なにもしたくない男
ショートショートです。
とにかく何もしたくない男がいた。
趣味も無く、食事も不味く、何を見ても読んでも何処へ行っても酒を飲んでもギャンブルをしても風俗へ行ってもSNSをやっても何をしても面白くも楽しくもなかった。
どうしてそうなったかはもうわからない。
八つ当たりもしたくない。
そうしてある日男は気が付いた。
「そうだ、わかった」
男は、息をするのを止めてみた。
苦しかったが生まれて初めて真の幸福感を感じることが出来た。
最期の瞬間、薄れゆく意識で男は思った。
「ああ、宇宙・・・」
男の顔は微笑んでいた。
(終)
読んでいただきありがとうございます。