7章~転入~
「今日はおまえらにいいお知らせがあるぞ!」
どうせ転校生が来たぞ~、とかいう展開なんだろう? 現在2人のこの教室に転校生がやってくる場合、これが女性向けなら男子だ。そして男性向けなら女子だろう。ただ、このイベントは学園ものとしては外せないイベントだ。そこでこの話の方向性が決まるといっても過言ではない。中にはそれが物語の始まりだなんて話はざらにある。さぁ、かかってこい。
すると扉から入ってきたのは、とても俺らと同い年とは思えない、モデル体型ですごく美人な女性だった。
「きれい……」
そう、夢島の口から感想が漏れてしまうくらい黒髪で大人っぽい清楚な美人だったのだ。
「初めまして、Kクラスのみなさん、1年3組より来ました。横井理子です。今日から一緒にモラルを学びましょう。」
「どうだ、きれいだろう、新しい副担任だ」
「えっ?今なんと?」
「聞こえなかったか? 今日からこのクラスの副担任を務めてもらう横井先生だ」
転入してきたのは先生だった……。どおりで同い年に見えないわけだ。
「1-3から来たっていうのは?」
もしや佐伯がクズすぎるために、学校側が配慮してくれてまともな先生をよこしてくれたのか? まぁそう考えるのが妥当だろう。
「そのままの意味だ。少し横井先生のことを紹介しよう。先生は新学期が始まってすぐに男子生徒に手をだし、家まで連れ込んだことが学校側にばれてしまい1-4、1-5、と飛ばして一気にKクラスに来てしまった先生だ。みんな、仲よくしてやってくれ」
ポカーン……
「木下君はタイプじゃないので手は出しませんから安心してくださいね。」
うるせぇよ。
「というと、先生はどんな子に手を出したんですか?」
夢島さんよ、もっと他に聞くべきことがあるんじゃないのかね?
「1-1の背が高くて頭もよくて、イケメンな坂……あ、名前出すのはプライバシーというのがあるみたいなので、言えないの、ごめんね」
……ビッチだった。
「先生もモラルポイントって関係あるんですね。」
俺は恐る恐る聞いてみた。
「あたりまえだ。何のために上下関係があると思っているんだ。会社だって部長とか課長といったように階級があるだろ。学校も同じだ。生徒のモラルポイントを管理するのは担任の先生。担任のモラルポイントを管理するのは学年主任様だ。その学年主任様のモラルポイントを管理するのは教頭先生様だ、そして教頭先生様と同じように校長先生様、学園長様と、それぞれ部下のモラルポイントを自由に管理しているんだ。生徒と言えど先生と言えど人類みな平等だ」
「つまり、先生がこのクラスの担任をしているというのも……」
「まぁお前の想像通りだ、すでに返済は絶望的だがな」
そういうと佐伯はうなだれた。
「木田君、先生って大変なんだね」
「お、おう、この学校だけだと思うがな(ボソッ」
こうしてわがKクラスは4人になった。
「いや、ちょっと待て、なんで横井先生が副担任で佐伯が担任なんだ?佐伯先生が何ポイントだが知らないけど、その理屈で普通に考えたらモラルポイントが高い横井先生の方が担任になるんじゃないのか?」
「いや、副担任というのはあくまでもそれに値する肩書がないだけで、担任と何も変わらん。けどふたり担任ってのはおかしいだろ?だから横井先生と話し合って、先に担任やってた俺がそのまま担任を名乗ることに決めたんだ。」
「はい~(はぁと)」
「そんなわけで、ホームルームはこの辺にして、今日も授業を始めるぞ!」
「はい!」
一人大きな声で返事をする横井先生はすでに生徒だった。