20話
お気に入り件数が100を超えて、テンション上がってたら、普通にストック切れて焦りました。
更新遅くてお気に入りから消されるのではと、内心冷や汗だらだらでした^^;
誤字などがあれば感想で指摘お願いします。
「もうすぐ王都ですね」
セリーヌが言った。
蒼慈達は結局徒歩で王都に向かうこととなった。
しかし、蒼慈によって全員補助魔法を掛けられ、大した疲れもないまま王都へもうすぐのとこに来ていた。
「おぉ。もうすぐか、結構近いんだな~」
「全然近くないわよ!」
「誰かさんが馬車を勝手に強化して大分距離を稼いでいただけよ」
フレールは蒼慈に怒鳴り、華奈恵はやや冷たい目線を向けていた。
「あらま。二人ともそんな怒ってどうしたんだよ」
「言わないとあなたは分からないのかしら?」
「ははは。まぁ、そうカリカリすんなって。どうせもう着くじゃないか」
「そういう問題じゃないの!」
フレールが馬車の時のことを怒っていることは蒼慈は百も承知だ。
しかし、あえて言わない。
「じゃあ、どういう問題なの?」
「あんたわかんないの!?」
「分かってたら聞き返さないよ?」
「っ・・・いちいち尺に触るような言い方ばかり・・・あんたねぇ!」
「はいはい。ちょっと五月蝿いって。門番の人がこっち見てるから、恥ずかしいことはやめようね」
子供をあやす様な言い方で蒼慈はフレールに言った。
「はぁ!?あんたねぇ!」
蒼慈は苛立つフレールを無視して門番へと向かっていった。
門番の前には何組か商人や冒険者らしき人間達が並んでいた。
そして、しばらくして蒼慈達が門の前に来た。
「お前達、冒険者か?」
「はい。そうです。これが証明証です」
さっきとは打って変って礼儀正しい話し方で、フレールは慣れたようにギルドカードを門番に渡した。
「ほら、あんた達もギルドカード」
「はい」
「ほい」
「はい」
若干一名ふざけてるような声で返事をしている人がいたがあえて気にせず進もうとするフレールだった。
「あれ?てかさ、なんでセリーヌはギルドカード持ってるの?」
「?言ってませんでしたっけ?」
「聞いてないと思う」
「えっと、昔はフレールとペアを組んで冒険者をしてたんですよ」
「へぇ~。いくら俺と“契約”したからと言ってあそこまで強いのにはビックリしたから、これで納得がいったな」
二人は話ながらそのまま門を潜って王都へと入った。
「うわぁ~。ここが王都・・・」
皆が進もうとする中、一人王都に来たことに喜びを隠せない者がいた。
その者は目をキラキラさせながら王都を見ていた。
「・・・まずは宿かな?フレール」
「なんか凄いね!」
「・・・えぇ、そうね。荷物も馬車と共になくなったし、買い物もしなくちゃね。姉さん、お金ある?」
「あそこにも!あっちにも!冒険者がいっぱいだわ!」
「・・・お金はちゃんと持ってたから大丈夫よ。問題は服かな」
「あ!見て蒼慈!あそこにお城がっ!」
蒼慈の腕を握って王都の中心にある城を指差す。
「あそこにいるのもしかして貴族!?貴族だわ!蒼慈、本物よ!」
「あ、あのさ・・・恥ずかしいから落ち着こうよ」
「こんなの落ち着いてられるもんですか!」
「・・・華奈恵。まるで子供だね」
蒼慈のそんな一言に固まる華奈恵。
「っ!・・・オホン!・・・さぁ、何してるの?早く行きましょう。いつまでも此処で止まってたら迷惑よ」
顔を真っ赤にした後、一つ咳払いをしてから華奈恵はいつもの落ち着いた口調に戻った。
「・・・」
そんな華奈恵を皆ジト目で見つめる。
「な、何?」
「別に。フレール宿の場所わかる?」
「もちろん。こっちよ」
「い、言いたいことがあるならハッキリ言えばいいじゃない?」
「言って欲しいの?」
「・・・さ、さぁ!宿探しましょう!」
慌てた様子で宿探しを進める華奈恵。
…中身はかなり子供なんだな・・・
内心でそんなことを思う蒼慈。
そして、一行は王都での宿を探しに王都の中心部へと歩き始めた。
「とりあえずこんなもんか?」
蒼慈達は宿を取った後、馬車と共に山賊にあげた服などの生活用品を揃えていた。
「そうですね。これくらいあれば十分ですけど、よかったんですか?」
「別にいいよ。元はと言えば俺のせいだしね」
フレール達は稼いだ金を全てセリーヌに使っていたため、資金的に余裕がなかった。
だから荷物代はすべて蒼慈達が負担したのだ。
「それにしてもカナエさん、はしゃぎすぎじゃ・・・」
セリーヌはチラリと華奈恵の方を見る。
「ふふふ。この服いつ着よっかなぁ~。えへへ~」
買った服やアクセサリーを見ながらニヤニヤしている華奈恵がいた。
「華奈恵のせいで大分お金が飛んだし、明日はまず依頼受けて金稼ぐか・・・」
「そうですね。フレールがいるからそれなりに高いランクの依頼をすぐに受けれますしね」
そう言って蒼慈とセリーヌが雑談をしている横を歩くフレールはどこかそわそわしていた。
「フレール。華奈恵じゃないんだからもうちょっと落ち着いたら?」
「あ、うん・・・ソ、ソウジ」
「ん?」
「この服・・・変じゃない?」
町の中で防具を付けていては歩きにくいだろうと、宿に防具を置いて店で買った私服をフレールは着ていた。
「普通に似合ってるよ」
そう言ってニコリと笑みを向ける蒼慈。
実際フレールの服は似合ってると言える。
ちなみに言うと今、こちらの季節は春と夏の間でぽかぽかと暖かい。
だからフレールの服装は割と薄着だった。
フレールは最初こんな服装だと襲われた時に対処できないと言っていたが、町で襲われることなど早々ない。
その上、蒼慈達がいれば正直フレールの出番はないのだ。
「そ、そうか・・・」
若干顔を赤らめながら歩くフレール。
ずっと姉のために戦い続けていたせいか、こういう女性らしいことにはかなり疎かった。
「じゃあ、今日はとりあえず宿に戻ろうか、華奈恵いつまではしゃいでるんだよ」
「あれを明日着て、あのスカートは明後日で・・・はっ!・・・は、はしゃいでなんかないわよ」
…いや、もうバレバレですから。今更取り繕われても・・・
心の中で呆れる蒼慈だった。