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聖女のまつり


分類は一応恋愛ですが、読んだ後に、えー!?って思われるかもしれません。ムーンで連載しようと思ってたんですが、筆が進まずこっちに短編でお引越しです。






それは、雨の音に耳をすませながら、読みかけの文庫本に視線を落として居る時だった。

滑らかに文字を追っていた視線が、ふと、弾かれたように背後の扉へと向けられる。感じるのはゆらゆらと揺れる微かな魔力。

ーーーあぁ、甘かったな。屋上には誰も来ないと思ったのに。思わず僕の口から舌打ちが漏れたのも仕方がないだろう。雨のせいで、扉から数m先までしか屋根がない。ということは逃げ場がないってことだ。真面目な日本魔法大学付属高校のガリ勉君達ならこんな場所までこないと思ったのに。


内心苛立ちながら手の中にあった本にしおりを挟んで閉じる。よりにもよって今日だ。開いた瞬間何が起きるか分からないから戦闘の準備をして待ち受ける。いきなり攻撃されたらたまらない。

すると…






「え、小鳥遊?」


その僅かに高くした声を聞いて、ホッとした。どうやら僕を狙ってた訳じゃないみたいだ。

途端に興味が失せた様な表情で視線を反らせば、今しがた入ってきた男は少し躊躇して僕の扉を挟んで反対側の壁に寄りかかった。


読みかけの本を取り出し再び読書を始めたのはいいが、しばらくして男の視線がジッとこちらに降り注ぐのを嫌でも感じた。普段から注目を浴びて居るのはわかっていたが、こんな風に遠慮なく見られるのも初めてだ。たまらず、不愉快になって、視線は向けずに「…何?」と漏らす。


「いや、小鳥遊と一緒になるの初めてだと思って。」


「そう?」


「お前、俺が誰だかわかってないだろう。」


不愉快というより寧ろ面白がるような口調で言った男。それは真実だったが、その普段関わる事のないフレンドリーさに珍しく小さな興味が湧いて、思わず彼を振り返った。


…大きいな。それが第一印象。それから、彼を纏う静かな、それでいて研ぎ澄まされた魔力が感じられて。最後にその容姿が整っている事に気がついた。

なるほどね。この人も今日を逃げてるって訳か。ワイルド系の男らしい顔つきは確かに女受けが良さそうだ。


「で、俺が誰だかわかったか小鳥遊弓月。」


「人をフルネームで呼ぶな。君なんか知らない。」


眉間にシワを寄せる弓月に心底愉快そうな表情を浮かべる男。一見笑わなそうに見えるくせに意外と笑のストライクゾーンが広いと見える。



「俺、一応お前のクラスメイトなんだけど。」


「……知らない。」


「毎回テストでは学年で首席のお前に次ぐ次席なんだけど。」


「興味ない。」


軽くあしらえば、「そっか。」と笑いながら返す。こいつに名乗る気があるのかどうかわからない。面倒な男だと思った。



「俺、東翔太。」


「聞いてない。」


「よろしくな。噂の転校生。」


嫌な言い方をする奴だ。興味の無さそうな視線を東に向ければ、その表情から恐らくわかってて言っているのだろうことがわかる。いい性格してるよ、コイツ。

ふんっと鼻で笑うと再び興味が失せた様に本に視線を戻す。調度その時鐘がなり、3時間目が始まったことがわかった。

シトシト降り注ぐ雨は依然止むことを知らない。



「小鳥遊弓月3時間目サボり?」


「………。」


「てか、朝から居なかったよな。色んな奴らが血眼になって探してた。こんなところに居るとは灯台もと暗しだけど。」


その言葉に返事はしなかったけど、その様子を想像して身震いしそうになった。

色んな奴らが血眼になって探してた?何の為に?…否、理由は薄々わかっているがわかりたくない。今も学校のあちこちから感じる混ざりに混ざった魔力の渦が気持ち悪くて仕方がない。一年に一度の今日。何が楽しいのか僕には理解できなかった。



