第22話 藤宮凛は本命チョコを渡したい
2月、バレンタインが近づいた学園は甘い空気に包まれていた。
生徒会室では、バレンタインイベントの企画をまとめている。
一ノ瀬がチョコの試食をしながら。
「バレンタイン、会長に本命チョコあげちゃえば? 副会長、絶対喜ぶよ~」
佐藤が大笑い。
「だな。チョコ渡すタイミングで『付き合ってください』って言っちゃうかもな」
神崎がくすくす笑いながら。
「凛ちゃん、今年は本気チョコ? 会長、待ってるわよ」
凛がクールに資料をめくりながら。
「……義理チョコよ。イベント用」
でも、視線が俺にチラリ。指先で資料の端を軽く叩き、唇を噛む仕草。
イベント当日、バレンタイン交換会。
ブースでチョコを配りながら、凛が俺に近づく。
「……天城くん、これ」
小さな箱を渡される。
「義理だけど、受け取って」
箱を開けると、手作りらしきトリュフチョコと、小さな手紙。
手紙には「いつもありがとう。頑張ってる姿、好きです」と書いてある。
凛が自分の袖をぎゅっと握り、目を逸らして頰を赤らめる。指先が軽く震えている。
俺の頭が一瞬止まる。
凛がクールに取り繕うように、髪を耳にかける仕草。
「……義理よ。みんなにも配ってるから」
でも、耳まで赤い。
俺が平静を装って。
「……ありがとう。おいしそうだ」
澪が少し離れたところでノートにメモ。
「凛様、本命バレバレですわよ」
その時、ブースの前で。
学園の後輩カップルがチョコ交換して。
女子が男子に手作りチョコ渡して。
「これ、食べて。好きです」
男子が感動して「俺も好きだ! 付き合おう!」って答えると、二人でお揃いのリボンを腕に巻き合って手繋ぎ。
周囲から拍手。
凛が自分の腕をぎゅっと抱きしめて、唇を噛む。目を逸らして小さく息を吐く。
俺は拳を軽く握りしめて、深呼吸。
イベント終了後、二人きり。
「……チョコ、おいしかった?」
凛が少し照れくさそうに、指先でスカートの裾をいじりながら。
「ああ。手作り、ありがとう」
俺が返すと、凛が目を細めて。
「……義理よ」
凛が自分の頰を軽く叩いて取り繕う。
本日の勝敗
メイン:引き分け
サブ:後輩カップルの勝利(手作りチョコお揃いリボン作戦)
だから、天才たちは今日も楽しく意地を張り続ける。




