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辺境騎士団長は、ちっちゃな妖精がお好き  作者: Hatsuenya


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ちっちゃくなくなっても可愛い妖精さんは、お嫁さんになりました

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 いよいよ、本当の最終話。後日談、レオンハルト視点です。



    辺境騎士団長レオンハルト side



 スタンピードが無事に終結し、ミミと私は、砦の庭で結婚式を挙げる事になった。

 ちっちゃくなくなっても、ミミは可愛い。マリンが縫ってくれたウェディングドレス姿も、殊の外、美しく輝いていた。ああ、とうとうミミが私のものになる。

 元から、私のものだけどな。


 ここまでが、長かった。


 まず、スタンピードから砦に帰り、叔母上にミミと私の結婚について話をすると、ストップが掛かった。


「いくら何でも、『結婚します。神様にも承諾して貰いました。今日から夫婦です。今日から一緒の部屋で寝ます』と言うのは、了承できないわ」


「そうですね。叔父上は、仮にも王弟ですので、国王陛下の許可も要ります」


「いや、だが、おそらく兄上は許可してくれないだろうし。私は、この砦からは動けない。もしも、私が砦から王城へ動こうものなら、謀叛とされてしまうだろう」


「はい、ですから、私が国王陛下の元へ参ります。行って、片を付けてきます」


 ドラニスタは、姿勢を正し、覚悟を決めた目で私を見た。


「いつかは、父と対決せねばならないと思っていました。今が、その時です。父が何と言おうと、叔父上の様に、王位継承権を破棄して参ります」


 元々、第二王子と第三王子のスペアとして第一王子が存在すると言うのも、馬鹿馬鹿しい話だ。妙な派閥争いが起きぬ間に、とっとと継承権の椅子を蹴って参ります。と、ドラニスタは胸を張って話を続けた。

 ああ、本当に、兄上は何をやっているんだか。


 ダンッ!と叔母上が足を踏み鳴らした。


「違うわよ!そんな事は、どうでも良いわ!そんなのは、『結婚しました~』と、事後承諾で手紙を送っておいて。もしもブチブチ言うようだったら、イザとなったら、私が乗り込んでゴンッと一発、あの子の頭に天罰を食らわしてやるから。ね、ミミ」


「はいっ!是非ご一緒します。雷をドンッと国王陛下の目の前に落としに行きます。団長さんとドラニスタ君を、蔑ろにした罰です」


 叔母上に続いて、ミミまでもが、ふんぞり返ってフンフン怒っていた。うんうん。可愛いな。おっきくなっても、ちっちゃかった時のままだな~。

 私は、思わず、ミミを抱き締めた。ミミが、すっぽり私の胸に収まった。


「だから、違うのよ!」


 叔母上が、聖女の杖で、私の頭を叩いた。

 痛い!

 聖女が、こんなに狂暴で良いのか?ダメだろう?


「結婚式の準備をさせて頂戴って、言ってるのよ!結婚式は、女の花道!一生の想い出!女の晴れ舞台よ!これだけは、譲れませんとも」


 私は、腕の中のミミを見た。ミミが、私を見上げている。


「ミミ、結婚式をしたいのか?」


 ゴンッ!


 痛っっっ!


 絶対に、たん瘤が2つ出来ているぞ!叔母上、横暴!


「したいかどうかじゃなくて、するのよ」


 叔母上が、杖をもったまま胸の前で腕を組み、片足をタンタンと鳴らしていた。かなり、お怒りらしい。


「私は、どちらでも構いません」


 ミミは、私を、心配そうに見つめていた。


「白いウェディングドレス。レースが沢山付いているやつが、いいわ」


 叔母上の言葉に、叔母上の1歩斜め後ろに控えていたジェシカが頷く。


「髪には、薄絹の長いベールに花飾り?」


 ジェシカの反対側の、叔母上の斜め後ろのマリンが、メジャーを取り出した。


「花飾りは、白を基調に私の目の色の青い花を混ぜてくれ」


 そう言いながら、私の頭の中には、いつか夢見た、花束を持って立つ白いドレスに花の髪飾りのミミの姿が浮かんだ。

 ああ、何だ。こう言う事か。私は、初めてミミにあった時に、一目惚れしていたのか。


「準備期間は?」


「3ヶ月、ちょうだい」


 私の問いに、叔母上が答えた。

 長すぎないか?