「………君も逃げてるのか。」


気がつけばそんな質問をしていた。僅かながら似た境遇に思えて気が緩んだか。もしくは気まぐれか。



「惚れ薬、自白剤を飲ませるたがる女子とか面倒の何者でもないから、な。」


「モテる奴は大変だな。」


「それは自分のこと言ってるのか?」


そのセリフに小さく睨みを効かせれば、まただ。あの人をからかう様な目を見せてくる。恐らくこの男は賢いのだろう。まるで、人を見透かす様な目が気に入らない。


「僕が?」


「そう、お前が。」


「さぁ…?」


「惚けるなよ。何の為に校則破ってまでここに居る?自分が対象にされるのがわかってる証拠だろうが。」


「追ってくる大半が女子なのに、モテるっていうか?」


くだらない、と吐き捨てる様に呟いた僕をどこか探る様に見てくる東。やはり、その目は気に入らなかった。


「まぁ、持って生まれた容姿ばかりは仕方が無いよな。」


「………。」


「なんだ、否定しないのか。」


「君…性格悪いってよく言われるだろ。」


さぁ、どうだろ?ととぼけて返す東に思わず小さくため息をついた。僕だってバカではない。17年この顔で生きていれば、周囲からどんな目で見られているかぐらいわかる。

身長171 cm。日本人離れの色素の薄い天パのショートカット。黒目がちな瞳。スラットした鼻。昔モデルをしていた父親ソックリで自分でも嫌になる容姿だった。それでいて母親譲りの焼けない白い肌やスタイル、睫毛の長さや声がアンバラスな色気をどことなく醸し出して居ると、幼馴染の優子は言っていた。訳のわからない理屈だ。まるで親の良いとこどりをして生まれた自分の容姿が嫌になる。

さらに極め付けは兄弟の中で唯一魔力持ちだったことだった。。なんでも先祖返りらしいが。良い迷惑の何物でもない。



「…僕にはなんであそこまで皆必至になってるのかわからないな。」


この容姿で幾度となく迷惑をこうむってきたからか、恋愛事にはまるで興味がなかった。


「あぁ、もしかして初恋もまだとか?」


「…大概失礼だな。君こそ恋愛が似合わなそうだけど?」


「あぁ、面倒だしな。」



簡単に同意して、僕の傍に置いてあった本をヒョイっとその手に取る。

栞を挟んであるから別に構わないが、何が気になるのか。彼はその本をペラペラとめくって眺めた。

栞を取ったらただじゃおかないからな。




「な、お前男に興味ないの?」


さっきとは立場が逆転して、今度は東が視線を文字に落としたまま弓月に質問を投げかけた。



「…………。」


「あのお嬢様校から転入してきたんだろ?あぁ…てことは男を知らないはずだよな。」


「…何が言いたい?」


唐突な話に思わず身構える。別にさしあたりない世間話かもしれない。話してるのが今日でなければ。


「別に?」

ただ…と、東は続ける。








「ーーー俺と付き合わ無い?っていうお誘い。」


パタンっと本を閉じて、軽い口調でポロリと告げた東。

その緊張感のない口調のせいで、真意を図りかねて、思わずジッと彼の横顔を眺めてしまう。




「………君も聖女の祭の浮かれ者ってわけか。」


やっと返せたのがそれだった。

抑揚のない声で告げれば、東は苦笑いを浮かべる。



「酷い言い様だなぁ。中には本気の人間だっているかもしれないだろ?」


「かもね。だけど、君は違う。」


だろう?と視線で問いかければ、数秒ジッと弓月を見つめた後、口元を静かに持ちあげた。悪びれる事なく、この展開を楽しんでいる表情だ。


「何でそう思う?普段の小鳥遊弓月は全く隙を見せないから、おそらくサボるだろう今日に賭けてるぐらいなのに。」


酷いなぁ、とクスクス笑ってる東は少しも傷ついている様子はない。言葉と表情が一致して無いんだよ。それより、彼の言葉が多少の真実を含んでいるとしたら、ここに来た事は偶然ではない事になる。それが今日一番の問題だ。わずかに緊張が走った。

僕は悟られないよう魔力をゆっくり練り上げていく。だが…。






「ーーーーーー遅いな。」


「っ!?」


………何、を…した?


