会議で踊れ(中編)
エトワールとアルクサンドリア様との間で、高速で言語のやり取りが目前で続き、あれよあれよと言う間に起案が練り上げられていく。
1を聞いて10を知るエトワールと、この手の作業に子供の頃から慣れていてベテランの域に達しているアレクサンドリア様…早くて速いです。
それを呆然と聴いている僕とエヴァ。
今は楽で良いですけど、起案の行く末が、恐るべき体育会系方向に偏っていることに戦慄した。
そして、それを皆にやらせるのは、僕の役割り?!
その内容とは、島内でのオリエンテーリング要素を加味したポイント奪取制度のサバイバル。
それを毎週末に行い、練度を上げていくというのだ。
…
唯一の休みを潰されるのも嫌だし、怪異が跋扈している森に呑まれた施設外で、個別に別れて戦いながらフィールドを探索するなど…
…面白いかもしれない。
いやいや…ダメです。
頭を振る。
自殺行為です…手付かずの自然を舐めるな…生き残った人の練度は急上昇するだろうが、大半の人が潰れてしまう。
それほどに、人の手を離れた自然とは厳しい。
レスキュー事案が多数発生するに違いない。
そして、その役割りを担うのも、やはり僕?!
あわわわ…ヤバシ。
白熱している奴らを、誰か止めるのだ!
…
隣りにいるエヴァに目配せしても応答がない…屍のようだ。
美少女は眺めるに目の保養にはるが、エネルギーが底を着いてるのに、尚、頑張ってここに来た今のエヴァは頼りにならない。
今、頼りになるのは、僕しかいない。
窮地に陥るときは、人は、いつも一人なのだ。
「フー、….つまらないな。」
僕は、盛大に溜め息を吐き、駄目だしを出した。
白熱していた二人は、高速会話を止め、同時に僕を振り向いた。
二人とも、盛り上がって興奮していた為か、目力が強くて怖い。
僕は、言葉を続けた。
「浅薄で、ありきたりだし、全然つまんなーい。」
…
お願いだから、黙ったまま、睨まないで欲しい。
美人が睨むと迫力があって、怖いです。
「そこに貴族の高尚さも感じないし、文化的な香りもしない…それって、貴女達に相応しい?」
僕の方を見ていた彼女らの目の色が変わるのが分かった。
うんうん…方向性を180度、舵を切るのだ。