お祭りTuesday②
さて、どうしましょうか?
シンバとラピスを見送った後、何処に行こうか迷った。
教室では、文化教養の各種展示、自主映画、喫茶…体育館では、劇、軽音、バンド、広場の周りでは模擬店が出店している。
うん…かなり、前世の文化祭に近い。
昼前には、王族が隣席されて、徒手格闘戦大会が開催される。
僕は、役員だから出場しないけど、せっかくだから観覧はしたい。
取り敢えず、グルッと回ってみよう。
誤解されてるかもしれないけど、僕は争い事は嫌いだし、本来競い合うのも性に合わない。
ただ観て応援する分には平気。
スポーツ観戦の気分です。
歩きながら考える。
自分が幸せになる為には…人と争いたくはないな…とか、いろいろムニャムニャ考えているうちに、自他共栄が適しているのでは?と、僕の中で、一先ずの結論に至った。
無論、世の中には、共栄に価値しない痴れ者が存在することも分かっている。
しかし、金太郎飴のように、はたまた玉葱のように外側から切って捨てていったとしたら、何が、残るのだろうか?
僕なんて悪いところを削っていったら何も残らないかもしれない。
千手観音菩薩は、その千の手で全ての衆生を救うとされている。
神様の度量の広さ深さには感服します。
まるで夢物語の夢想の御伽噺。
ああ、そんな神様がいたら良いなぁ。
けれども現実は常に厳しいのだ。
だから、僕は現状に即する。
必ず、地獄に堕とすに相応しい屑芥は、確率統計上発生するから、其奴らは殲滅するか、地獄に追い落とすかして蓋をして封印です。
だが、どんな理屈を付けようとも、民に仇為す悪逆非道の輩を滅する行為もまた悪逆非道です。
全員を救うことなど、できようはずもないのですが…だがしかし…
僕は、いつもここで思考のループに陥る。
即ち、ここから先は理屈では解決しない事柄です。
だからあとは、現実に降り立って歩いて行かなければならない。
僕が歩いた先が、理想とは程遠い暗闇だとしても。
現実の地に足を着くことさえ厭うモノらが、念仏のように理想を唱えて、そんな僕を非難するだろう。
だが有象無象らの非難には耳を傾けなくてよろしい。
それらは現実に存在しない霞のようなものだから。
風が吹けば消える幻、気にすることはない。
それに僕一人で出来ることなど、たかが知れているのは分かっている。
たいしたことなどナッシングです。
この世界を自由に渡り歩いても、世界には何程の影響もないはず。
だから、誰かの思惑には左右されずに、自分の意志で行先を決めたい。
その道が舗装されてなくとも、途中で行き倒れたとしても、その道は僕が選んだ僕だけの道だ。
…
…あ、アリスとシレーヌさん見っけ!
二人に声掛けして、一緒に回ってみよう。