それは防御を展開しようとしていた矢先だった。妖艶な笑みを浮かべて東がそう呟いた瞬間、突如他の魔力に絡め取られて行く感覚に襲われ額然とする。


僕は感覚が特別鋭いわけでもないが、これが奴の纏って居た魔力と同じだという事ぐらいわかる。せめてもの救いはこれから攻撃性が感じられ無い事だ。自分が攻撃魔法に特化しているからこそ、その判断に自信があった。


キッと鋭い視線を東に向けるが、彼はここに来て無表情で弓月を見下ろしていた。その感情の読み取れない顔が不気味で恐ろしい。



ーー考えろ、考えるんだ。

もはや、魔力に拘束された状態で唯一自由である思考を巡らせる。


魔力を行使させるのには二種類。詠唱を行うものか、陣を用いるもの。例外で魔法具もあるが、学校では厳しく制限されているからそれはまずないだろう。

詠唱を行っていれば、いくらなんでもわかる。それが聞こえないほどの小声だったとしてもあのタイミングで行使しているはずがない。と、すれば残すは陣だ。

詠唱魔法を打ち消すにはそれに対する反詠唱魔法を。魔法陣を打ち消すにはその陣の形を崩すことが基本原理。自分がここへやって来た時にトラップがないか既に確認済みだ。なら、奴が来てから書ける範囲。その何処かにそれはある。

僅かな時間で導きだした答えに手応えを感じ、不自然になら無いよう視線を奴の周りに向けた。


けれど、どうやら弓月の目論は予想内の範疇だったようで、東はその差50cmほどの近くまで簡単によってきた。



「こんな状態なのにあくまで冷静なんだな、さすが小鳥遊弓月。」


おかしそうに笑ってから東は慣れた手付きで弓月の頭を数度撫でる。その馴れ馴れしい態度が心底気に入らない。



「攻撃魔法じゃないみたいだからね。もう気が済んだだろう?早くこの魔力を退けてくれ。」


彼のペースにのるものか。と、無関心を装って答える。

しかし実際は、感覚で言うならば裸で人の視線に晒されているほど心許ない状況だ。

別に弓月にとっては彼になんら対抗心もない。これで彼の自尊心が守られるなら結構なので、もし開放してくれるなら素直に負けを認めよう。


そんな心境だったから、東に「なら、俺の勝ちを認めるか?」と尋ねられた時に反射的に答えてしまう。


「わかった、君の勝ちだ。」と。








「ーーーっ、」


う、わっ……。

その瞬間、突如襲ってきた感覚に思わず顔をしかめる。


東が心底嬉しそうな顔が視界にはいると同時に、弓月を覆って居た魔力は確かに引いた。

ただ、その爪痕をしっかりと彼女の内に残して。





「どういうつもり?」


あらかた自分の身体の状況を確認してから静かに尋ねた。


「言ったろ、俺と付き合ってくれって。」


「…それとこれとどういう関係がある?」


「断られる事はわかってたからな。だから実力行使に出てみた。」



それから無言で差し出されたのは先ほど取られた弓月の文庫本。警戒しながら受け取った彼女は東に促されて一番後ろ、裏表紙とカバーとの間に挟まれていた紙を取り出す。それがなんなのかわかった瞬間、弓月は小さく目を見開いた。


「これ…。」


「俺オリジナルの魔方陣。流石に不安定なところは多々あるけど、な。」


見せびらかすでもなく、淡々と説明をして、サッとその紙を弓月の手の中から抜き取った。

思わず、あっ、と声を漏らす。


「普通の魔方陣と一緒で破かれたらお終いだからな。」


「………いつからコレを?」


種明かし、してくれるだろうね?と視線で問いかければ、ニヤリと笑った彼は後事の全貌を話し始める。



「さっき言ったとおり、普段は決して他人を近寄せない小鳥遊弓月だ。この日を狙って準備してた。小鳥遊弓月があらかじめ、トラップが仕掛けられてないかチェックするのは目に見えてるからな。それに引っかからないようにするのが問題だった。」


