第18話 天城悠真は竹林を散策させたい
修学旅行の2日目、京都の自由行動日。
グループで行動だけど、他のメンバーが別ルートを取ったせいで、俺と凛はまた二人きり状態に。
嵐山の竹林の道を並んで歩く。
秋の風が心地よく、竹の葉がざわめく音が響く。
凛がパンフレットを見ながら。
「……天龍寺、次ね。庭園が美しいって」
俺が頷く。
「ああ。凛の好きな静かな場所だろ」
凛が少し照れくさそうに。
「……よくわかってるわね」
(……天城くんに好みわかられてる。嬉しい……私だってこんなロマンチックな場所で二人きり、イチャイチャしたいのに……はあ、付き合ってくださいって言っちゃいたい……あー、もう言っちゃおうかな……いやいや! 言ったら負けだわ! しっかりしなさい、藤宮凛!)
(……凛と竹林散策、最高だ。静かで二人きり……言いそうになる……耐えろ)
天龍寺の庭園で、池を眺めていると、近くで。
神崎のグループにいたカップルが、庭園のベンチで。
男子が女子に突然花を摘んで渡して。
「この旅行でわかった。付き合おう」
女子が感動して「うん……付き合う!」って答えると、男子が優しく手を握ってハグ。
周囲の観光客から微笑ましい視線。
俺と凛は少し離れたところでそれを見て、固まる。
俺の内心。
(……花渡してハグで決めちゃうのか。ロマンチックだけど……俺にはできるわけねーじゃん。そんな詩的なこと、凛にできないよ)
凛の内心。
(……花にハグ……すごいわね。私だって天城くんから花もらったら、喜んで付き合うのに……はあ、イチャイチャしたい……あー、もう言っちゃおうかな……いやいや! 言ったら負けよ! しっかりしなさい、藤宮凛!)
澪が別の場所から観察して、ノートにメモ。
「サブバトル: 神崎グループカップル勝利。花ハグ作戦、成功率94%ですわ」
自由行動が終わり、旅館に戻るバスで。
凛が俺の隣の席に座る。
「……今日も、楽しかったわね」
「ああ。京都、いいところだ」
短い会話。でも、肩が軽く触れ合う。
(……バスで隣。もっと近づきたい……イチャイチャしたい……あー、もう言っちゃおうかな……いや、耐えなきゃ!)
(……凛の隣。言いそうになるけど、耐える)
夜の旅館で、宴会後。
廊下で偶然出会う。
「……お風呂、よかった?」
凛が小声で。
「ああ。お前もな」
目が絡む。
互いに何か言いそうになるけど、沈黙。
決着つかず。
2日目が終わり。
本日の勝敗
メイン:引き分け
サブ:神崎グループカップルの勝利(花ハグ作戦)
だから、天才たちは今日も楽しく意地を張り続ける。




