『違うとは、どのように違うのですか?』


 テレビ局のアナウンサーらしき男性が虎の覆面に対して反応を聞く。


 彼を刺激させて途中退席させては番組の評判が落ちるという事もあってか、慎重に言葉を選んでいるようにも思える。


『超有名アイドルでも週刊誌で不祥事が載れば引退を迫られるケースはある。芸能事務所も、それを百も承知で危険な事を芸能人にさせているのが……』


『週刊誌報道以外で何があるというのですか? 例えば、秋葉原の路上ライブ事件とか?』


 虎の覆面は何かを溜めているように思える。


 アナウンサーも答えを聞こうとするが、この番組は生放送と言う事もある。


 下手に放送事故を起こしたら、それこそスポンサー降板も避けられない。


 そこで、アナウンサーも手探りで中身を聞きだそうとする。


『あの事件は芸能事務所の利益関係が生み出した自作自演。他の芸能事務所が行った謝罪も、会社の損得勘定で行った物でしょう』


『しかし、私が最も懸念するべき物は、そうした話題逸らしの事件ではありません。全ての真相はアルビオン事件に集約していると断言できます!』


 動画は、ここで終了している。彼が何を語ろうとしたのかは不明のままで、ネット上でも意図を知ることは出来ないと結論が出ている。


 テレビと言うメディアでアルビオン事件の単語を出す事がタブーと言うのは、言いすぎだとしても……相当な事であるのは間違いない。


「アルビオン事件、あれは異星人の地球侵攻を阻止した話ではないの?」


 疑問に思った龍鳳はネット上でアルビオン事件を検索するが、その真相に辿り着いた記事は存在していない。


 ほとんどが断片的な物やネタ記事、まとめサイトの様なものである。


 そこで彼女はアカシックレコードという単語で改めて検索をする。


 そして、アカシックレコードを解読しようとしている勢力の存在を知った。


「ハンター、彼らがアルビオンパンツアーでも一大勢力となっているクラン――」


 ハンターと言う勢力自体、ネット上では有名な存在だった。


 別ゲームにもハンターという名前が使われているのも原因の一つだが、今まで龍鳳がハンターにたどり着けなかったのには超有名アイドルと距離を取っていたのも原因にあった。


「何故、ハンターは超有名アイドルを敵視しているのに、本格的な行動に移さないの?」


 龍鳳はやりきれない思いがあった。


 あの動画を見たという事も理由だが、それ以上にテレビ番組における超有名アイドルの露出過多も彼女のいら立ちを加速させる。


 遂に、龍鳳は開き直って超有名アイドルファン及び味方する勢力を片っ端からせん滅すると言う事になった。


 普通に襲撃をすればテロ行為を計画したとして警察に捕まる、ネット上で超有名アイドル批判を展開しようとしても謎の勢力に検閲される。


 別の第3勢力を動かそうにしても『超有名アイドルを共通の敵』と認識しているのだが―そう簡単には動かないだろう。


 他にも手段があれば、とアカシックレコードを検索していた時に、それを発見した。


《新型ARウェポン設計図》


 それは別ジャンルに使用されるARウェポンの設計図、これに書かれている武器はアルビオンパンツアーにも流用できる可能性があると考えていた。


 しかし、自分には武器を開発出来るような技術を持っていない。


 完全に打つ手なし――と白旗を上げようとした矢先、ある人物からのメールが届いた。


【このメールを見ているという事は、君がアカシックレコードの真実を目撃しているという事と認識している】


 メールの差出人は不明――メールアドレスの記載もなければ、何処のサーバーを経由したのかも不明と言うスパムメールに等しい物だった。


【その設計図に書かれているARウェポン、それはアナザーオブアルビオンにも実装されている。嘘だと思うのならば、このファイルに添付されているキーワードを入力するといい】


