出会いは突然に…④
(….風呂場で無防備な女の裸体を撮影しな…キチキチッ、キキキッ。写真を見せて、公開されたくなければ言うことをきけと…あの女を脅せ…)
耳元から、妙な声が聞こえた気がした。
思わず周りを見渡す。
…
明かりがついてるのに、黒い霞がかかったように、部屋が暗い気がした…この部屋には、私と、怪訝な顔をしたバーレイしかいない。
…気のせいか?
だが、突如閃いた今の考えは、素晴らしいものに思えた。
男として人として、紳士としても相応しくない最低最悪のアイデアだが、仲間のためならば、自己犠牲も厭わない彼女に対し、まさしく有効な手段だと腑に落ちた。
…本来ならば人でなしの許されない鬼畜な所業…たが、目的のためならば、手段を選ばない方針を選択するならば、彼女の弱点を突く妙手と言える。
たとえ私が、不名誉な泥に塗れようとも、彼女を手に入れるならば、価千金の価値がある。
これぞ光りの教会が、推奨する自己犠牲の精神ではなかろうか?!
彼女の幸せのために、その彼女から一時的に恨まれたとしても、手に入れてから大事にすれば、私の気持ちは、きっと分かってくれるだろう。
(…そうさ、オマエ正しいサ、正しい行いは報われるのだ…チキチキパカパキラ…ウェッケケケ)
私は、天啓の如く閃いた妙案を、バーレイに披露する。
アイデアに驚いたバーレイの顔が、成功確率の高さを物語っていた。
…いける。
これで彼女を手に入れることが出来る。
束の間、幸福感に酔いしれる。
ああ、そうだ!どうせなら、被写体の女どもも芸術的に撮ってやろう。
それならば、被写体の女達も喜ぶかもしれない。
超古代時代では、裸も芸術の一環であるとして、デッサンや撮影が行われたという。
たしか、超古代末期に作られた撮影機材が、我が家の倉庫に眠っていたはず。
…直ぐに連絡して、持って来てもらおう。
(……ケケケケケッ)
何処からか、笑い声が聞こえた気がしたが、幸福に酔いしれた私には気にはならなかった。
きっと壁の向こうの住人に違いない。