授業Monday⑤
身体の不調は、精神にまで影響するもの。
この肉体も僕自身であることに変わりなく、心や精神など目に見えない曖昧なものよりも、かくも如く現実世界に存在する肉体の方が本体であるかも。
しかしそう思う僕も有るのだから、せめて対等でいたい。
うんうん…対等、対等、肉体もまた我なり。
知識の欠片が、歩いている間も、雪のようにチラホラ脳裏を降っている。
ウプッ…もう入らないよ。
キツイし、無理やり入れられるのが、こんなにツラいとは思いませんでした。
僕の小さな身体では、これ以上膨大な量や大きいのは入りきりません。
僕は、もう、許して下さいと涙目で、ねをあげた。
しかし、知識の雪は、僕の意向など無視して、尚も降りつつあるのだ。
…
ま、まてよ…これはまだ夏季講習の序盤に過ぎないではないか?だって、講習はまだ始まったばかり。
序盤でこれだから、本番はこれからです。
….夏季講習恐るべし!
これでは過去に屈強なブルーが逃げ出すわけです。
こんなに乱暴に扱われては、大切にしてた僕の繊細な身体が壊れてしまう。
いっそのことリタイアして逃げ出してしまおうかなと、弱気な考えが頭をよぎる。
せめて、もっと優しく扱って欲しい。
女の子の身体は、男とは違うのだ。
それを一律に平等に取り扱うとは、いかんです。
…
ああ…エトワールは例外ですから。
チラリと、横を見る。
赤ら顔で、鼻息荒く、「…いかん、いかんぞ!」と説教口調で呟き、憤っているのか喜んで?いるのか分からない表情で元気に歩いている。
…
…
ためしに、いきなり手を繋いでみた。
「ビャー!な、なな、何する?あわわわ。」
エトワールは、今まで出したことのない声を出して慌てた。
繋いだ手を目前まで上げてみる。
エトワールは、声にならない声を出して、湯気が出るくらい顔が真っ赤だ。
エトワールの手は、滑らかで柔らかい僕より小さな手です。
その手が力無くワナワナと震えている。
…なるほど。
よく分からないけど、エトワールにとって僕は、それなりに大切な存在らしい。
だがこれで、今の僕とエトワールは症状が一緒です。
…平等、平等!
周りが一緒ならば、キツくともツラくとも我慢できるというものです。
そんなこんなで、這う這うのていで、生徒会室まで辿り着き、その扉を開けた。