 気が付くと、龍鳳はメールの指示通りに添付ファイルを開き、そこに書かれたURLをクリックしていた。


《これより先は凍結ファイルとなっています。パスワードを入力してください》


 武器コンテナを思わせるようなホームページの壁紙、それに加えてフォントも機械を思わせる。


 そこに書かれた凍結ファイルと言う単語を気にすることなく、龍鳳はパスワードを入力する。


《戦艦陸奥》


 龍鳳がパスワードを入力すると、次の瞬間に表示されたのは運営ホームページでも見かけるような武器紹介テキストとグラフィックだった。


 どうやら、ウイルスの類と言う訳ではなかったようだ。これに関しては一安心をする一方で、新たな謎も浮上する。


「これは、どういう事なの?」


 彼女がテキストを黙読すると、そこに書かれていたのは衝撃的な内容だった。


【この武装は適合する機体がなく、やむ得ず凍結処分となっていた。その火力はアルビオン事件で運用されたアルビオンに匹敵する】


 そして、彼女は禁断とも言える武装に手を出したのである。


 それが、アカシックレコードに導かれた結果だったとしても――。


「アカシックレコード、そこに書かれているARゲームは、何処かで似たような物を見た事がある」


 武器テキストを見ていくと、ARゲームで使用されているような物もあった。


 これには驚く一方で、下手をすれば軍事転用も容易な部類だったのは言うまでもない。



 1週間強が経過した7月20日、ネット上ではアナザーオブアルビオンの挑戦者が減っているという噂があった。


 あくまで噂の範囲だが、上位ランカーが強すぎる故の宿命と言う説もある。


「一応、想定内と言うべきなのか」


「強豪プレイヤーと戦ってポイント稼ぎに利用されるよりは―と考えているランカーが多い可能性がある」


「10000を超える強豪は数が少ない。対戦者がいないというのは自然じゃないのか?」


「ポイントなし~1000辺りのプレイヤーが10000クラスのランカーと対戦しても……ジャイアントキリングの様な自分から挑むケース以外では実現はしないだろう」


「大量のポイントを得られるかもしれないが、相応のリスクも存在すると言う事か?」


「ゲーム内のシステムでは特にペナルティはないが、ネット上で『かませ』呼ばわりされる事は避けられない」


 センターモニターを見ているギャラリーの声が聞こえる。


 アルビオンパンツアーの映像をチェックしているのは、一部のギャラリーだけ。


 この特別モニターが置かれているのは、何と上野駅の待ち合い場所だからだ。これだけでも異様な光景と言える。


 秋葉原駅であれば、これもプロモーションの一種と言う事で興味のない一般人がスルー出来るだろう。


 しかし、上野駅のジャイアントパンダ像と同じ位に目立つ場所に設置されている事、それが問題視されているのかもしれない。


 ギャラリーの中には、エキナカで購入したコーヒーを片手に視聴している人物もいる。服装が背広なのでビジネス客とも見て取れるが――。


「そう言えば、ハンターの動きも増えたという話を聞く」


「あの連中か。アカシックレコードのメッセージに従って動くという組織と聞いているが」


「アカシックレコードって何だろうな?」


「さぁ? ネット上では超有名アイドル商法の闇に関して書かれているという話もあるが、それさえも真相を隠す為の捏造だと聞く」


「真相? まさか、億万長者になれるような財宝が眠っている場所が書かれているのか?」


「財宝の地図ではないが、解読できれば億万長者になれるかもしれないデータがあるのは事実らしい。アルビオンパンツアーやARゲームの一部に関してもアカシックレコードの技術を使用しているとか」


 その話を少し遠くから聞いていたのは、ジャンヌ・ダルクだった。


 上野に用事があった訳ではないが、秋葉原でイベントがあるので立ち寄っただけである。


「超有名アイドル勢を片っ端からせん滅しているアルビオンランカーがいるという噂、あれは本当なのだろうか――」


 ジャンヌは、ある情報筋から入手した情報を気にしていた。


 その情報とは、凍結されていた武装が解放されている事、その武装がアルビオンパンツアーで使用されている事だった。



 午前10時、ある超有名アイドルの劇場には大勢の客が行列を作っていた。

 

 まるで、アナザーオブアルビオンが姿を見せたあの時のデジャブを思わせる。


【何かのイベント?】


【場所が場所だけに、単純にネット炎上狙いの悪戯かもしれない】


 しかし、アルビオン事件を知らない人間にとっては、この現象が単なる悪戯として認識される。



 そして、10時5分になった辺りで謎の空間が展開されるような光が確認された。


 この光によって、行列を作っているファンなどに影響が出る事は一切ない。これが、アカシックレコードの力なのだろうか?


