サタデーナイトフィーバー④
ブンブンブブンと音が近づいて来ている。
僕は、指示を出して、候補生5人を横一列に散開させた。
怪異が来るまで、しばらく待つだろう。
待ち時間を無駄にすることはない。
少しでも優位性を上げるため、怪異と遭遇する前に魔法術式を編み込んでおこう。
セッセセッセと魔力線を編んで魔法陣を展開していく。直前に準備して戦力を上げられるのは魔術師の面目躍如です。
だから対魔術師戦では、魔術師に余裕を与えてはいけないことが分かる。
情報とは、勝負に直結する。
相手を知り、己れを知れば、百戦危うからずとは、前世で知った、中の国の故事から来る言葉。
怪異ハエは、単独では生存出来ぬほどに弱いから必ず集団でい集している。
昼間は暗闇に逃げ隠れし、ひと気のなくなる夜になると、集団で騒音を撒き散らしながら、爆走する習性を持つ。
週末や夏の夜に、よく発生します。
…なんて傍迷惑な。
もし、今回排除しなければ、来週末には就寝時以降、五月蝿いかもしれない。
…
…想像してみました。
…
…
…ああ…僕の安眠を邪魔する痴れ者は、殲滅の全滅ですね。
想像の延長で、前世の非常に不愉快な安眠妨害された記憶が蘇えってしまった。
そのお陰様で、非常にやる気が沸々と出て来ました。
江戸の仇を、長崎で討つ。
前世で培った憤りを、今世ではらすのです。
この怪異は、この世に不用で、存在意義のない非存在べきもの…思い知るがよい。
この機会に、その存在の塵一つまでも消し去ってくれましょう。
…騒音の発生源を根元から断つのだ。