「それで、僕の本の中に隠してたってわけ?」


飽きれたように言えば、満足気に頷く。弓月は一つため息をついてから先を促した。


「魔力探査は盲点だが自分自身は範囲外だ。つまり、身につけている魔具やそれに準ずる物は引っかからない。」


「……確かにね。だけど、僕がコレを今日ここに持ってくるとは限らない。随分と運任せだ。」


「確証はあったさ。言ったろ?準備してたんだ。小鳥遊弓月の癖を何となく観察してた。普段休み時間は決まって読書してた小鳥遊弓月ならサボる時も本を読むのは想像が付く。読みかけの本は決して持って帰らない。封じられたロッカーを開けるのは…まぁ、ここでは言えないけどできない事もないからな。昨日の放課後にコッソリと忍ばせておいた。」


「……なるほど。」


たいした変人だ。もしくはかなりの暇人か。そんな風に自分の事を探られてるとは思いもしなかったから、ある意味これは僕の落ち度かもしれない。が、ストーカーじみた行為に思わず眉間にシワがよる。

東はそんな僕を愉快そうに笑ってからさらに続けた。


「攻撃魔法や防御魔法にかけては圧倒的に俺が不利なのはわかってる。だから、発動までに時間を要さないよう陣に直接魔力を投じなくちゃならなかった。ここは一種の賭けだな。小鳥遊弓月の本を奪えるかどうか。今日の俺はついてた。」


「…それで、肝心のその魔法陣の効力は?」


ここが一番の問題だった。攻撃性は感じないが、明らかな制約を感じる。面倒な事になるのならば、何としてでも解かなくちゃならない。

幸いにして、僕には奥の手があるから最悪の場合解く事もおそらく可能だろう。…最後の最後まで使いたくない奥の手だけど。


「あぁ。使ったのは大した事はない。『敗者の忠誠』と『沈黙の制約』。」


「二種同時…?」


「そう。言ったろ、俺も一応次席なんだ。純粋な闘いで小鳥遊弓月に勝てる気は全くしないが、こういう小細工は得意なんだよ。」


肩をすくめて言った。


…それで、オリジナルの魔方陣ってわけか。なるほど、少しなめてたな、と僕は認識を改める。

魔方陣や詠唱の作製はいわばセンスとカンだ。本来一魔法一媒体が原則なので、効力は落ちるが二種混合も一から陣を作り上げれば不可能ではないのだろう。

僕は素直に「へぇ。」と小さく感心の声を漏らした。



「それで、発動条件が君の勝ちを僕が認めること?」


「そうそう。あっさり言ってくれて助かった。」



東はそう軽く言っているが、かなりの綱渡りで成り立った作戦だった事がわかる。


もし、僕が違う本を持ってきていたら。

もし、僕がここに来なければ。

もし、僕が本を彼に触れさせなければ。

もし、僕が負けを認めなければ。


仮定はいくらでも出来たが、実際彼のシナリオ通りに進んでしまった。彼の運がいいのか。僕の運が悪いのか。

どちらにせよ、彼にはどうやら聖女のご加護があるらしい。



「『敗者の忠誠』と『沈黙の制約』って事は、今後君に対して魔法は使えないし、この事を誰にも話すことが出来ない…そんなところかな。」


「あぁ。話が早くて助かる。」



なるほど。確かに、効力はわかった。そんなに大した物じゃないから奥の手は使う必要はないだろう。

ただ、少し腑におちなかった。


弓月は首を傾げて心底不思議そうに東に尋ねる。

「それで、一体こんなことして君は何がしたいの?」と。






「……… 小鳥遊弓月って、人の話聞いてるのか。」


「もちろん。」


「俺はお前と付き合いたいって言ったはずだけど?」


「……付き合いたい、けど断られるのは目に見えてる。普段の僕は下心を持って話しかけようとすれば直ぐ様防御魔法を展開するから、それを掻い潜ってアプローチするにはその魔法を無力化しなくちゃならない。つまりこれは僕に近づく為の第一歩。ってところ?」


