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アールグレイの日常  作者: さくら
アールグレイ士官学校入校する
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雨の降る頃④

 クシャミは、端正であった顔を真っ赤にして怒っている。


 …


 むむ…些か、気持ちが良くて、言い過ぎましまか?

 しかし、今更、訂正してもクシャミの決断は変わらぬだろう。


 それに、僕、悪くないし…。


 前世の記憶が蘇ったとき、僕は今世において、自分の気持ちのままに行動しようと決めた。

 今、僕の気持ちが言っている。

 正は、不正に屈しないのだと。


 覚悟は、既に決まっているので、冷静に教室の中を見渡せる。

 この教室は、40人が楽々収容できる大教室です。

 多分200人は、収容できるくらい…無駄に広い。

 後ろに従い席の段差が高くなり、演壇を見渡すことが出来る作りとなっている。

 しかも、大きめの窓もあるので、かなりの開放感がある。

 その広めの教室で、皆は前側の中央よりに、それぞれ好きな場所に座っている。


 先程までは、余裕綽々でいた髭を蓄えた若手の教官が、慌てている様子が見える。

 彼も、まさか決闘騒ぎになるとは、思ってなかったに違いない。

 

 うん…未来とは過去のデータからでは予測不可能なのだよ、君。

 まだ、分かっていなかったのかな?

 何故なら、そこに何らかの意思が介在するからです。今回は、この僕、アールグレイの意思が存在したのだ。


 決闘かぁ…禁止はされていない。


 自分もリスクを負うのだからフェアであるし、短時間で決着が明確につく利点もある。

 以上により、前世の民事裁判よりも、かなりマシな制度であると僕は思っている。

 代理人でも可能、ただ腕に覚えある武門系の貴族はそれは好まない。

 武力で成した貴族の誇りが許さないのだろう。

 他者に任せず、自分が出張るのは好感が持てる。

 少なくとも彼らは、卑怯ではないからだ。


 「あらかじめ言っておくが、このハロルド・クシャ、士官学校では、五指に入るほどの猛者であるぞ。魔法においても、私は、総合で次席であるから、お前が女で一位の魔法特化であろうとも、勝ち目はないと言っておこう。もし、土下座して謝り、私の靴に口付けすれば、許してやらんこともないぞ。」

 僕が、決闘について考察してると、それを後悔してると勘違いしたのか、クシャミが降伏を勧告してきた。


 このごに及んで、まだ上から目線とは畏れいる。


 あらかじめの自己の情報開示まではよい…だが後半はいただけません。

 敵対した相手に土下座して、その靴に口付けとは、「一生貴方に服従します。如何様にされようともかまいません。」と誓うことを意味する。

 生命が救かっても、これでは奴隷とかわりません。

 しかも、その視線が、顔を赤らめながら僕の身体の上から下まで彷徨っています。


 フーッ、いただけません。


 青少年ならば、女性の身体に興味をいだくのは仕方ありませんが、不躾にジロジロ見るのは減点です。

 女性の口説き方も、最低最悪です。


 いくら貴族でレッドで、端正な顔付きでも、これではダメダメです。


 そして、もう一つ彼は勘違いしている。

 僕は、今期、実力第一人者の資格で、副総代に選ばれている。実力至上主義のギルドであるから、ギルドはクシャミより、僕が強いと認めたのだ。

 確かに僕は魔法特化だけど、いくら優秀でも実戦も経験していない士官候補生に負ける気はしない。


 この時点で、僕の目的の半分は達している。

 皆の視線は、僕に集まり、犬獣人の子は既に忘れられている。


 あとは、この貴族の思い上がりを正してやるだけ…それが、僕のため、相手のため、世界のためであると思うのだ。

 ならば、と、体育館で決着をつけようと言おうとしたら、前の扉がガラガラと開いた。










 





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