魔法図書館 仲直りがしたい
「始めまして。貴方はなにを望みますか?」
私は来てくれた方に聞く。
ですが、答えてくれなくて。
「あの、どうされたのですか?」
「うっ、ひっく…」
来てくれた方…少女は泣き出してしまいました。
うーむ、仕方ないですね。
「ぽん!はいっ、私からのプレゼントです。来てくださってありがとうございます」
私は何もない場所から花を出し、少女に渡した。
彼女は少し笑ってくれた。
「あ、ありがとう」
「どういたしまして。それで、貴方はどんな本をお探しですか?」
彼女は少し考えるそぶりをしてから、口を開いた。
「友達と、仲直りできる方法が書いてある本、です」
「ふむ、ならば…」
私は考えた。
この方が仲直りをしたい方。お友達、ですか。
では、これですかね。
「お客様、こちらはいかがですか?」
私は図書館の中から、本を探し出し抜き取って少女の手の中まで飛ばした。
「えっ?と、飛んできた⁈」
「うちはそういう図書館ですので」
「そうなんだ…あの、これ少し読んでも良いですか?」
「えぇ、もちろんです」
少女はパラパラと本のページをめくっていく。
それは、必然的に彼女自身の物語を振り返るということになる。
「これって、私たちの…」
「お客様のお話に似ていましたか?」
「っ、はい。だって、この子達が好きな男の子のことで喧嘩しちゃったってところも、私と友達に似てる…」
「そうでしたか。それはよかったです。お客様、お友達との仲直りの仕方は見つかりましたか?」
「はい!この本借りさせてください!」
「もちろんです。お借りした本は、お友達と仲直りしてから返しにきてくださいね」
少女は、私にお辞儀をして帰っていった。
最後にはすごくいい笑顔をしていたので良かったです。
何故、彼女に合った本をすぐに出せたか、ですか?
それは、一言で言うなら魔法ですよ。
私は、彼女の記憶を少し読み取らせていただいたんです。
だから、彼女に合った本。
すなわち、絵本を渡させていただきました。
絵も、彼女達に似せました。
それも魔法ですよ!
そう、この図書館は魔法図書館。
いるのは私一人だけ。
誰でも来れる場所ではない。
悩んでいて、なんとなく歩いていたら辿り着ける。
だから、ここから帰る時には必ず笑顔で帰ってほしい。
魔法の力ならそれを叶えられるかもしれない。
そのためになら、私は一人で図書館を運営し続けますよ。
誰かのためにできることを私はやりたいですから—