カール・イングラム・エヴァの健全な日常(後編)
毎日がキラキラとした日常。
今、私は幸せの中にいるのを感じてる。
太陽の陽の光が燦々と降り注ぎ、世界が輝いて見える。
この境地に辿り着くことが出来たのは、つい最近。
全ての生きとし生けるものに感謝を捧げたい。
現在、私の周りは、超優秀かつ善意の人達ばかりで、いつも助けられてます。
だから私の基本的なスタンスは、もし困っている人がいたら助けること。
助けられたら、やはり、助け返すのが合理であり、人情ですよね?
今まで、助けられて、この幸せな場所に来れたのですから、私としては、少しでも周りに恩返しがしたいのです。
でも私程度の能力で出来ることと言えば、小さなお助け…例えば、話を聞いたり、助言したり、少々の補助…その程度です。
自分の容量以上…自分の人生を圧迫するほどのお手伝いは、無理なものは無理で、安易に引き受けて失敗する方が無責任というものですから、キッパリ断っている。
私は、自分の身の丈を知っているから。
それに、他人がやるべきことをやるのも、誰の為にもならないと思っているので、手は貸しません。
甘えに応えてはいけないのです。
ただ…見守るだけ。
冷たいようですが、安易に手を貸して、成長の機会を潰してしまうのは惜しいと、私は考えるのです。
これから助けが必要な時、いつもそこに私が居るとは限りませんし、助けて自己満足だけが残るようではいけません。
私自身が、幼い容姿と拙い能力のままでは、この厳しい世の中を渡っていけないし。
世の中には、人の善意につけ込む図々しい輩がいることを私は身をもって知っています。
女子供お年寄りなど弱い人間を馬鹿にして喰い物にしてくる下劣な輩が存在しているのも、私は把握しています。
恨み、嫉み、嫉妬、羨望、などの自己理由で強請りたかるダニのような屑が生息しているのを、私は認識している。
綺麗事を口から流しながら、笑顔で騙す算段をしている腹黒い悪業に染まった人でなしが、世の中に横行しているのを悔しく思います。
そんな輩に、負けるわけにはいかないでしょう?
強く、より強く、更に強く金剛石のように堅く強力な意志で毎日を精進していくほかに、理不尽な世の中にあらがう術はなかった。
振り返れば、子供時代にいた者は誰も周りにおらず、唯私一人だけが、此処にいました。
…
…あの頃、周りに沢山いた皆んなは、何処に行ってしまったのだろうか?
でも、…悔いはない。
此処で、新たな素晴らしい仲間に出会うことができたから。
絶壁の崖を、登りきった山頂で、バッタリ人に出逢った気分です。
しかも、同年代で同性なんです。
それぞれ性格も出自も身分も能力も、テンデバラバラですけど、皆んな、掛け替えのない信頼できる友達です。
と、…友達だよね?
少し自信がないのは、皆んな私よりも、優れているから。
彼女らは、容姿も中身もスーパーグレートで、平凡な私が、まざっているのは浮いてる気がして、気恥ずかしいのです。
彼女達に、ガッカリされないように、日々精進するしかないわけです。
なにせ私が、生徒会役員になれたのなんて、ハイパーラッキー!ですからね。
・ー・ー・ー・
そんなある日、アレクサンドリア准尉から至急の呼び出しがあった。
!
公爵家のお嬢様に失礼ないよう、早さ優先しつつも最低限の身支度して、どの様な事態にも対応出来るよう装備品を携帯して、自室を飛び出した。
…
遥か先で、風が乱れ流れて来るのを肌で感じて、アールちゃんが、私よりも遥かに速く、文字通り飛び出しているのを、察しました。
信じられないほどに決断と初動が早い!?
アールちゃんが早いのは分かっていたけど…それでも驚きました。
まるで、至急報を日常的に山ほど経験したかの人の対応です。
この早さは、とても真似できません。
まるで場数が違う印象を受けました。
それでも、目指すことは出来るはず!
私は、遥か先を走るアールちゃんを追いかけ始めました。