「目的は自作自演を行おうという超有名アイドルファンを発見、その行動を阻止する事だ」


「了解した」


「今まで、我々の評判を落とした分は返してもらわないと」


「自作自演、炎上行為、その他にも多数の妨害工作、到底認められるものではない!」


「『超有名アイドルは何をやっても無罪』と言う世界、ディストピアは終わらせなくてはいけない」


 複数の色違いアルビオンパンツアーが姿を見せる。その数は2ケタには届かないかもしれないが、そこそこの数が揃っている。


 重装甲型、スピード型、パワー型等が確認出来る一方で、いわゆるワンオフというアルビオンパンツアーは見かけない。


 アルビオンパンツアーは二足歩行型戦車とも言われ、1体だけでも相当の戦力になると言われている。


 さすがに予算等の関係で、自衛隊に導入される気配はないのだが。


『我々を倒そうと言うのか、ハンター!』


 問答無用で超有名アイドルファンは襲撃してくるが、この光景は劇場に並んでいる客には全く見えない。


 それに加えて、この空間を認識できるのはアルビオンランカーと一部のARゲームプレイヤーのみ。


「そこまでだ! 両者とも、武器を下して降伏しろ!」


 両方の機体に攻撃を仕掛けてきたのは、白いアルビオンパンツアーだった。


 その姿を見た超有名アイドル勢は撤退の姿勢を見せる。そして、一部の機体はログアウトしたのだ。


「貴様は一体何者だ?」


 ハンターの重装甲型に乗る男性パイロットが尋ねるのだが、応答は全くない。


 しかし、その直後に背中の大型ユニットからスナイパーライフルを展開した段階で正体に関しておおよそ理解した。


「こちらは政府の指示で停戦を要求している。降伏するなり、ログアウトするなり自由だが……抵抗した場合は、国家反逆罪と認識する!」


 次の瞬間、白いアルビオンパンツアーがライフルを発射、その弾道は意図的に相手を外した物だが、向こうには挑発とも見て取れる物だった。


「お前、ブレイブスナイパーだな?」


 パワー型のアルビオンパンツアーがバズーカ砲を発射、フィールドのかく乱を考えていたのだが――あっさりと見切られてしまう。


 それだけではなく、瞬時にしてビームライフルを展開、早撃ちでバズーカ砲を破壊されてしまった。


「だったら、どうするつもりだ? まさか、お前達がこちらのランカーポイントを把握していないとは思いたくないが――」


 しかし、このフィールドに介入してきたのは白いアルビオンパンツアーだけではなかった。


 その反応に関しては周囲も確認する事が出来ず、ブレイブスナイパーもレーダーに何か反応があった程度しか認識できない。


《ステルスフィールド展開中》


 介入してきた機体、それはアナザーオブアルビオンこと龍鳳だった。


 ステルスフィールドを展開し、該当フィールドに介入したのである。


「乱入に関しては向こうにも表示されているはず。これで、予告なし介入とは言われなくて済む……」


 少し呼吸を整え、何かのカウントと同時にステルスフィールドを解除、ハンターではなく逃亡を考えていた超有名アイドルファンのアルビオンパンツアーから片っ端に撃破していく。



 この騒動に気付かないブレイブスナイパーではなかった。


 即座にガーディアンシステムを起動、両腕に装着されていたシールドビットがアナザーオブアルビオンの方角へ向かってくるのだが、直前でブーメランが戻ってくるかのようなスピードを出しながらブレイブスナイパーの方へ戻ってきたのだ。


