復活のThursday②
僕とペンペン様、シロちゃんと連れ立って、食堂へ向かう渡り廊下を歩いていたら、聞き慣れた風斬り音が聞こえてきました。
目を向けると、中庭で、如何にも騎士然とした女性が槍を振るっていた。
スポットライトのように太陽の輝きを燦然と受けて煌めいている。
長い金髪を結って邪魔にならないよう頭にアップしている女性は言わずと知れたジャンヌです。
学生で戦う機会が限りなく低くても鍛錬を怠らない…如何にもジャンヌらしい。
しばらく、立ち止まって、ボーッとその姿を観てました。
元気溌剌若さ爆発、身体を動かす事自体が楽しいと物語っているような活発で美しい動きです。
修練の末の練達の動きとは、ある意味で芸術です。
ジャンヌは、一通りの套路を終えると、こちらを振り向いた。
「…少尉殿、また会えましたね。」
「うん…また会えました。」
意味深に聞こえるけど、もちろん、僕もジャンヌも夏季講習の寄宿舎暮らしですから、毎日、また会えるに決まっている。
でも、たった今運動を終えて、荒い息遣いをしながら、上気した頬と潤んだ瞳を宿したジャンヌは、一際異彩を放つほどに輝いて見れて、美しかった。
まるで、何十年かぶりに僕に逢えて嬉しさ大爆発、夏の向日葵のような笑顔を僕に向けていた。
…眩しい。そして美しい。
ドヒャア…君と会えて、とても嬉しいと真っ直ぐに分かる笑顔をむけられると、途轍もなく恥ずかしいものですね。
僕も、鼓動がドキドキです。
いったいどうしたの?ジャンヌ。
ジャンヌは、僕と会うと嬉しいと分かる笑顔をいつも見せてくれるけど、今日は一入です。
ジャンヌが僕の側に駆け寄って来る。
二人して、見つめ合った。
… … …
….クイクイとズボンの裾を引かれた感触がして、下を見ると、ペンペン様が僕を見つめていた。
ペンペン様のお腹が、グゥグゥ鳴っている。
ああ…そうですね。お腹、空きましたね。
日常を生きるとは、お腹が空くという事です。
「ジャンヌ、ご飯、食べに行こうよ。」
「御相伴致します。」
ジャンヌは間髪入れず返答した。
槍を仕舞って来るからと、食堂で会う約束をすると、ジャンヌは足早に立ち去った。