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ちっちゃな可愛い妖精さんが、可愛すぎる

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 脇役だった聖女様まで、爆走中です。



「終わったぞ~っ!ドラニスタ、何だ?もう、全部終わったからな。溜まってた決算書も、今日の報告書から来月の予算まで、何だったら食堂の来週の献立まで……って、何でこんなもんまで回ってきてるんだ?」


「料理長が、一辺通りの料理を作るのに、飽き飽きしてるんだそうです。

『新しい料理のレシピを求めて旅に出る』

 と言うのを、必死でお手伝いのおばちゃん達が押し留めてます」


 まあな、かく言う私でさえ、ここの生活には、うんざりしていたもんな。

 魔獣の出没が多いせいで、流通経路から外れているし。反面、魔獣退治のお陰で、肉は充分確保出来るんだが。ここは、雨が少ないからな、作物が育ちにくいんだ。


 刺激が無いんだよ。

 いや、魔獣退治は、刺激的すぎるけどな。


 まあ、取り敢えずは。

 私の可愛い妖精ちゃんに、会いに行こう!寂しがっているんじゃないか。ああ、泣いてるかもしれない。叔母上達に苛められているかも。


 私は、考えても仕方ない事を棚に上げて、叔母上の元に急いだ。後ろから付いてきていたドラニスタがちょっと小走りになっていたが、許せ、ドラニスタ。私の可愛い可愛い妖精ちゃんの危機だ。


 私からミミを奪った悪の親玉である叔母上の部屋に、私は辿り着いた。

 叔母上の部屋からは、叔母上達の賑やかな笑い声が聞こえる。叔母上が声を立てて笑うなんて、どんな天変地異だ?


「そこ、そこもお願いミミちゃん」


「ここですね。えいっ。あ、こっちも酷いですね。はいっ!」


 何をやっているんだ?


 ノックしてドアを開けると、叔母上がベッドにうつ伏せになって寝転び、ちっちゃなミミが叔母上の背中に乗っていた。


「これ位で、大丈夫ですか?痛くないですか?」


「そこそこ、丁度良いわ~っ。痛かった所が、解れていく様よ。

 あら、レオンハルトにドラニスタ。もう、仕事は終わったの?」


 ミミは、こっちを向き、いかにも『いい仕事しました~』と言う感じで、右手で額を拭った。

 ああ、笑顔が眩しすぎる。

 しかも、青いワンピースに白いレースたっぷりのエプロン。裾から覗く白いレースたっぷりのパンタレットが、愛らしすぎる。



 私は、思わずベッドの脇に跪き、ミミを手の平に掬い上げ、頬擦りして、キスを。

 途端に、叔母上のゲンコツが私の頭の上に落ちた。


「それを、止めなさいって言ってるでしょう?ミミも、反撃して良いわよ!」


 ……いつもの叔母上だった。


 叔母上は、私からミミを取り上げると、そっと、自分の膝の上に置いた。


「ありがとうね、ミミ。お陰で身体が随分と楽になったわ。これは、何と言う魔法なの?」


「雷神様直伝の雷魔法、『低周波治療』マッサージです」


 雷神様直伝!?


「ミミは、雷神様の御使い様ですよ。まったく、うちの甥っ子が不調法して、申し訳ありません。オマケにマッサージまでしていただいて」


 いや、雷神様の御使いにマッサージしてもらってた叔母上に言われたくありませんよ。


「いえ、こちらこそ、お洋服を沢山作っていただいて、ありがとうございました。オマケに、神聖力まで分けていただいて」


 ミミが、鈴を転がすような可愛い声で、喋った。洋服、沢山作って貰ったんだな。他には、どんな服があるんだろう。ああ、着飾った所を見てみたい。可愛いだろうな。パステルカラーも、似合うだろうな。真っ白なドレスを着て、花束を抱えて、頭にはちっちゃな花で作った髪飾りを。


「ちょっと、レオンハルト、レオンハルト。聞いてるの?」


 いえ、ミミが可愛すぎて、聞いてません。


 痛っ。何度も殴らなくっても、良いじゃないですか。叔母上は、聖女なのに凶暴すぎる。


「とりあえず、貴方がミミと一緒にいるしかないのよ。最近の私じゃあ、力不足で。

 ミミの神力が戻るまで、あなたの神聖力で補ってあげて頂戴。一緒にいれば、少しずつ補充出来る筈よ」


 やった。ミミ~っ!


「きゃーっ!」


「だから、頬擦りするんじゃないって、言ってるでしょ!このお莫迦」


 早速、ミミに私の胸ポケットに入って貰った。コレコレ、この感じ。胸が暖かくて、心も身体も、ふんわり軽くなる。

 ポケットから顔を出しているミミを見ると、彼女も、私を見上げていて、おずおずと少し笑ってくれた。





「ちょっと、ドラニスタ」


「はい、聖女様」


「大伯母様って、お呼びって言ってるでしょ。それはそうと、ミミは18歳だから」


「え!?12歳くらいかと」


「あはははは。うん。レオンハルトには、内緒ね。責任問題だわよね……」





 がんばれ、ミミ。早く、大っきくなあれ。


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