想像しうるところを言えば「なんだ、わかってるじゃないか。」とあきれ顔を見せられた。

呆れてるのは僕の方なんだけど。



「これは理由にならないよ。」


「何でだよ。他人の心を支配する魔法は禁止されてる。なら小鳥遊弓月に近づくにはこれぐらいがちょうどいいだろ?」


「そうだね。近づくにはいいかもしれない。けど、君はそもそも僕をどうしたいの?」



それは心からの疑問だった。

彼の真意がわからない。

わからない物には恐怖心が芽生える。

真っ直ぐ、彼を見やれば、彼もまた僕の真意を探ろうとこちらを見るようだった。

…あぁ、まただ。あの気に入らない視線をこちらに向けてくる。


ーー数秒後、先に視線をそらしたのは東だった。



「……だから、何度も言わせるなよ。俺は…」


「付き合いたい?違うな。君は僕の事これっぽっちも好きじゃない。」


「………っ。」



断言出来た。彼はこれっぽっちも僕の事を好きじゃない。

恋なんて、経験した事ない僕でもそんな事はわかる。付き合いただなんてきっと口から出まかせだろう。






その時、ふっと、東が口元を微かに上げた。


「俺は一度も小鳥遊弓月が好きだなんて言った覚えはないけど。」


首を傾げながら彼が言えば、あっ、と思うのは弓月の方だった。

そう言えばそうだ。好きだなんて言われてもいない。


「ただ、訂正させて貰えれば。これっぽっちも好きじゃないなんて事はないさ。俺は小鳥遊弓月を気に入ってる。近寄ってみたいと思う。万が一、付き合う事になったらきっと抱けるよ、俺は。」


最期の一言に思わず眉をひそめた。



「君は…わけがわからないな。」


しみじみと言う。


彼はまるで、何かのゲームの様にこの状況を楽しんでいる節があった。それが僕の感じる違和感。


「まぁ、もしかしたら一緒にいて小鳥遊弓月を本気で好きになるかもしれないしな。どちらにせよ、俺はお前に興味がある。一緒に居たいと思う。だから、これを破棄したりしない。」


ヒラヒラと目の前で例の魔方陣の描かれた紙を振って見せられる。不思議と苛立ちは感じなかった。極冷静に、今の状況を受け止めている自分がいる。


魔法が彼に全く使えない今、生身の状態で男の彼に女の自分が勝てるとは思わない。今回の勝敗の決めては僕の認識不足。他人に興味を示さなかったせいで、こんな曲者を引き寄せたのがそもそもの間違いなのだろう。


本当、聖女の祭なんて面倒な事この上ない。




「……はぁ。わかった。確かにこれは僕の落ち度だね。君が飽きるまで甘んじて受け入れよう。


……ただ、条件が一つある。」



「条件?」



条件、という言葉に東が微かに身構えた。僕からの条件なんて彼の予想外なのだろう。

だが、これだけは譲れない。


僕は一つ頷いてから、心底嫌そうな顔をして告げた。








「僕の事をフルネームで呼ばないでくれ。」






聖女:

エリザベート=ウォッカム(1812年~不明)。世界で初めて発見された魔力持ち。ドイツのとある郊外で生まれる。彼女誕生以来、世界各地で魔力持ちが誕生する。彼女はそれらの統括として世界魔法士団(WMG)を創設。世界戦争の影には必ずと言っていいほど彼らの暗躍があったとされている。戦争終結後、彼女は各国に魔力持ち育成学校である国立魔法学校を創設する。

また、彼女は恋多き女性としてもしられ、10/20は彼女の唯一の夫でる男を手に入れた日として有名。どの様な手を使ったかははっきりとしていしない。その名残で、世界各地の魔法学校では聖女の日=第二のバレンタインデーとしての風習が今でも残されている。

10/20は世界各地で毎年彼女の最も好きな天気である雨となる事は世界の七不思議の一つとされている。


参考文献:『世界の百科辞典』『恋する偉人たち』『必見世界の七不思議』





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