断罪の王宮大評議会(ロイヤル・カウンシル) 崩壊の序曲
王室の大評議会の間、かつて栄光ある歴史を刻んできたその場所は、今やロザリンドの野心の坩堝と化していた。
王座にはまだ、年若く、自らの運命さえ理解していないフィリップが据えられている。その隣でロザリンドは勝利を確信した笑みを浮かべ、眼下の群衆を見下ろしていた。
議場の周囲を固めるのは、彼女が私財を投じて集めた100の精鋭傭兵たち、そして現体制への不満を募らせたおよそ200の反分子貴族たちが新たな時代の利権を求めて、獲物を待つ獣のように息をひそめている。
「まもなく、全てが変わるわ」
ロザリンドが二階の回廊へと冷ややかな視線を向ける。そこには、『病』という名目で幽閉された皇帝オーギュストと王女レティシアが無力にも閉じ込められていた。
盤面は完璧だった。力による制圧。血脈のすり替え、今日、この場でフィリップが新たな王として宣言される。
しかし、その完璧沈黙を『違和感』が切り裂いた。
ズゥゥゥゥゥゥゥ__ン……。
最初、それは耳鳴りのようだった。ついでそれは重厚な絨毯を突き抜けてくる、不気味な振動と変わる。
壁に掛けられた偽りの歴代王の肖像画がガタガタと震え、豪華なシャンデリアの水晶が互いにぶつかって悲鳴のような音を立て始めた。
「何?……地震かしら?」
ロザリンドが眉をまゆをひそめた瞬間、足元の石畳を突き抜けて心臓の鼓動を直接叩くような『咆哮』が響き渡った。
それは、人間の喉から発せられる音ではない。二十年もの間王宮の最深部に封印されていた『軍神』の眠りを妨げた者へ送る神罰の産声。
ドォォォォォォォォォンッ‼
議場中央大理石の床に巨大な亀裂が走る。隙間から溢れ出したのは目を焼くようなあまりにも禍々しく、そして神々しい燐光。
「な、何事だっ⁈ ……だれか、地下を見に……」
反分子貴族たちが狼狽し、衛兵たちが剣を抜く。だが、彼らが動くよりも早く王宮の土台そのものを揺らす破壊的な熱量が爆ぜた。
軍神 爆ぜる。
最下層の牢獄で、ユージンの血がゼノスの意思と完全に共鳴したのだ。
ロザリンドが築き上げた『偽りの平和』今その根底から根こそぎ粉砕されようとしていた。
さてクライマックスへ。どうしようかな(笑)