「一体、何がどうなっている!」


 ブレイブスナイパーも状況を把握できず、他のウェポンを召喚して応戦する。


 呼び出したのはガンビット、支援型ユニット、ガトリング砲の3つ。


 ガトリング砲はスナイパーライフルに変わって装備し、アナザーオブアルビオンを狙う。


「あの機体は、アナザーオブアルビオンです!」


「どういう事だ? あのシステムは暴発によって凍結処分になっていたはずだ」


「我々の装備で勝てる相手ではない! 悔しいが、撤退する」


 アナザーオブアルビオンの重装備を見た途端、ハンター勢力はログアウトしていく。


 気が付くと、ハンター勢は全機体がログアウト、逆に撤退に失敗した超有名アイドルファンは壊滅と言う結果になった。


 深呼吸後にブレイブスナイパーがガトリングガンを速射するが、その攻撃は装甲に命中しているが効果は全くないという状況だ。


 この状況は非常にまずいと判断し、ガトリング砲の弾丸が切れたと同時にアサルトライフルを召喚して、装甲ではなくヘッドショットを試みる。


「どんなスナイパーであろうと、ジャミングシステムには――」


 龍鳳はジャミングシステムでガトリングガンの火力を減退させ、大型シールドを召喚して弾丸を防ぐ。


 その間に龍鳳が大型キャノン砲を両肩に装備し、ブレイブスナイパーに向けて撃とうとする。


「キャノン砲が起動しない? そうか、あの時のバトルで弾切れを起こしたのか」


 どうやら、キャノン砲は弾切れで撃てないらしい。


 ブレイブスナイパーにとってはチャンスにも思えるような場面だが、その表情が変わる事はない。


 未だに緊張の中にいるという顔をしている。


 ブレイブスナイパーはチャンスとばかりに攻撃を仕掛けると思ったら、ガトリング砲を収納し始め、武装解除を始めた。


 ただし、万が一のことを考えてガンビットとシールドビットは展開させたままである。


「アナザーオブアルビオンのアルビオンランカー、お前は国家反逆罪を犯している! 貴様だけは生かして返す訳にはいかない」


 ブレイブスナイパーの警告を聞いた龍鳳が驚く。


 自分が国家反逆という事もだが、それ以上に生かして返すという意味も……彼女にとっては理解に苦しむ発言だった。


「国家反逆罪? 超有名アイドルに対して意見する事が国家反逆罪になるという事なの!?」


「その通りだ。この日本では超有名アイドルは絶対的存在。それに意見する事は許されない!」


「そんな事を今更言われても、後には戻れないのよ!」


 龍鳳がアサルトライフル、ビームライフルの二丁拳銃で応戦、それに対してブレイブスナイパーはシールドビットでビームを無効化し、ハンドガンでライフルを弾き飛ばす。


 その後は、ビームサーベルを展開してブレイブスナイパーに接近戦を挑もうとするのだが……。


「聞き入れられないのは残念だ。しかし、こちらもクライアントの指示で動いている以上、手加減はしない」


 ブレイブスナイパーの目つきが変わり、即座にスナイパーライフルを展開、アナザーオブアルビオンの頭部に向かってピンポイント射撃を試みる。



 ところが、アナザーオブアルビオンはピンポイント射撃を把握していたらしく、スナイパーライフルを撃つ前にビームサーベルでガンビットを次々と撃破していく。


 遂にはブレイブスナイパーのアルビオンパンツアーを追い詰めたのだが――。


「ホワイトブレイカーをここまで追い詰めるとは――これが、アカシックレコードのフルアクセスだと言うのか」


 ブレイブスナイパーのフルアクセスと言う単語を聞いて、龍鳳は言葉の意味を尋ねようとしていた。


 しかし、彼女も息が荒れている影響で回答が出来ないでいる。


 2人の激闘が行われている頃、現実空間ではネット住民が何かの情報を拡散していた。


 そして、ハンターの無線にも緊急連絡が入る。それは、ハンター側にとって想定外の出来事でもあった。


『起きてはいけない事が現実になった。ブレイブスナイパーが話した事がネット上で急速に拡散している』


「まさか、ブレイブスナイパーの目的は――?」


『彼女も相手を完全に倒す事まではしないだろう。その上での、あの発言だ』


「こちらへ来る前に色々と仕込んでいたというのか」


『このままでは、日本は超有名アイドルを引き金にして全面戦争へ突入するだろう。それだけは避けなければ――』


 無線の方は途中で途切れる。何者かによるジャミングが影響しているようだが、本来であればハンターが持っている無線はジャミング対策が施されている。


 その為、ある程度の電波妨害には強いはずだ。それさえもジャミングしてくる以上、その技術はアカシックレコード経由と考えてもいいだろう。


「ブレイブスナイパー! 今回は、ここで退却をするが、一つだけ忠告をする」


 男性ハンターが何処かで聞いているであろうブレイブスナイパーに向けて無線を通じて叫ぶ。


 しかし、ジャミングがかかっている状態の為に、繋がるかどうかの保証は出来ない。


「超有名アイドルの一件は、暴力によって解決したとしても意味がない! この一件で血が流れるという事はコンテンツ業界の破滅を意味する事を忘れるな!」


 そして、その一言を放った後にハンター勢は一斉に姿を消した。


 どうやら、ステルス迷彩の様な物を起動したらしい。向こうもステルス迷彩を使うと言う事は……。

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