第17話 藤宮凛は京都で二人きりにさせたい
修学旅行の1日目、京都に到着。
バスで移動中、グループ分けの効果で俺と凛は同じグループ。自由行動の時間は寺巡りコース。
他のグループメンバーは別行動を取って、結果的に二人きり状態になることが多かった。
金閣寺の前で、凛が地図を見ながら。
「……次は清水寺ね。道、こっちでいいかしら」
俺が隣で頷く。
「ああ。景色いいところだろ」
二人は並んで歩く。秋の京都は観光客が多く、紅葉が美しい。
(……修学旅行で天城くんと二人きりみたい。私だって手繋いで歩きたいのに……はあ、付き合ってくださいって言っちゃいたい……あー、もう言っちゃおうかな……いやいや! 言ったら負けだわ! しっかりしなさい、藤宮凛!)
(……凛と京都散策、最高だ。紅葉見て、隣で話して……言いそうになる……耐えろ。これは戦いだ)
清水寺の舞台で、景色を眺めていると、近くで。
一ノ瀬のグループにいた後輩カップルが、舞台の端で。
男子が女子に突然。
「この景色見てたら、もう我慢できない。付き合おう」
女子が赤くなって「うん……付き合う!」って答えると、男子が優しく肩を抱いて耳元で何か囁いて、軽く頰にキス。
周囲の観光客から微笑ましい拍手。
俺と凛は少し離れたところでそれを見て、固まる。
俺の内心。
(……景色借りて肩抱き頰キスで決めちゃうのか。ロマンチックだけど……俺にはできるわけねーじゃん。そんな自然なタイミングで、凛にできないよ)
凛の内心。
(……肩抱きに頰キス……すごいわね。私だって天城くんに肩抱かれたら、喜んで付き合うのに……はあ、イチャイチャしたい……あー、もう言っちゃおうかな……いやいや! 言ったら負けよ! しっかりしなさい、藤宮凛!)
澪は別のグループだが、遠くから観察してノートにメモ。
「サブバトル: 後輩カップル勝利。景色借り頰キス作戦、成功率95%ですわ」
自由行動が終わり、旅館に到着。
夜の宴会後、部屋割りで男女別だけど、廊下で偶然出会う。
「……部屋、快適?」
凛が小声で。
「ああ。お前もな」
短い会話。でも、目が絡む。
(……夜の旅館で二人きりみたい。話したいことたくさんあるのに……イチャイチャしたい……あー、もう言っちゃおうかな……いや、耐えなきゃ!)
(……凛と夜話せたら、絶対言いそう……でも、相手から言わせる)
1日目が終わり。
本日の勝敗
メイン:藤宮凛の勝利
サブ:後輩カップルの勝利(景色借り頰キス作戦)
だから、天才たちは今日も楽しく意地を張り続ける。




