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地球は、こんなにも青いのに…。

作者: 沖田 楽十
掲載日:2025/07/11

楽十の、知識の無さが露見しますが、目を瞑ってくださると嬉しいですm(_ _)m

「宇宙(うちゅう)は、寒(さむ)いんだ…」



 そう言(い)って、彼(かれ)は笑(わら)った。



「貴方(あなた)、宇宙(うちゅう)飛行士(ひこうし)だっけ? 」



 そう尋(たず)ねると、いんや、と返(かえ)ってきたので、私は首(くび)を傾(かし)げる。



「“宇宙(うちゅう)は、寒(さむ)い”…って」


「あー……それは、なんっていうか、ものの喩(たと)え、みたいな? そう、だなぁ…」

「地球(ちきゅう)は、オゾン層(そう)に守(まも)られてるから、太陽(たいよう)からの有害(ゆうがい)な紫外線(しがいせん)を浴(あ)びずに、俺達は快適(かいてき)な気候(きこう)の中(なか)で生(い)きていける」

「で、大気圏(たいきけん)が地球を包(つつ)み込(こ)んでるから、隕石(いんせき)が星屑(ほしくず)と化(か)する」

「じゃあ、無数(むすう)の隕石が流(なが)れてる宇宙(うちゅう)は、隕石を燃(も)やす程(ほど)の熱(ねつ)があるのかと思(おも)ってな」



 滑舌(かつぜつ)良(よ)く語(かた)る彼(かれ)に、私は言(い)われてみれば…と納得(なっとく)するも、あれ? と疑問(ぎもん)に思(おも)った。



「でもそれだと、オゾン層(そう)がある太陽(たいよう)の紫外線(しがいせん)を浴(あ)びない地球(ちきゅう)の方(ほう)が、寒(さむ)いんじゃない? 」


「えっ? 」


「だって、大気圏(たいきけん)が隕石(いんせき)を燃(も)やす要因(よういん)の一(ひと)つって、重力(じゅうりょく)に従(したが)って、隕石が落(お)ちるから、その空気(くうき)摩擦(まさつ)で燃(も)えるからじゃないの? 」



 私の問(と)いに、彼は顎(あご)に手(て)を当(あ)て考(かんが)え込(こ)むと、確(たし)かにそうだがな、と話(はなし)を続(つづ)ける。



「噂(うわさ)によると、月(つき)は寒(さむ)いらしい」



 どんな噂だよっ! と突(つ)っ込(こ)みそうになるも、呑(の)み込んで、彼(かれ)の話(はなし)に耳(みみ)を傾(かたむ)けた。



「月(つき)には、大気圏(たいきけん)がないらしい。だから、地球(ちきゅう)よりも宇宙(うちゅう)に近(ちか)い月は、重力(じゅうりょく)が小(ちい)さく、体(からだ)が浮(う)くんだ」

「それはまるで、砂漠(さばく)みたいな……つまり、寒(さむ)い…だけじゃなく、太陽(たいよう)がガンガリ当(あ)たってる時(とき)はめちゃくちゃ暑(あつ)く……そりゃあ、とても生活(せいかつ)出来(でき)る状態(じょうたい)とはいえねぇ…極端(きょくたん)な星(ほし)だ」


「………えーっと……」



 この会話(かいわ)、コレで100回目だよ、と水(みず)を差(さ)す様(よう)な事(こと)を言(い)えば、彼は悲(かな)しそうに顔(かお)を歪(ゆが)めて、私を見(み)た。



「悪(わる)い…っ。いつ、死ぬか、わかんねえ恐怖(きょうふ)に、押(お)し潰(つぶ)されそうで…つい……」


「………」



 酸素(さんそ)は、いつ失(な)くなるだろう?私達は、いつもその恐怖(きょうふ)に襲(おそ)われていた。

 私達の周(まわ)りには、無数(むすう)の亡骸(なきがら)が転(ころ)がり落(お)ちている。

 ある者(もの)は、酸素が無(な)くなり…。ある者は、隕石(いんせき)にぶつかって…。

 彼(かれ)が私に同(おな)じ話題(わだい)を振(ふ)ってくるのは、安心感(あんしんかん)を得(え)たいからだろう。不安(ふあん)が強(つよ)くなれば、その分(ぶん)、酸素(さんそ)が減(へ)ってしまうから…。



