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ちっちゃな可愛い妖精さんは、誰にも渡さない

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 今回は、ちょっと酔っぱらってるレオンハルト視点です。



  辺境騎士団長レオンハルト side



「ミミ~……。やっぱり、若い女の子は、もうすぐ30歳のオッサンより、若い男の方がいいのかな」


「あら、団長さん~。久しぶり。何言ってんの。30歳は、まだ若いわよ~。行ける行ける~。で、そのミミちゃんって何歳なの?ほらほら、お酒のお代わりよ、はい」


「ミミは18歳で、可愛くて、キレイな黒髪で、スタイルも良くて、脚もキレイで、明るくて、一緒にいると楽しくて幸せで、私が頬擦りすると、ちょっと照れて焦って逃げようとする所が、また、可愛いんだ」


「へえ~。団長さん、珍しく、ベタ惚れじゃない。で、ライバルは?ほれほれ」


「13歳の美少年」


「あら、私が頂いちゃおうかしら」


「それだけは、止めてくれ、ライナス。甥っ子だから」


 私は、辺境騎士団行きつけのライナスの店にいた。ライナスは元辺境騎士団員で、騎士団の外部で情報収集を担っている。

 いわゆる、欲しい情報は酒場で聞けと言うやつだ。


「商人や旅人達は、何と言ってる?ライナス」


「王弟殿下の恋愛事情に?」


「ライナス。主に隣国や、その周辺の情報が欲しい」


 団員達は、既に花街に出払ってしまって、殆どいない。私にも一緒に行こうと誘ってきたが、皆の酒代を払っておくから先に行けと、いなしておいた。

 給仕の女の子達が、食器を片付けているカチャカチャという音だけが、店の中に響いている。


「魔獣退治に担ぎ出された第二王子が次々と成果を挙げているそうよ。王子の側には、常に風使いの少年が控えているんだって。

 でも、ここと隣国の間の道中に、魔獣の数が増えているみたいで。殆どの商人達は、ここから隣国へ行くのに躊躇してるわ」


 魔獣が、増えている、か。叔母上に相談してみるか。


「そうそう、団長さん。嫌がる女の子に頬擦りするのは、止めなさいな。酔っぱらいのオッサンっぽいわよ。嫌われても、知らないわよ」


「そ、そうか。あー、わかった。うん。じゃあ、またな」


 いや、何か、ついやっちゃうんだよ。ミミが、何か可愛くて。ほら、リスとか猫とか小鳥に頬擦りする感じで……まあ、頬擦りすると、どれも逃げて行くよな。

 あれが、まずいのかな。


 まあ、ミミも昨日は災難だったな。犬に飛びかかられて咥えたまま走られ、夜は、あのとんでもない痴女に、握り潰されかけて。

 あんなのが毎日の様に多発してたから、砦から若い女を一掃して、年の行った女達を雇用したのに。

 辺境伯は、上の孫娘を、これ以上の醜聞を起こす前に適当な所に嫁に……私が、送り込んでやるか。宰相辺りに話を持ちかければ、政治の駒として、縁談を持って来るだろう。


 これ以上、あんな女達の相手など、していられるか。


 はぁ。早く帰って、ドラニスタからミミを奪い返して、癒されよう。


 ミミ、早く大きくならないかな。大きくなっても、きっと可愛いよな。ポケットには入れれなくなるけど、毎日一緒にご飯を食べて、昼には一緒に執務室で、あれやこれや話をして一緒に仕事をして。

 夜は、一緒にベッドで眠るんだ。



「ただいま。帰ったよ、ミミ。ほら、おいで」


 ドラニスタや騎士見習い達と一緒にカードをしていたミミが、振り向いて私を見て、泣きそうになっていた。


「え……団長さんは今日は花街に行くから、朝まで帰らないって」


 誰が、そんな事を言った?何故、ミミに?


「私は、花街になど行った事は無いが?誰が、そんな、流言飛語を?」


「皆、団長さんには、早く奥さんもらって子供作って、ここに根付いて欲しいって。でも、私には無理だから。

 団長さんは私がいると町にも行かないから、女の人との出会いも無いって。だから、私から団長さんに町に行く様に勧めて欲しいって」


 止めろ、ミミ。そんな話を、泣きながら言うんじゃない。そんなに、辛そうに、言わないでくれ。

 ドラニスタが、そっと、ミミにハンカチの端を渡してやる。ああ、そう言う所が、俺には真似出来ない。


「ミミ、おいで。私は、ちゃんとすぐに帰ってきただろう」


 私は、涙に濡れるミミを手のひらに乗せて、頬擦りした。ミミは、今日は嫌がらなかった。自分から、私の頬に抱きついてきた。私は、ミミに頬擦りしたまま、ドラニスタの部屋を出た。


「団長さん、お酒臭いです。お風呂に入った方が、いいですよ」


 今日は、結構、呑んだからな。私が酔わないからと、ライナスが、どんどん酒を注いできて。流石に少し酔ったかもしれない。

 ああ、違うな。これは。ミミに酔ったんだ。私が花街に行ったからと、泣いていたミミの、涙に酔ったんだ。


 風呂から私が出てくると、私のベッドで、ミミは泣き疲れたのか眠っていた。ああ、何て可愛らしいんだろう。私を想って、君は泣いてくれた。


 君が元の大きさに戻ったら、君は私のプロポーズを受けてくれるだろうか。





「ドラニスタ殿下、振られちゃいましたね。酒、呑みますか?俺、持ってきますよ」


「私は、13歳なんだが?それに、振られてなどいないからな」


「え~と、そうだ。調理場に、行きましょう。お菓子のやけ食いしましょう」


「この時間から、料理長をこき使うな。明日の朝食の仕込み中だろうが」


「あ、俺、パンケーキ焼くっす。得意なんすよ。ふわふわの奴。ハチミツたっぷりかけて、皆で食べるっすよ。失恋した時には、甘いもんたっぷり食べて、やけ食いっすよ」


「ハチミツたっぷりのふわふわのパンケーキか。旨そうだな。だが、私は、失恋などしてないからな」


「はいはい。わかりました、わかりました。パンケーキ食べに行くっすよ~」





 夜中にハチミツたっぷりのふわふわのパンケーキ。太りますね~。わくわく。

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