「この地は痩せているから、ろくな花がないのよ。3ヶ月経ったら、秋の花が咲くわ」


 本当に残念そうに、叔母上が、周りを見回した。確かに、ミミが恵みの雨を降らせた畑以外は、草がチョロチョロ生えているだけだ。


『では、この地に恵みの雨を降らせてやろう。娘よ、幸いあれ』


 雷神様の声と共に、大地に優しい雨が降り注いだ。

 雨は地面に染み込み、見る見る間に、地面に草が生え、芽が出て、色とりどりの花の蕾を付けだした。


『あら、忘れ物ね。この花は、私のサービスよ』


 女神様の一言で、青い小さな花がポンポンッと咲き乱れた。



 こうしてミミと私の結婚式は、1ヶ月後に行われる事になった。

 マリンとジェシカを中心に、城中のオババ達が総勢でウェディングドレスやら装飾やらご馳走やらの準備で走り回って、驚異のスピードで成し遂げてくれた、お陰だ。


 国王陛下の件は、雷神様と風神様の新人の御使いが力を貸してくれた。

 

「んふふふ。国王陛下だろうが何だろうが、人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られるのよ」


 風神様の御使いの少女、杏嬢が、手を口に当てて、くぐもった声で笑う。


 杏嬢が風を起こし、雷神様の御使い來人と共に、その日の内に王城へ向かったドラニスタは、父親である国王陛下と義母の王妃の前で、私の結婚許可と王位継承権の破棄を願い出た。


「王様が四の五の言ってたんで、馬の代わりに俺がドンッと一発、雷を落としときました」


 來人が、得意気にそう言って杏嬢を見た。杏嬢が、ふんぞり返って、うんうんと、頷いていた。


「俺、赤ん坊の頃から杏の尻に敷かれているんで」


 ニヤリと、來人が笑った。

 ああ、そう言う事か。うん。納得。こう言う手も有りかもな。覚えておこう。


「後は、しっかり者の義母上が、父上を上手く牛耳ってくれる筈です」


 ドラニスタは、清々した顔で、微笑んだ。

 ドラニスタに光魔法が備わると、ドラニスタとその母親を兄は邪険にし始めた。そして、身分の低い大人しい自分の言いなりになる若い聖女を自分の側妃として迎え入れ、2人の王子をもうけた。

 そして、ドラニスタの母親が亡くなった後、側妃は王妃となり、国王に目の敵にされていたドラニスタを、私のいる辺境騎士団に逃した。名目上は、お家争いを避ける為として。


 教会の聖女が大人しいだって?兄上は、叔母上をよく見ればいい。叔母上と言い、王妃と言い、これが、教会の聖女だ。決して、大人しくなんて、あるもんか。

 しっかりと相手を牛耳って、最後には自分の意見を通すんだ。怖い怖い。


 それに比べて、ミミがどんなに可愛いか。




 雷神様と風神様、その御使い達のお陰で、結婚式の今日は、魔獣騒ぎもなく、静かなものだ。


 かくして、ちっちゃな可愛い妖精さんは、私のポケットの中から飛び出して


 ちっちゃくなくなって


 私の美しく可愛い花嫁となった。



 そして、可愛い子宝に恵まれ、私達は幸せに暮らすだろう。




 かくあれかし。





「來人は、本当に杏嬢が好きなんだな」


「もう、はたから見て判るくらい、思いっきり、全力で好きですよ。ドラニスタさん」


「羨ましいな」


「だから、杏に手を出そうとしたら、俺、あなたにどんな事をするか解りませんから、気を付けて下さいね。

 俺は、神様と取引してでさえ、杏を手放さなかった男ですから」


「私も、そんな相手に出会いたいものだ」


「それこそ、『そうあれかし』ですね」





 このお話は、一応、これでおしまいです。また、後日執筆予定の美央の話で、お会いしましょう。


↑美央のバージョン

『風の使徒は、女騎士がお好き』

連載開始しました。全20話程度の予定で執筆中です。そちらも、読みに来ていただければ、嬉しいです。


 それまでは、よろしければ、連載中の『元魔王な令嬢は、てるてるぼうずを作る』https://ncode.syosetu.com/n8547kt/を、お楽しみ下さい。

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