「如何(どう)して地球(ちきゅう)は、青(あお)いの? 」



 全体(ぜんたい)が硬(かた)い地面(じめん)と岩(いわ)に覆(おお)われた此処(ここ)とは違(ちが)い、青(あお)く、綺麗(きれい)なその星(ほし)は昔(むかし)、私達の祖先(そせん)が暮(く)らしていたという。



「殆(ほとん)どが、海(うみ)で覆(おお)われてるから、青(あお)いって、聞(き)いた事(コト)があるぞ」


「海? 」


「ああ。地球(ちきゅう)には、海っつぅ、広大(こうだい)な水(みず)があるらしい」


「! いっ…行(い)きたいなぁ……」


「無理(むり)だ」


「でっ…でもっ! 私達の祖先(そせん)は昔(むかし)、あの星(ほし)に住(す)んでいたんだよね!? だったらーー」

「あんな遠(とお)い場所(ばしょ)に行(い)ける乗(の)り物(もの)がなきゃ、無理だ。それに……大気圏(たいきけん)に入(はい)ったら、燃(も)やされる。それに耐(た)えれる乗り物じゃなきゃ、俺達は一瞬(いっしゅん)で焼き殺されちまうだろ? 」


「っ……」



 酸素(さんそ)が無(な)くなる心配(しんぱい)がなくて、飲(の)みたい時(とき)に水(みず)が飲める。寝(ね)てる間(あいだ)に、流(なが)れ着(つ)いた隕石(いんせき)がぶつかってきて、死ぬかもしれない…という不安(ふあん)もない。

 そんな、美(うつく)しい星(ほし)を捨(す)ててまで、如何(どう)して祖先(そせん)は、此処(ここ)へ移住(いじゅう)したのだろう?



「子孫(わたし)達(たち)のコトを、考(かんが)えてなかったのかな…? 」


「…此処(ここ)での生活(せいかつ)を選(えら)んだ時(とき)は、最善(さいぜん)の選択(せんたく)だったんじゃねえの? 」



 祖先(そせん)達(たち)が、地球(ちきゅう)から発(た)った際(さい)に持参(じさん)した酸素(さんそ)は、もう残(のこ)り僅(わず)か。

 この星(ほし)には、私と彼(かれ)以外(いがい)、誰(だれ)もいない。


 みんな…死んで、しまったから……っ。


 死への恐怖(きょうふ)や孤独(こどく)の現実から目(め)を背(そむ)けたい為(ため)、熱(あつ)い抱擁(ほうよう)を交(か)わさない?と彼(かれ)に提案(ていあん)した事(こと)があったが、断(ことわ)られた。

 子供(ガキ)が出来(でき)た時(とき)、責任(せきにん)が取(と)れんのか? って。俺達みたいに、寂(さび)しくて、いつも恐怖(きょうふ)に襲(おそ)われる日々(ひび)を味合(あじあ)わせるのか? って。自分(じぶん)の血(ち)を分(わ)けた子供(こども)に、そんな苦痛(くつう)を味合わせたくない、って。

 そんな彼(かれ)の瞳(め)には、私は映(うつ)っていなかった。多分(たぶん)、将来(しょうらい)を交(か)わしていたあのコ以外(いがい)とは、家族(かぞく)を持(も)つ気(き)にはなれないのだろう。



「楽(らく)に、なれば、イイのに…」


「…は? 」


「っ……うんん。なんでも、ない…」



 ………でも…。

 もし、あのコがいない寂(さび)しさや、死への恐怖(きょうふ)から逃(のが)れる為(ため)に、一時的(いちじてき)に私を選(えら)ぶ彼(かれ)だったらーー多分(たぶん)、惚(ほ)れる事(こと)は無(な)かっただろう。

 責任感(せきにんかん)が強(つよ)くて、未来(みらい)の事をちゃんと考(かんが)えられる彼だから、好(す)きになったのだ。



「私達…此(こ)の儘(まま)、死んじゃうのかな? 」


「………」



 そう尋(たず)ねる私に、彼(かれ)はなにも答(こた)えなかった。




【地球は、こんなにも青いのに…。】




 いつか訪(おと)れる死までの間(あいだ)、私達は青(あお)い星(ほし)を見(み)つめながら、男(オス)と女(メス)を意識(いしき)してしまう内容(ないよう)以外(いがい)の話題(わだい)で、語(かた)り合(あ)う。

 それが、祖先(そせん)が残(のこ)した情報(じょうほう)を知(し)る私達の義務(ぎむ)であり、生(い)きる糧(かて)でもあったから。

とある歌を聴いてて、浮かんだ話です(`・ω・´)❤️

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