Sundayは Holiday?
日曜日はお休みです。
昨日は土曜日、でも深夜働いたので、感覚的には夜勤明けに等しい。
今回の討伐依頼は、討伐ありきの成功報酬のみで時間報酬は換算されない。
正味3時間で始末が付いたので、非常に効率的です。
学校に帰って来たら、校長はまだ起きていた。
いやはや、偉くなどなるものではない。
深夜までお仕事ご苦労様です。
せっかくなので討伐報告してから部屋に帰る。
寝る準備アレコレしてから、ベッドで、とっくに熟睡してイビキをかいているペンペン様達を転がして傍に避けてから、タオルケットを被って午前4時には寝た。
もしかしたら、学校長は、僕達を待っていたのかもしれないと横になって瞼を閉じてから気づき、暴虐のペテルギウスも心配性だな…と思いながら眠りについた。
…
日曜日には、ご飯はない。
給食係を含め皆がお休みだからです。
居るのは宿直と学生達だけ。
うむ…休みは取らなくてはならない。
最重要課題のミッションと言ってよく、しかも成功するは、必須事項なのです…うんうんと頷く。
納得はするが、お腹は膨れないないので、中途半端な時間の午前中に食堂の厨房に行って、卵焼きを作り、置いてあったご飯とお味噌汁をいただく。
お惣菜は漬物、あと納豆です。
片付けを、ちゃんとすれば、食堂の食材を使い自炊はしてよいことになっている。
何故なら士官学校の周りにはお店はないから。
廃墟と森と怪異しかいない。
…文字通りの孤島です。
いつの間にか、付いて来ていたペンペン様達の分も卵を焼いてテーブルに出しておく。
一人と二匹で仲良く遅い朝食を食す。
幸せそうに食べるペンペン様とシロちゃん。
燦々と太陽の光り差す士官学校の食堂で、ペンペン様達を眺めながら、ああ…こんなにも遠くに来てしまったなぁと、何となく思ってしまいました。
…
今は一緒にいるペンペン様やシロちゃんとも、いつかは離ればなれになるのでしょう。
出会いがあれば、別れもある…しかし、今はまだ一緒です。
おそらく、この日常が掛け替えのない僕の幸せなのだろうと思う。
…
誰にも会わぬまま、食堂を後にして部屋に戻ると、ちょうど端末に着信があった。
画面を見ると、ハロちゃんからだった。
会ったのは数えるほどしかないけど、初対面で気が合った数少ない僕の友達です。
「もしもし、アールちゃん。あなたの愛しのハロですよー。」
あはは…相変わらず面白い。
ハロちゃんとは、互いに通ずるところあり、対等で気兼ねなく言い合える感じがして、構えなくてよいから非常に楽に喋れます。
「それで、僕の愛しいハロちゃん、何のご用ですか?」
冗談を流して、単刀直入に聞く。
ハロちゃんは、サンシャ伯爵たる重責を担っているので、暇な僕と違い忙しいに違いないから。
気楽に話すことと相手を思うことは同時存在しても矛盾しません。
「今日、急きょオフになったから、大好きなアールちゃんをお茶に誘おうかと画策してる次第であります。」
アウ!!…どストレートな愛情表現に言われた僕の方が赤面もので照れてしまいます…まあ、いいけど。
…断る理由ないし、誘ったからには、きっとお目当ての美味しいお店を用意しているに違いないし、ハロちゃんに会うのも久しぶりですから、会えると想像するだけで、痺れるほど嬉しい。
早速支度しなくちゃ。
「フリーダムヒルズのwingsのスフレパンケーキが絶品だって、評判らしいの。アールちゃんと食べたらきっと天にも昇る心地かしらん。あわわわ…。」
絶品スフレパンケーキ!!
良し!それ程に誘われたからには行くしかない。
常に新しき美味しい味を探求していく。
僕らは食の冒険者です。
現地集合の約束して、支度してると扉の向こうから、エトワールが、コチラを凝視していることに気がついた。
扉から、顔を半分だけ出して、コチラを見ているのが鏡越しに見えた。
静かに立ちすくむ姿にギョッとする。
…隠れる気ないの?
「…スフレパンケーキ。」
「はあー、美味しそう。」
「…私のチョコパフェ食べられちゃったし。」
「…私も、食べたいなぁ。」
扉の向こうから、暗い小さな声が聞こえてくる。
いつもと違う態度のエトワールの思惑は分からない。しかし、何だかよく分からないなりに、これは、もしかして…チョコパフェ食べたお詫びに、私もスフレパンケーキを食べに連れていけと要求されている?
あのエトワールが、そんな幼稚な要求をするわけがない…振りむくと目が合った。
目は口程にものを言う。
エトワールの目が、連れてけ光線を発している。
…
なんて事だ。
僕は、上から目線で居丈高に命令や強制されると、絶対拒否姿勢を取るが、そんな風にお願いされるような目をされると断りにくいではないか。
しかも、チョコパフェ食べてしまった弱みもチラッと言っている。
エトワール…やりますね。
僕の脳裏には、月に向かって哀しげにホゲーと吠えるエトワールの姿が、思い浮かんでしまった。
…
「…よ、良ければ…エトワールも一緒に食べに行きますか?」
途端にエトワールの顔が輝いたような笑顔になりブンブンと何度もうなずく。
僕は、こんな嬉しそうなエトワールを見たことがない。
その時、扉がおもむろに開き、押し出されるようにショコラちゃん達がドドッと内側に倒れこんできた。
何とルピナス嬢やシンバまでいた。
貴女達、こんな大人数で隠れて何やってるの?!
ジャンヌが倒れた集団の向こうから、恥ずかしそうに顔を出して、説明した。
「…コホン、私は少尉殿と昨夜の怪異討伐の検討会を実施しようと。ショコラ様達も話しが聞きたいからと合流して、そうしたら次々と人が集まってきて…それで扉の前まで来たら、少尉殿のあまりにも楽しげな声が扉の外にまで聞こえてきたので…聴き惚れ…コホン、お邪魔にならぬよう、この場で待っていたのです。…ああ、それにしても、スフレパンケーキですか。コホンコホン。」
ジャンヌの咳に、何かしら期待した多数の視線が僕に集中した気がした。
…
結局、再度ハロちゃんに、端末から連絡を取り、了解をとってから、皆んなでフリーダムヒルズまで、スフレパンケーキを食べに行った。
…
パンケーキは、噂通り、絶品だった。
一口食べたら、天に昇る心地になるほど。
美味しいデザートは、人を幸せにさせる。
昨夜の討伐依頼で蓄積した僕の心身の疲れが昇華するようです。
一緒に食べに行った女子とも親しくなって距離感が一層近くなった気がしました。
蛇足ながら、ペンペン様も付いて来てました。
…機嫌良さそうに食べてました。
シロちゃんは、お昼寝しててお留守番です。
皆んなも、一度は食べに行った方が良い。
お勧めします。