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アールグレイの日常  作者: さくら
アールグレイ士官学校入校する
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授業Monday④

 頭の中で情報がキラキラと、混沌の海の中で欠片が乱反射して、錯乱している。


 脳裏にシナプスの雷が走っているのが見えた。


 煌めき欠片が拡大する。

 公共を司る都市政府と個を掌る人…公共と個人のバランスを傾けないことが肝要なのだ。

 パブリック・ライフ・バランス。


 超古代末期…文明崩壊の様々な要因…etc


 混沌と暗闇の記録すらない古代を生き残って抜け出ることが出来た人類は、滅亡しない対策として一人国家を目指すことを選択した。

 極小のこれ以上割り切れない一人一国家。

 個人に、国家なみの権限…主権、他に干渉されない裁量、強大な拒否権を認めた。

 それらを互いに承認し合う。

 代わりにその権限に見合わない、甘えと弱さが廃棄された。

 権利は淘汰され、求めるものはその国家の実力で叶うものとされた。

 一人を国家と定義した当然の帰結、実力至上主義が誕生した。

 

 当初、国連の役割を担った出来たばかりの都市政府は、無駄を削ぎ落とした公共のみに特化した小さな政府であった。

 やがて、一人国家に足りない部分を補完し、強力な実力を保持した臨時執政官が常態化して、都市王が誕生した。

 やがて他の実力者が貴族化して王を補佐し、公聴会である百人議員が設置され、現在の都市政府の原型となった…。


 …


 …



 眼を覚ますと、二段ベッドの底が見えた。

 意識が浮かび上がる途中、古代史の最初のくだり…の知識の雲が、僕の表層意識を掠めた気がします。



 …


 膨大な情報量の海に難波して座礁した気分です。

 全身が汗びっしょりで、気持ち悪いし。

 胃がムカムカして、吐きそうで吐かない。

 酔った後の二日酔いの症状と似ているのが説明として一番近い。


 怠くて頭が痛くて起きるのがつらいのだ。

 頭の中身からグワングワンして、新規の知識が自己紹介するように、先程から、秩序なく浮かんでは消えていきます。

 起き上がろうと四つん這いになった状態で、目眩がクラッとして静止。

 …

 ツラくて顔を枕に押し当てる。


 この時、部屋の扉が開いた音がした。

 「アール、昼の役員会の時間だ。遅いから迎えに来てやった…。」


 …


 エトワールの声がした気がする。

 …

 呼吸を整えて、起き上がり、なんとか振り向くと、エトワールが扉を開けたまま、赤ら顔で棒立ちしていた。



 …



 「…はしたない、はしたない。淑女たるもの、あのように…お尻を突き出した格好するなんて、私だったから良かったものの。もし他の人に見られて劣情を催されたら、どうするの?!私だから良かったものの…」

 あれから、シャワーを浴びてから着替えて、生徒会室へ行く道すがら、横からエトワールがいろいろとうるさい。

 まだ微熱があるようで、歩くと雲の上を踏んでるようだ。


 あれは…不可抗力です。

 それにヨガにも似たようなポーズはあった…確か猫のポーズでした。

 だから、恥ずかしくはない。

 …恥ずかしくはないのだ。

 …

 だ、だいたい女子寮だから、男子などはいないし。

 僕のお尻に劣情をいだく人など女子寮にいるはずもないのだ。


 だから…大丈夫だよ、エトワール、騒ぎ過ぎです。

 

 



 こうして歩いてみると分かるが、寮も学校も静かな海に呑まれている。

 道すがら、エトワールから説明を受けだが、学生が全員寝込んで自然休業状態であるとか。

 だから、授業も休講である。


 それにしても、エトワールは元気で、いつもと変わらないように見えるよ…何故?

 「フフンッ、私は、アレぐらいの知識量では寝込まん。それに既知の情報だから影響は皆無だ。」

 自慢そうに僕の疑問に答えたエトワールだが、僕はてっきり、そのふてぶてしい精神構造の成せる技だとばかり思ってしまってました。






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