刀剣を扱う心得
(最後まで結する覚悟がなければ、刃は抜いてはいけないよ。)
僕は、そう刀剣の師匠から教えられた。
その言葉とは裏腹に、そう言った師匠は軽く刀を抜きまくっていましたが?
だから、稽古は別にして、対人戦で僕が刀を抜くことは、ほぼ無い。
抜くときは斬るときです。
この心得は、争い事にも通じると思う。
何故に、皆んな軽々しく争うのかな?
実に不思議、摩訶不思議。
ラピスに呼ばれたのを皮切りに、祭り本番までに毎日、争いを鎮めに呼ばれまくった。
もう、呼ばんでよいから。
相互で相対し済ませてくださいな。
この僕の姿勢は、都市政府の方針と合致してる。
しかし、今回は、諸階層の都市民が密集するので、争いが後の大きな争いに発展するおそれがあることから、あらかじめ争いの芽を摘むために、現場に行って欲しいと、エトワールとアレクサンドリア様からの要請なのです。
生徒会役員上位二人の意見が一致した際は、ほぼ正解の可能性が高い…だから渋々現場には行く。
もっとも、現着しても基本放置です。
自分らで争い始めたのだから、自分らで解決すべきだと思うからです。
このスタンスは、僕だけでなく実力至上主義のこの世界では割りと一般的な考え方。
だから他人に迷惑掛からなければ、僕は手を出さずして睥睨して見守り、「最後まで決着つけて始末した後は、綺麗に掃除してね。」と促したりもする。
一応、現場に来たからには、互いの言い分は、根掘り葉掘り聞いたりはする。
聞かなければ、何故にこの様な事態になったのか分からないから。
すると何故か聞いてる途中で皆、テンションを下げて、和解したりする。
…
実は、僕としては、この人らが二度と他人様に迷惑掛けないように相打ちをして果てるを希望してるのだが、世の中は、僕の思うようにはいかないらしい。
うんうん…ままならない、残念無念。
もっとも往来の真ん中で、やっていて邪魔ならば、彼らに相応しいジャイアン的実力行使で、両者ともに僕が排除している。
刀剣の師匠曰く、弱い奴ほど争いたがるそうな。
「なら、お強い師匠がいつも争っているのは何故ですか?」と以前聞いたら、「争ってなどいない。蝿を追い払っているだけだ。」と、お答えなさりました。
…
つまり、今、僕がやっている実力行使のことですね。
対処方法は、対象により千差万別。
其々に相応しい対処の仕方があるように思える。
平等でもなければ、差別でもない。
その人に相応しい対処をするべき。
僕は平等よりも公正を優先する。
何事も争うほどに異論あるならば、それに相応しい代価を差し出して真剣に主張する自由もある。
ならば他人と争うならば覚悟に己れの生命をかけるべき。
そこでやっと勝負のスタート位置に立ったと取れるかもしれない。
そこまで真剣ならば、立会人になってもよい。
けど、それを受けるのも、無視するも相手の自由であるのは、言うまでもない。