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アールグレイの日常  作者: さくら
アールグレイの冒険
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祝福

 護衛6日目。ホテルからハイヤーを頼み、出発する。

 車は、もちろん防弾仕様だ。

 助手席にクラッシュさん、後部座席真ん中を殿下、その左右にギャルさんと僕だ。

 三人掛けだけど、高級車で広くゆったりした造りになっているので、決して狭いという印象はない。

 それに真ん中の殿下が小さいからね。

 僕は、そんなに小さくないからね。


 窓のスモーク越しに外を見る。

 「search。」魔力のエコーが広がる。

 パターン青3、白1。青、これは直近の殿下、ギャルさん、クラッシュさんだ。運転手さんは敵でも味方でも無いので白で表示される。

 異常はない。

 今日の空は、灰色だ。曇っている。


 この都市内の、何処かでアレは隠れている。

 周囲の悪意、変異体、悪霊、変質概念を喰らい傷を癒して、力が戻るのを待っている。

 環境がアレをますます変質させてゆくのか、アレが漂う変質概念等を引き寄せるのかは分からない。

 だか、自分を省みず他に責を負わせていけば、ますますアレの魂は変質し、人の輪廻には戻れぬだろう。

 かつては、生まれときは、祝福されて誕生した魂だったはず。輝くように生まれた綺麗な魂のはず。

 順当な人生が、アレを驕らせたのだろうか。

 はたまた逆境が、アレを歪ませたのだろうか。

 どちらにせよ、誰であれ、今の自分は、これまでの自分が選択してきた結果であり、自分の責なんだ。


 僕は、前世の僕からどんな環境であれ、「素直で謙虚であれ。」と習った。「今世の俺よ、俺のようになるな、幸せになれ。」と。今、前世の僕は、今の僕と混じり合い消えてしまっている。でも、ふと彼の考え方や思いが浮上してくると感じる時がある。彼は僕で、僕は彼なんだけと、僕の中に彼がいるのを感じるのだ。僕は独りではない。

 だから、もし僕が幸せならば、きっと彼も幸せに違いないのだ。幸せになって欲しい。


 できれば全ての人、生き物、周りのモノに幸せになって欲しい。もちろんそんなことは現実的では無いと知っているけど。

 でもね、願うことは無駄ではない。

 ってゆうか、きっちり願うだけで、半分くらいは達成しているように感じる。

 だって、世界を自分とそれ以外に分けたら、自分の中では既に達成しているのだから半分は達成してることになるだろう。

 あとの半分は楽しみにとって置くのだ。

 ケーキも丸ごといきなり食べてしまったら楽しめないじゃないか。そうでしょう?


 だからアレにも幸せになって欲しい。

 今の僕では力不足なことは分かっている。

 でも、願うのは構わないだろう?


 両手を握り合わせる。







 



 かのものに祝福あれ…

 

 

 

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