闇の中の王 四本爪の咆哮
__ユージンの意識は、底の見えない闇へと沈んでいった。
どれ程時間が経ったのか。
次に目覚めた時、彼は体の自由を奪われ冷たい石床に横たわっていた。
しかしそれは現実の牢獄ではなく、意識の奥底、深い闇の中__。
そこに一人の男が立っていた。
目の前に立つのは、かつてのこの国の守護神であり、同時に呪われた王でもあった__ゼノス(エシュリオン=ド=アステリオン)の幻影だ。
その姿は、あまりにも壮絶だった。全身を網目のように切り刻まれ、鍛えあげられた身体からは、絶え間なく『黄金色の血が』溢れ出している。滴り落ちるその血は、床に触れるたびに燐光を放って弾け、まるで地獄の業火のように揺らめいていた。
致命傷など数えるのも愚かだった。胸を突かれ肩を削がれ、常人ならばもうすでに何度も死んでいるはずのその肉体。しかし、その亡霊は膝をつくことさえ拒絶していた。
そして__ゼノスは笑っていた。
苦痛に歪むはずの口角を不敵に吊り上げ、全ての敵を、そして自分を死に追いやった運命そのものを嘲笑うかのような傲岸不遜な笑み。
その瞳はもはや人のそれではない。『獣の王』の眼光だ。
「__退くな!」
声なき方向がユージンの魂を直接震わせる。
『畏怖』そう、それはもはや愛情などという生温かいものでは無い。
自分の中に流れるこの熱い血の正体。
歴史が積み上げた『王の狂気』と『軍神の祈り』が目の前の壮絶な亡霊となって、具現化しているのだ。
全身から黄金色の血を撒き散らしながら、ゼノスは四つの爪を突き立てるように、ただまっすぐに敵を見据えている。その圧倒的な存在感にユージンの心臓は脈打ち全身の産毛が逆立つのを感じていた。
それは死してなおこの国を背負い続ける『闇の中の王』の執念。
ユージンは悟る。この男の血を自分は一生背負い続けてゆくのだと。
難解な展開ですが(苦笑)
言葉が出てこない。




