今日も油田を当ててオイルマネーで無双する。
世の中に稼げる職業は沢山ある。才能と努力が必要な
ことも多々あるが。代表的な物にプロスポーツ選手が挙げられる。子供の頃か自分の夢を疑わず邁進して行った先に栄光と其れに似合うだけの富が手に入る。自分で会社を起こすのもいいだろう。親が資産家だったら親の資産を受け継いで管理するのも立派な仕事だ。
俺の場合も凄いぞ。3Kなんて目じゃないからな。なんせ命懸けだし。遊んで暮らせるだけの稼ぎは得たはずだか、契約で今の仕事を辞める事が出来ない。その契約書にサインするに至った経緯を今から話す。十五年前俺が18歳の高校三年の夏休みの夜に拉致られた。両親共々小さな町工場を営んでいたが、経営に失敗して多額の借金が出来た。両親は夜逃げの資金欲しさに俺を売ったって訳。泣けるだろ。拉致れた先が普通の会社事務所で3人の男女が居た。男性2名女性1名。年嵩の男性が其々の役職を説明してくれた。私が君の両親の債権を買い取った。君をエスコートして来たのは、私の私設弁護士の沢木君だ。そして女性の方は私の愛人の佳ちゃん。佳ちゃんの周りの温度が2度下がる気配を感じたが今は其れついて話す事ではないだろう。私が彼等の雇い主で私が君の債権者。君は両親の借金を返す為に高校を中退してアメリカにある潜水士の養成学校に入学してもらいたい。無論向こうでの滞在費 授業料はこちらで持つ。君の身分は私の会社の社員として研修の為の渡米と云う事だ。普通の人の生涯賃金の何倍もの借金を背負って人生をすり減らすか、私の会社に入って借金を返すか。選択は君に任す。君の実家は今は更地に成っている頃だろう。私の会社の独身寮があるので、其処で良く考えて返答してくれたまえ。自分に選択しなど無いのでその場アメリカ行きを了承した。パスポートなど沢木弁護士が実家から運び出していたので、出発は明後日に決まり今晩はその会社の寮に泊まることになった。
冗談じゃない拉致られてアメリカに強制的に送られて、潜水士にさせられるなんて真っ平御免だ。逃げ出すなら今晩しかない。人を拉致監禁強制連行する連中にまともな人などいない。油断させせ逃げ出す他はない。今晩中に警察に逃げ込んで保護してもらおう。年嵩の男が思い出した様に沢木弁護士に命令した。「沢木君 例の処置を。彼に現実と云う物を教えてあげてくれ。」沢木弁護士は音も無く背後から近づくと俺の首筋に針が刺さる感覚が感じられると共に意識を失った。